原発は大丈夫なのか 6
                               2017年6月4日 寺岡克哉


 5月29日の、午前5時39分。

 北朝鮮の東岸にある元山(ウォンサン)付近から、1発の弾道ミサ
イルが発射されました。

 そのミサイルは、東の方向に、およそ400キロメートル飛んで、

 新潟県の佐渡島から500キロメートル、島根県の隠岐諸島から
300キロメートルの、日本海上に落下したといいます。


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 そして一方、

 北朝鮮で最大の報道機関である、朝鮮中央通信は5月30日。

 新しく開発した、「精密誘導システム」を装備した弾道ミサイルの
発射実験を行なって、それに「成功した」と報じました。

 誤差は7メートルで、(およそ400キロメートル離れた)目標地点
に命中したといいます。



 朝鮮中央通信は、発射実験を行った日時などは伝えていませんが、

 おそらく5月29日のミサイル発射を、指しているとみられます。



 金正恩(キム・ジョンウン)氏は、

 「これほどの命中精度なら、敵の目にも命中する」と評価しており、

 「米国にわが国の威力を知らしめ、無謀な軍事的妄動がもたらす
のは死だけだと刻み込ませるべきだ」として、

 策定した計画に基づいて「多段的かつ連続的に、わが自衛的国防
工業の威力を見せつけなければならない」と、指示したといいます。


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 ところでまた、

 北朝鮮外務省の報道官は、5月29日に談話を発表し、

 安倍首相が、G7サミット(先進7カ国首脳会議)で、「北朝鮮に圧力
を加えるべきだ」と述べたことを非難しました。

 そして、日本が「敵対的行動」に出るならば、日本国内のアメリカ
軍基地以外にも、攻撃の標的を拡大する
と警告しました。



 この談話で北朝鮮側は、

 「日本がわれわれの自衛的措置に挑発だと食って掛かり、再侵略
の野望を実現しようとするのは愚かな行為だ」と批判しており、

 その上で、

 「これまでは日本にある米国の軍事対象のみが、わが軍の照準
鏡内に入っていたが、日本が米国に追従し敵対的な行動に出る
なら、標的は変わるしかなくなるだろう」
と、警告しています。


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 何と言うことでしょう!


 私は、前回のエッセイ795で、以下のように述べました。

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 北朝鮮の新型弾道ミサイルが、アメリカに比べてずっと近距離に
ある「日本」を標的にした場合、

 その命中精度が、もしもCEP(半数命中半径)で100メートル
程度にまで、すでに向上しているとすれば、

 ミサイルを日本の原発施設に命中させることが、不可能ではなく
なってしまいます。
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 ところが北朝鮮は、

 「精密誘導システム」を装備した弾道ミサイルを、すでに開発して
おり、

 命中精度が誤差7メートルにまで、向上している可能性があるの
です。

 これでは、

 日本の原発施設が狙われたら、まず間違いなく命中してしまうで
しょう。



 そしてさらに、北朝鮮は、

 「日本国内のアメリカ軍基地以外にも、攻撃の標的を拡大する」
と、警告しています。

 つまり、日本の原発が狙われる可能性も、けっして否定できない
状況になってきたのです。



 いよいよもって、

 「日本の原発にたいする、ミサイル攻撃のリスクが高まってきた」

 と、言わざるを得ません!



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