アメリカ大統領選 1
                              2016年9月25日 寺岡克哉


 トルコ情勢が気になるところですが、

 いよいよ11月8日に迫ってきた「アメリカ大統領選挙」も、

 日本を含めた世界の国々にとって、ものすごく重大な関心事です。



 というのは、

 共和党から指名された、ドナルド・トランプ候補が、

 じつに「過激な発言」をしているからです。



 さらには、

 その「過激な発言」をくり返すトランプ候補が、

 民主党から指名されたヒラリー・クリントン候補と、

 支持率が拮抗(きっこう)しているからです。



 もしもトランプ候補が、アメリカの大統領になってしまったら・・・ 

 もしも本当に、そうなってしまったら、

 日本を含めて、「世界的な大混乱」が起こってしまうかも知れません。



 なので本サイトでも

 このたびのアメリカ大統領選挙にたいして、その結果が分かるまで、

 注視して行きたいと考えています。



 それで、まず今回は、

 日本に対しての、トランプ候補の「過激な発言」について、見ていき
たいと思います。


            * * * * *


 さて、

 すこし以前になりますが、トランプ候補は今年の5月4日。

 日本(や韓国)などの同盟国は、「駐留しているアメリカ軍の経費
の、全額を負担する必要がある」
という認識を示しました。

 そして、これに応じなければ、

 アメリカ軍の撤退など、日米間の合意を解消し、「核保有」も含め
て、自主防衛を促す考えを示した
のです。



 この日、トランプ候補はアメリカCNNのインタビューで、

 財政難などから「アメリカは世界の軍隊や警察官をする余裕はない」
と強調しました。

 そして、「アメリカは日本を防衛しているが、我々が投じた膨大な労力
やエネルギー、兵器を返済してもらっていない」と主張して、

 駐留アメリカ軍の経費について、「同盟国が全額を支払うべきだ」と
いう見解を示したのです。



 その上で、

 駐留費の負担増が拒否された場合は、「アメリカは取引を解消する
覚悟をしなければならない」として、

 防衛協力の解消や、駐留アメリカ軍の撤退も示唆しました。



 また、

 日本(と韓国)の、「核保有」を容認する可能性については、

 「覚悟はできている。もし同盟国がきちんと対処し、我々に敬意を払わ
なければ、彼らは自力で防衛しなければならない」と語っています。



 しかし、その一方でトランプ候補は、

 「多くの人が ”トランプは日本の(核)武装を望んでいる” と言っている
が、私は同盟国に(核)武装化を望んでいるわけではない」

 「私が望むのは、少なくとも経費の面で我々に返済すべきということだ」
と述べて、

 あくまで同盟国の負担増が重要だという認識を示しています。


            * * * * *


 それから日数が少し経った、5月27日になると、

 トランプ候補は、サンディエゴで開かれた支持者による集会で、

 日本の核武装についての、民主党のクリントン候補の批判に反論し、

 「彼女は、私が日本に核兵器を持ってほしいと言っていると言うが、
そんなことは言っていない。彼女はうそつきだ」

 と述べて、軌道修正を図っています。



 しかしながらトランプ候補は、

 今年の3月に、アメリカCNNが開いた市民集会で、

 「日本の核武装を認めてこなかったアメリカの、長年の政策は見直す
べき時だ」と、主張していました。



 また今年の4月には、フォックスニュースのインタビューで、

 「北朝鮮は核を持っていて、日本はそれに対して問題を抱えている。
多分、日本は(核武装も含めて)北朝鮮から自衛した方がいい」

 という、発言もしています。



 これらのことから、

 大統領選挙が近づくにつれて、トランプ候補の発言が「軌道修正」
されるかも知れませんが、

 しかしながら、トランプ候補の真意(つまり本当の気持ち)は、

 必要ならば、日本が核兵器を保有するのも、やむを得ないという、

 「核武装容認」であるような気がしてなりません。


             * * * * *


 ところでまた・・・  トランプ候補は、

 日本とアメリカにおける「為替(かわせ)の問題」にたいしても、

 過激な発言をしています。



 たとえば、

 2015年7月にアリゾナ州で行なわれた演説で、トランプ候補は、

 「日本のアベ(安倍晋三首相)は、(アメリカ経済の)殺人者だが、
ヤツはすごい。」

 「地獄の円安で、アメリカが日本と競争できないようにした」

 と述べて、つよく批判しました。



 また、2015年9月に行われた、エコノミスト誌のインタビューでは、

 「友人が(キャタピラー社のトラクターではなく)コマツのトラクターを
買ったのは、円安・ドル高のせいで、アメリカが日本との価格競争に
勝てなくなったからだ。」

 「機械の性能ではない。このレベルの円安誘導では、競争自体が
不可能だ」

 と述べて、日本を批判しています。



 さらにトランプ候補は、

 2016年に入っても、上のようなキャタピラー社の話を、くり返して
おり、

 日本(や中国)を「為替操作の名人」と呼んで、大統領に就任した
あかつきには、

 「為替操作国を ”制裁” する」と、主張しているのです。



 ちなみに、

 2013年の4月から始まった、日銀の大規模な金融緩和によって、

 1ドル90円ぐらいだったのが、2015年の6月には、1ドル125円
ぐらいの円安になりました。



 なので、

 もしもトランプ候補が、大統領になってしまったら、

 少なくても、日銀の大規模金融緩和が行われる前の状態、

 つまり、1ドルが90円よりも「円高」になるように、

 日本に対して強烈な圧力を、かけてくるのではないでしょうか。


 なんとなく私には、そのような気がしてなりません。


            * * * * *


 以上、ここまで見てきましたように、


 在日アメリカ軍の、経費の全額負担。

 在日アメリカ軍の撤収。

 日本の核武装。

 1ドル90円以上の円高。



 もしもトランプ候補が、大統領になってしまったら、

 まず第一に、わが国の日本が、ものすごく大きな影響を受けて、

 「大混乱」に陥ってしまうかも知れません。



 なので、

 民主党のクリントン候補には、なんとか頑張ってもらいたいと、

 願ってやまない次第です。



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