10段ピラミッドが崩れる
                           2015年10月11日 寺岡克哉


 今年は日本人が相次いで、「ノーベル賞」を受賞しました。

 とても喜ばしい限りです。


           * * * * *


 ところが最近・・・ 

 そのような喜ばしい話題とは、まったく逆の、

 「ものすごく腹立たしい事故」が起こりました!



 先月の27日。

 大阪府・八尾市の、私立・大正中学校で行われた運動会で、

 1年生から3年生の男子生徒157人が参加した、巨大組体操の
「10段ピラミッド」が崩れ、

 下から6段目にいた1年生が右腕を骨折し、5人が軽いケガを
負ったのです。



 さらに、この中学校では、

 昨年の運動会でも、「10段ピラミッド」が完成後に崩れて1人が
骨折するなど、

 前日の練習中や、別の組体操(4段タワー)も含め、合わせて4人
もの生徒が骨折していたといいます。



 ちなみに、

 大阪市の教育委員会は、組体操の重大事故を防ぐため、

 ピラミッドは5段、タワーは3段までとする規則を設けています。


             * * * * *


 ところで私には、

 10段のピラミッドなんて、とても正気の沙汰とは思えません!



 というのは、

 私も、たしか中学生だったときに、

 体育の授業で、4段のピラミッドをやらされた覚えがあるからです。



 そのとき私は、いちばん下の段でしたが、

 たった4段のピラミッドといえども、

 膝(ひざ)と手のひらは、地面の砂や小石が喰いこんで痛いし、

 背中は、2段目の人の膝がグリグリと押しつけられて痛かった
ことを、今でも覚えています。



 そして何よりも、

 ただ痛くて、重いだけの、こんな「無意味」なことを、

 「強制的にやらされる」ことに、激しい憤(いきどお)りを感じ
ていました。




 たしか、そのときの体育の先生は、

 「ピラミッドは、最低でも5段が当たり前だ」

 「4段のピラミッドで、痛いだの重いだのと、ヒーヒー言うな」

 と、いうようなことを、言っていたかと思います。


           * * * * *


 いま話したように、

 たった4段のピラミッドでさえ、その痛さと、重さと、そして「ゆらゆら
と揺れる不安定さ」を考えれば、

 大阪市の教育委員会が、「ピラミッドは5段まで」という規制を設け
ているのは、まったく当然のことだと私は思います。



 それなのに大正中学校は(大阪市ではなく大阪府・八尾市にある
学校ですが)、

 10段もの巨大ピラミッドを、生徒たちに、やらせていたのです。



 さらには、

 昨年に、怪我人が出ていたにも拘(かかわ)らず、

 今年もまた、懲(こ)りもせずに10段のピラミッドをやらせたわけ
です。



 やはり私には、とても正気の沙汰とは思えません!



 生徒たちにケガをさせてまで、あるいは怪我人が出るのを前提
としてまで、

 10段ピラミッドのような「巨大組体操」を、強制的にやらせなけ
ればならない理由が、

 いったい、どこに存在すると言うのでしょう?



 そしてなぜ、

 たとえば組体操をやらせるにしても、5段ぐらいのピラミッドでは、

 ダメなのでしょう?



 私には、まったく理解できません!



      目次へ        トップページへ