原発は大丈夫なのか 3
                              2017年5月14日 寺岡克哉


 5月9日。

 政府は、北朝鮮の弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある
場合などに情報提供をする、Jアラート(全国瞬時警報システム)の
運用を変更すると発表しました。



 つまり、これまでは、

 Jアラートの第1報で、「ミサイルが発射されたもようです。続報が
入り次第お知らせします」と、続報を待つように求める内容を伝え、

 第2報で、「ミサイルの一部が落下する可能性があります。屋内
に避難してください」とか、「上空をミサイルが通過したもようです」

 などと伝える、二段構えの運用でした。



 しかし、それを今後、

 第1報を、「ミサイルが発射されたもようです。頑丈な建物や地下
に避難してください」と変更し、

 第1報の段階から、すぐに避難を呼びかけるように改めたのです。



 その理由は、

 北朝鮮が発射したミサイルの軌道を分析して、日本の領土内や
領海内に落下する可能性があると判断するまでの間。

 つまり、「第1報」が出されてから、「第2報」で避難を呼びかける
までの間に、およそ1~2分の時間が必要であり、

 そのぶん「国民の避難時間」がロスしてしまうからです。



 ちなみに、

 北朝鮮のミサイルは、発射されてから10分以内に、日本に飛来
すると、されています。

 そのため、たとえミサイルが日本に落下せず、「空振り」に終わった
としても、

 1分でも2分でも早く避難を呼びかけた方が良いというのが、政府
の判断です。



 また、

 「屋内に避難してください」という避難メッセージを、

 「頑丈な建物や地下に避難してください」に変更して、

 具体的な避難場所を例示するように改めています。


            * * * * *


 以上をみると、


 何だか、ものすごく危機感が高まっているように、感じてなり
ません!



 こんな状況下で、「原発」を稼働させておいて、ほんとうに
良いのでしょうか?



 私は、どうしても心配でならないのです。


              * * * * *


 ところで・・・ 今から、およそ3年前の2014年7月。

 原子力規制委員会は、鹿児島県にある川内(せんだい)原発に
たいし、

 福島第1原発の事故後、新規制基準の下で、初めて再稼働を認め
ましたが、

 そのとき同委員会は、原発再稼働の審査書案について、パブリック
コメント(意見公募)を行ないました。



 以下は、

 そのとき私が、原子力規制委員会に提出した意見です(本サイトの
エッセイ649からの抜粋)。


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 安倍政権によって、集団的自衛権の行使が容認されようとして
いる昨今、

 日本を含む欧米諸国に敵対する国や組織から、ミサイルや戦闘
機による軍事攻撃、あるいは日本に潜伏している工作員等による
テロ攻撃の危険性が増加しつつあることは、決して否定できませ
ん。

 もしも集団的自衛権が行使され、特定の国や組織との敵対関係
が鮮明になった場合には、地震や津波の危険性より、軍事攻撃や
テロ攻撃の危険性の方が大きくなるでしょう。

 たとえば1981年にイスラエルがイラクの原子炉を爆撃した
り、今年の7月にはイスラム原理主義組織のハマスが、イスラエ
ルの原子炉をロケット弾で狙ったりと、原発が攻撃対象にされる
のは妄想や空想ではなく、現実的な問題となっています。

 日本の原発が攻撃される危険性が高まった場合には、地対空ミ
サイルの配備や、武装自衛官の常駐などによって、原発を防衛す
ることが絶対に必要ですが、しかし現時点では、そのような防衛
対策は明文化されていません。

 この理由から、いくら地震や津波などの対策がとられていても、
原発には依然として大きな危険性が存在しており、決して再稼働
を容認することは出来ません。

以上

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 上の意見を提出してから、およそ3年経った現在・・・ 



 すでに、「集団的自衛権の行使」が認められてしまい、

 北朝鮮に向かうアメリカの空母と、日本の海上自衛隊との、
合同訓練が行われるようになり、

 日本の領土が、北朝鮮ミサイルの標的となり、

 日本国民が、Jアラートの作動に脅えるようになっています。



 ほんとうに、ちょっと3年前と比べても、

 どんどん危機感が高まっていることが、改めて分かるのです。



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