7人の日本人がテロで死亡
2016年7月10日 寺岡克哉
いま現在、参議院選挙の開票作業が進められていますが、
自民党や公明党、大阪維新の会などの、憲法改正に前向きな勢力が、
改憲の国会発議に必要な、全議席の3分の2を占めてしまうのかどうか、
まったく予断を許さない状況です。
* * * * *
さて、日本時間で7月2日の未明・・・
バングラデシュの首都ダッカで、武装グループによるテロ事件が発生し、
7人の日本人をふくむ人質20人が殺害され、2人の警官も死亡しました。
殺された7人の方々は、国際協力機構(JICA)の開発支援事業に携(た
ずさ)わっていたといいます。
ところで、
JICAの事業といえば、「青年海外協力隊」が有名ではないでしょうか。
私の知り合いの中にも、大学山岳部の後輩や、中学生のときからの友人
が、青年海外協力隊に参加してアフリカに行った経歴を持っています。
そして一方、
私が以前に所属していた大学院研究室の先輩や後輩たちも、
国際共同の実験や、国際学会や国際ミーティングなどで、世界の各地に
出向くことが多々あります。
なので近ごろ、
「海外で、日本人がテロのターゲットにされている」ことに対して、
もしかしたら私の知り合いも、テロ事件に巻き込まれてしまうのではない
かと、
とても心配な気持ちでいる次第です。
* * * * *
しかしながら、
どうして日本人が、テロのターゲットにされるように、なってしまったので
しょう?
その理由については、
本サイトに掲載している2015年2月1日付けのエッセイ676の、
” 「イスラム国」が日本人を殺害 2 ” で言及していますので、
その部分を以下に抜粋してみます。
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エッセイ676から抜粋
日本時間で(2015年)2月1日の午前5時ごろ。
「イスラム国」とみられる組織が、後藤健二さんを殺害したとする動画を
インターネット上に投稿したのです。
その映像では、オレンジ色の服を着た後藤さんとみられる男性が、砂漠
のような所でひざまずき、
後藤さんの後ろには、黒い服を着た覆面姿の男がナイフを持って立ち、
メッセージを述べています。
以下は、そのメッセージの全文です。
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日本政府よ。
お前たちは邪悪な有志国連合の愚かな参加国と同様、我々がアラーの
ご加護によって権威と力を備えたイスラム教カリフ国家であり、お前たち
の血に飢えた軍であることを理解していない。
安倍(首相)よ。
勝ち目のない戦争に参加するというお前の無謀な決断のために、この
ナイフは健二(後藤健二さん)だけを殺害するのではなく、お前の国民は
どこにいたとしても、殺されることになる。日本にとっての悪夢を始めよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、上のメッセージを語り終わると、
覆面姿の男が、後藤さんの首にナイフを突きつけたところで映像がいっ
たん暗転し、
続いて、後藤さんとみられる遺体が映し出されています・・・ 。
・・・ 中略 ・・・
(どうやら)日本国民のすべてが、「イスラム国」による「殺害の対象」になっ
てしまったみたいです。
どうして、そんなことに、なってしまったのか・・・
今後、日本国内だけでなく、世界中で活動している日本人の安全を、どの
ようにして守って行くのか・・・
いま日本は、たいへん大きな問題を抱え込んでしまったのだと、言わざるを
得ません。
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ところで、
テロ現場になったレストランの、隣に住んでいた目撃者の証言によると、
「私は日本人だ! どうか打たないでくれ」
と、テロリストに対して言った日本人がいたみたいです。
しかし私は思うのですが、上の抜粋で示したように、
とくに「イスラム国」に関係したテロリストに対しては、
「自分が日本人であること」をアピールしても、命の助かる可能性が
上がるわけではなく、
反って逆効果になってしまうのでは、ないでしょうか。
つまり、
もはや日本は、戦争を放棄した平和的で友好的な国ではなく、
「イスラム国」にたいして積極的に敵対する、いわゆる「敵国」になって
しまったのでは、ないでしょうか。
すくなくても「イスラム国」側が、そのように認識してしまったのは、おそ
らく間違いないと思います。
そうだとすれば、
「イスラム国」系のテロリストに対して、自分が日本人であることを
アピールするのは、
「私は敵国の人間だ!」と、テロリストを挑発しているようなものであり、
それは「とても危険な行為」であると、私には思えてなりません。
* * * * *
ところでまた、このたびのテロ事件では、
武装グループの男たちが、人質に向かって「コーランを暗唱しろ」と命令し、
イスラム教の聖典であるコーランの一節を、人質達にそらんじさせました。
そして犯人グループは、
コーランを暗唱できたバングラディシュ人を、手荒く扱いませんでしたが、
しかし、コーランを暗唱できなかった外国人にたいしては、容赦しなかった
といいます。
このことから、私は思うのですが、
どうしても仕事などで、イスラム圏の国に行かなければならないときは、
コーランの一節ぐらいは、英語かできればアラビア語で、暗唱できるように
しておいた方が良いのではないでしょうか。
たしかに、もしも「付け焼刃の信仰」であることがテロリストにバレてしまっ
たら、反って逆効果になってしまう可能性も否定できません。
しかし、これからイスラム圏の国々に赴(おもむ)こうとするならば、
自分の命を守るために、少なくてもコーランの基礎知識ぐらいは頭に入れ
ておく必要があるのではないかと、そのように思えてならないのです。
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