原発事業で巨大損失 6
2017年2月19日 寺岡克哉
2月14日。
この日、東芝が決算発表をする予定だったので、心待(こころま)ちに
していたのですが、
決算の監査中に、アメリカでの原発事業の会計処理などに関して、
「不適切な対応を指摘する ”内部通報” 」があったということで、
この日に行なわれるはずだった決算発表を、3月14日に延期してしま
いました。
なんという、体(てい)たらくでしょう!
ちなみに、この日に行われた記者会見では、
「不適切な対応を指摘する ”内部通報” 」についての、もう少し具体
的な説明として、
アメリカの原発子会社である、ウェスティングハウス・エレクトリック・
カンパニーにおいて、
一部の経営者が、会計処理に関して不適切なプレッシャーをかけた
という、「内部告発」があったということです。
しかしながら、
その「内部告発」の内容については、調査中だということで、東芝側
はコメントを避けています。
また、
この日の記者会見では、とりあえず監査承認前の「業績見通し」と
して、
原発関連の損失が、「7125億円」に上っていることを、東芝側が
明かしました。
* * * * *
しかし、私は思うのですが・・・
この先、東芝における「原発関連の損失」は、まだまだ大きくなって
行くでしょう。
なぜなら、
ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーは、アメリカで4基の
原発を建設中ですが、
しかし、
それらの工事の進捗(しんちょく)状況が、まだ、およそ30%にすぎ
ないからです。
つまり、すごく大ざっぱに考えてみると、
原発が完成するまでの、およそ3分の1まで工事を進めただけで、
すでに約7000億円の損失を出しているわけです。
だから、
この工事を、原発が完成するまで続ければ、その損失も、およそ
3倍になることが予想され、
おそらく、約2兆1000億円ぐらいまで、損失が膨らんでしまうので
は、ないでしょうか。
* * * * *
しかしさらに、それだけではないのです!
ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーは、中国でも4基の
原発を建設中ですが、
それらの工事が遅れているのも、すでに「隠しきれない事実」となっ
ています。
ところが、
「工事がどれぐらい遅れているのか」とか、
「工事による損失が、どれぐらい生じているのか」などの情報は、
ほとんど伝えられていないのです。
中国での原発建設が、どんな状況であるのか伝えられていない
ので、何とも言えないのですが・・・
そして人件費なども、アメリカと中国では、異なっているのが当然
ですが・・・
しかしながら、それらを無視して、ものすごく大ざっぱに考えると、
アメリカにおける「4基の原発建設」で、2兆1000億円ぐらいの
損失が生じる可能性が考えられるのだから、
中国における「4基の原発建設」でも、同じく2兆1000億円ぐらい
の損失が生じる可能性は、けっして否定できないのではないでしょ
うか。
* * * * *
ものすごく大ざっぱな考察でしたが、以上から、
東芝の原発事業による損失は、これから先、もしかしたら4兆~
5兆円ぐらいまで膨らんで行くのではないかと、
そんなふうに私は思っています。
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