原発費用の大きさを明確にせよ!
2016年12月4日 寺岡克哉
私が住んでいる北海道の、地元新聞によると、
福島第1原発の事故で、東京電力が被災者の賠償に充(あ)てた費用
のうち、
2013年度~2015年度までの3年間で195億6000万円を、北海道民
の大部分が「知らずに負担していた」ことが分かりました。
原発事故の賠償費用が巨額に上ることから、国が、東京電力以外の
電力会社も資金を負担する仕組みを作ったためで、
北海道電力が2013年度以降から、電気料金に上乗せ(うわのせ)して
徴収していたのです。
* * * * *
ところで、福島第1原発の事故では、
避難指示区域から避難した人々や、店や会社の営業が出来なく
なった事業者の人々への、
慰謝料や損害賠償などが、すでに5兆円を超えています。
そのため国は、
認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」という組織を通じて、
ひとまず賠償金を建て替えることにし、それぞれの電力会社から
回収する仕組みを作ったのです。
「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」には、
東京電力を含めた原発を持つ「電力会社10社」と、使用済み核燃料
の再処理工場を持つ「日本原燃」が、
「一般負担金」という名目で、数10年かけて支払う予定です。
この「一般負担金」は、国の制度によって、
電気料金を決めるときの「原価」として、算入することが認められて
います。
つまり、それぞれの電力会社は、賠償金の負担を「電気料金に
上乗せできる」わけです。
ちなみに、負担する金額は、
それぞれの電力会社の保有する原発の出力や、稼働した年数に
よって異なっていますが、
2015年度では、東京電力の567億円をはじめとして、11社で
合計1630億円となっています。
* * * * *
さらには!
福島第1原発事故の、賠償費用だけでなく、
青森県の六ヶ所村で計画されている、使用済み核燃料の再処理
費用や、
まだ処分の候補地さえ決まっていない、高レベル放射性廃棄物の
処分費用、
そして2015年の原発会計変更後に、廃炉を決めた老朽(ろうきゅう)
原発の廃炉費用なども、
私たちの知らないうちに、すでに電気料金に組み込まれているの
です。
ところが、その一方で、
太陽光発電や、風力発電などの、「再生可能エネルギー」につい
ては、
(北海道電力の場合)毎月家庭に届けられる「電気ご使用量の
お知らせ」という紙に、
徴収する金額が、明確に記載されているのです。
具体的には、たとえば私の家の場合、
「今月分の計算金額(概算)6,860円 うち再エネ発電賦課(ふ
か)金544円」
というように、再生可能エネルギーの普及のために徴収される
金額が、
毎月々々、明確に知らされるのです。
* * * * *
これらを見ると、電力会社側は、
「再生可能エネルギーの導入には金がかかるけれど、原発は
安い」
というようなイメージを、私たち国民に植えつけるように、植え
つけるようにと、
わざと意図的に、「情報操作」をしているように感じてなりません。
たしかに、原発を作ってしまった以上は、そのための費用は
絶対に必要です。
原発事故の費用も、何とかして捻出(ねんしゅつ)しなければ
なりません。
つまり私は、
原発のための費用を支払うことに対して、反対しているのでは
ないのです。
そうではなく、
「原発費用の莫大(ばくだい)さ」を、公明正大に、誰にでも
分かるように、明確に示すべきだ!
と、つよく主張したいのです。
再生可能エネルギーの費用にたいする取り扱い方にくらべて、
原発費用の取り扱い方は、あまりにも卑怯(ひきょう)で姑息(こ
そく)であると、
言わざるを得ません。
目次へ トップページへ