原発事業で巨大損失 2
2017年1月15日 寺岡克哉
そういえば、本サイトで「原発問題」を取り上げた場合、
福島第1原発の事故に関連して、東京電力側の問題、つまり
「電力会社の問題」については、
いろいろと調べて、レポートしてきたつもりでした。
しかし、お恥ずかしながら、
このたび東芝の原発事業における「巨大損失」が発覚するまで、
「原発メーカーの問題」については、ほとんど調べたことが
無かったのです。
たとえば「東芝」についても、これまで私は、
「原発事業にも手を出している」ことぐらいは、表面的に知って
いましたが、
しかし実際のところ、「原発事業に、どれほど深く関わっている
のか」までは、ぜんぜん知りませんでした。
そこで今回は、
東芝という会社が、どれぐらい深く、原発事業に関わっているの
かを、
ちょっと調べてみることにしました。
* * * * *
さっそくですが、以下は、
東芝のサイトにあった、「プラント納入実績」というページからの抜粋
です。(納入年月は、年号表記だったのを西暦に変えてあります。)
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1962年1月
国産1号研究炉(JRR-3)の、計測制御装置、破損燃料検出装置ほか
1963年12月
動力試験炉(JPDR)の、タービン発電機、BOP(周辺)設備
1967年12月
材料試験炉(JMTR)の、計測制御装置ほか
1970年3月
敦賀発電所1号機の、格納容器、BOP設備(タービン、発電機を除く)
1971年3月
福島第一原子力発電所1号機の、原子炉蒸気供給系機器、電気据付
工事、配管
1974年7月
福島第一原子力発電所2号機の、原子炉蒸気供給系機器、BOP設備
(タービン、発電機を除く)
1976年3月
浜岡原子力発電所1号機の、原子炉系設備
1976年3月
福島第一原子力発電所3号機の、発電設備一式
1977年3月
高速実験炉「常陽」の、原子炉機器、格納容器ほか
1978年4月
福島第一原子力発電所5号機の、発電設備一式
1978年11月
浜岡原子力発電所2号機の、原子炉系設備
1979年3月
新型転換炉「ふげん」の、格納容器、タービン、発電機
1979年10月
福島第一原子力発電所6号機の、原子炉蒸気供給系、BOP設備
1982年4月
福島第二原子力発電所1号機の、発電設備一式
1984年6月
女川原子力発電所1号機の、発電設備一式
1985年6月
福島第二原子力発電所3号機の、発電設備一式
1985年9月
柏崎刈羽原子力発電所1号機の、発電設備一式
1987年8月
浜岡原子力発電所3号機の、原子炉系設備
1990年9月
柏崎刈羽原子力発電所2号機の、発電設備一式
1994年4月臨界
高速増殖原型炉「もんじゅ」の、遮蔽プラグ、タービン、発電機ほか
1993年8月
柏崎刈羽原子力発電所3号機の、発電設備一式
1993年8月
浜岡原子力発電所4号機の、原子炉系設備
1994年9月
六ヶ所ウラン濃縮工場 第1期工事分の、高周波電源設備、計測制御設備
ほか
1995年4月
高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターの、計測制御設備、電気設備、
検査設備ほか
1995年7月
女川原子力発電2号機の、発電設備一式
1996年11月
柏崎刈羽原子力発電所6号機の、原子炉蒸気供給系機器
1997年7月
柏崎刈羽原子力発電所7号機の、BOP設備 (タービン、発電機を除く)
1997年10月
高温工学試験研究炉(HTTR)の、反応度制御設備、中間熱交換器ほか
1998年10月
六ヶ所ウラン濃縮工場 第2期工事前半分の、高周波電源設備、計測制御
設備ほか
2002年1月
女川原子力発電所3号機の、原子炉系設備
2005年1月
浜岡原子力発電所5号機の、原子炉設備
2005年12月
東通原子力発電所1号機の、発電設備一式
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私は、上の「プラント納入実績」を初めて見たとき、
ものすごく驚(おどろ)きました!
なんと、東芝という会社は、
日本で「国産1号研究炉」を作った、ごくごく初期の時代から、
とてもとても深く、原発事業に関わっていたのです。
そして、上の「プラント納入実績」にあるように、
福島第1原発の、1号機や2号機そして3号機の建設にも、
東芝は深く関わっています。
おそらく、そのためだと思いますが、
これから進めようとしている、「福島第1原発の廃炉作業」に
おいて、
「核燃料の搬出」と、原子炉内で溶け落ちた「燃料デブリの
取り出し」という、
ものすごく重要な部分を、東芝が担っています。
だから「東芝」という会社は、
「原発事業で採算がとれなくなったので完全撤退する」
という訳には、なかなか行かないのでしょう。
むしろ反対に、どんなに会社が潰(つぶ)れそうになろうとも、
福島第1原発の廃炉と、これまで作ってきた原発の廃炉につい
ては、
きっちりと最後まで、責任を持って取り組まなければなりません。
そしてそれが、
(東芝だけでなく)この世に原発を作ってしまった企業の、
社会にたいして必ず取らなければならない責任であると、
声を大にして言わざるを得ません。
原発の「作り逃げ」は、絶対に許されないのです!
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