原発は大丈夫なのか 2
                               2017年5月7日 寺岡克哉


 4月29日。

 東京メトロ(東京地下鉄株式会社)は、北朝鮮が弾道ミサイルを発射
したという情報を受けて、

 安全確認のため、午前6時7分から約10分間、全線(地下鉄9路線)
で一斉に運転を見合わせました。



 東京メトロによると、

 Jアラート(全国瞬時警報システム)や、テレビなどの報道で、ミサイル
発射の情報を得た場合(注1)

 地下鉄の運行をいったん見合わせて、安全を確認するという「内規」
を、4月の中旬に決めていました。



 ちなみに、この「内規」を実際に運用したのは、今回が初めてです。

 その結果、一部の列車が遅れて、およそ1万3000人に影響が出ま
したが、混乱は無かったといいます。



 また、東部鉄道も、

 おなじ時間帯に、東京メトロに乗り入れている東部東上線などで
運転を取りやめました。



 さらには、JR西日本によると、

 4月29日の午前6時ごろから、およそ10分間、北陸新幹線の
上越妙高 ― 金沢の間で、安全確認のため運転を見合わせて
います。



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注1:

 東京メトロは5月1日。

 北朝鮮のミサイル発射を報道機関が報じた場合にも、運行を
見合わせるというルールを見直して、

 今後は、Jアラート(全国瞬時警報システム)が作動したかどう
かによって、判断することにしました。

 平日のラッシュ時の場合、混乱が大きくなるため、見直しを決め
たといいます。

 ちなみに、

 4月29日に運転を見合わせたときは、北朝鮮のミサイル発射
が失敗に終わったため、Jアラートが作動しませんでした。
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 ところで一方、このように危機感が高まっている中・・・ 



 関西電力は4月28日。

 福井県にある高浜原子力発電所の、4号機の原子炉に
たいして、

 「核燃料を入れる作業」を始めました。



 そして5月1日には、

 157体の、すべての核燃料が、原子炉に入れ終わって
います。



 そしてさらに、

 今後の検査や、原子炉の温度や圧力を高める準備作業が
順調に進めば、

 5月の中旬に原子炉を起動して、「再稼働」する予定だといい
ます。


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 私は、心の底から不思議に思うのですが・・・ 


 北朝鮮のミサイル発射で、鉄道の運転を見合わせるという、

 それほど「地政学的な危機感」が高まっている状況のなかで、

 なぜ、原発にたいしては、まったく危機感を持っていないので
しょう?



 私の感覚からすれば、ものすごく異常に感じてなりません!



 こんな危機的な状況なのに、こと原発に対しては、

 数百年に1度あるかないかという大地震や大津波のリスクの
方が、地政学的なリスクよりも心配だというのでしょうか。



 大地震や大津波の対策を取らなければ、原発の再稼働が認め
られないのに(それほど慎重な対策を取っているのに)、

 なぜ、

 地政学的なリスクへの対策(たとえば自衛隊の常駐、迎撃ミサ
イルの配備、使用済み核燃料の地下保管など)を取らなくても、

 原発の再稼働が、ごく平然に行われてしまうのでしょう?



 いま現在の状況下では、

 大地震や大津波のリスクよりも、政学的なリスクの方が、

 ずっとずっと高いのは明白でしょう。



 私には、まったく理解不能です!



 それほど異常で理解不能なことが、ごく平然に行われている
原発運営にたいして、

 愕然(がくぜん)というか、気味悪さというか、何ともいえない
焦燥(イライラ)を、

 どうしても私は感じざるを得ません。



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