TPPに対する心配や不安
2015年10月25日 寺岡克哉
先日の10月5日に、
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)というのが、
「大筋合意」をしました。
ところが日本政府は、
その合意内容について、なかなか明らかにしなかったのです。
そのため、国民の間に「疑念」が広がっていました。
そんな状況のなか、
政府は10月20日になってやっと、
TPPにおける「関税交渉」について、その全容を発表しました。
それによると、
農林水産物と鉱工業製品などを合わせた、全部で9018品目
のうち、その95.1%にあたる8575品目の関税が、
即時に、あるいは長いもので30年の時間をかけて、撤廃されて
行くことになっています。
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ところで、
輸入や輸出などの「貿易」にたいする、「関税」が撤廃されれば
(つまり税金が掛からなくなれば)、
自動車などの工業製品を、外国に安く輸出することができ、
小麦や牛肉などの食料品を、外国から安く輸入することができ
るようになります。
だから、
日本の経済が活性化されること、つまり「景気が良くなること」
が期待でき、
さらには、
食べ物が安くなって、「生活が楽になること」も期待できるで
しょう。
このような意味で、
日本国民の大部分にとっては、
TPPの大筋合意が「好ましいこと」のように、感じるかもしれま
せん。
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ところが!
TPPに関しては、「ものすごく非常に心配なこと」があるの
です。
それは、
日本の食糧自給率が40%ていどと、ものすごく低いことです。
つまり、大ざっぱに考えてみると
日本の人口は、およそ1億2700万人ですから、
もしも外国から、いっさいの食糧が輸入できなくなったら、
1億2700万人×0.4=5080万人しか、養うことが出来なく
なってしまいます。
つまり残りの、1億2700万人-5080万人=7620万人は、
「餓死」することになるのです。
上の想定は、ものすごく極端であることは私も承知しています。
が、しかし例えば、もしも日本と中国の関係がひどく悪化して、
中国から「食糧制裁(つまり日本への食料品の輸出規制)」など
を受けるような事態になったら、
日本国内の食料品が、すぐに高騰してしまうでしょう。
このような想定は、それほど極端であるとは思えません。
なので、やはり、
日本の「食糧安全保障」が、つねに脆弱(ぜいじゃく)な状態にある
というのは、
けっして否定できない事実なのです。
そして、さらにはTPPの導入によって、
日本の国民が、安い外国産の食料品ばかりを食べるようになっ
て行ったら・・・
日本の農業は、一体どうなってしまうのでしょう?
日本の「食糧自給率」が、さらに下がってしまうのでは、ないで
しょうか?
日本の「食糧安全保障」は、さらに脆弱になってしまうのでは、
ないでしょうか?
国民の安全・安心を謳(うた)う安倍政権は、
その辺のところを、一体どのように考えているのでしょう?
* * * * *
以上、ここまで見てきましたように、
TPPに対する心配や不安、そして疑念・・・
それらは今後も、まったく尽きることがないように、私には思えて
ならないのです。
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