漠然とした不安と焦燥
                             2016年12月18日 寺岡克哉


 今年の3月に、私の身内の者が、ガンで亡くなりましたが、

 このたびまた、別の身内の者の、ガンの疑いが濃厚になってきま
した。



 というのは、レントゲン撮影で肺に異常が見つかり、

 CT検査(注1)や、PET検査(注2)へと、精密な検査を行うにした
がって、

 ガンである可能性が高くなってきたからです。



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注1 CT: (Computed Tomography コンピューター断層撮影)

 「CT検査」は、X線を使い、身体の断面(輪切り)を少しずつ「ずらして」、
連続的に撮影します。

 撮影した後、コンピューターによって画像を立体的に再構成し、ガン
の疑いのある場所を3次元的に特定します。



注2 PET: (Positron Emission Tomography 陽電子放射断層撮影)

 ガン細胞は、正常な細胞に比べて活動が活発なため、3~8倍の
ブドウ糖を取り込むという特徴があります。

 「PET検査」は、その特徴を利用して、たくさんブドウ糖を取り込んで
いる細胞を探すことによって、ガンを発見します。


 具体的には、まず、

 ブドウ糖に、目印となる「ポジトロン核種 (陽電子放出核種)」を
合成した薬剤を、体内に注入します。

 ポジトロン核種が放出する陽電子(反電子)は、まわりの電子と反応
(対消滅)して、放射線(ガンマ線)に変わる特徴があります。

 このガンマ線の出る場所と量が、ブドウ糖を消費する細胞の目印と
なるのです。
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 ちなみに、このたびの「PET検査」による診断の結果は、

 「左上葉肺癌として矛盾のない所見です。PET上、明らかな転移
の所見を認めません」

 と、いうものでした。



 いま現在、

 「気管支鏡」というものを使って、肺の疾患部位そのものから、検査
用の標本(つまり患部の細胞)を取りだしており、

 さらに詳しい検査の、「結果待ち」の状態となっています。


            * * * * *


 ところで・・・ 

 おそらく、上で話したような状況に、なっているからだと思うの
ですが、

 私が昔によく感じていた、「漠然とした不安と焦燥」を、

 最近また、感じるようになってきました。



 つまり、

 大きな石でも飲み込んだかのように、「ズン」と胃が重くなり、

 何やら、訳も分からず、無性に「イライラ」とするのです・・・ 


            * * * * *


 久しぶりに、そのような精神状態になったので、

 なぜ自分が、こんな気持ちに襲われるのかを、私なりに分析してみま
した。


 そうすると、

1.「これから一体、どうなってしまうのか?」 「お金が、どれくらい必要
 になるのか?」 「どれぐらいの介護が必要になるのか?」などのよう
 な、未来に対する恐れや不安。

2.本当にガンなのかどうか、いま一つ病気の状況が、はっきりしない
 という焦燥、イライラ。

3.「ガンの可能性が濃厚であるという現実」を否定したい気持ち。つま
 り、ガンの可能性を払拭(ふっしょく)したいという強い願望があるのに、
 それが叶えられないことによる不安や焦燥。



 これらのものが混然となって、「漠然とした不安と焦燥」を生じさせて
いるように思えました。

 そして、そのような自己分析を行った結果、

 依然として将来にたいする心配は存在するものの、「漠然とした不安
と焦燥」の方は、解消して、感じなくなってしまったのです。



 このことから、以上のような方法、

 つまり、「まだ未解決ではあるけれども、問題点だけでも明確にする」
という方法が、

 「漠然とした不安と焦燥」を解消するのに有効であることを、自分なり
に発見できた次第です。



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