集団的自衛権について思うこと
2015年9月27日 寺岡克哉
先日の9月19日に、
集団的自衛権の行使を可能にする、安全保障関連法が成立して
しまいました。
今回は、そのことについて、私の思っていることを書いてみたいと
思います。
* * * * *
しかし、その前に
共同通信社が9月19、20日の両日に、安全保障関連法に関する
世論調査を行っているので、
ちょっと、その結果を見てみましょう。
この共同通信の世論調査によると、「安全保障関連法の成立」に
ついて、
「国会での審議が尽くされたとは思わない」という回答が、79.0%
にも上り
「尽くされたと思う」という回答は、14.1%にしか過ぎませんでした。
また、
安全保障関連法にたいする安倍政権の姿勢に関しては、
「十分に説明しているとは思わない」が、81.6%にも上り、
「十分に説明していると思う」は、13.0%にしか過ぎません。
そして、
安全保障関連法が成立したことにより、「自衛隊が戦争に
巻き込まれるリスク」が、どうなるかについては、
「(リスクが)高くなる」が、68.0%にも上り、
「(リスクは)変わらない」が27.1%、
そして「(リスクが)低くなる」は、たったの2.5%にしか過ぎな
かったのです。
* * * * *
さて、
集団的自衛権の行使を可能にする、安全保障関連法の成立に
ついて、私が思っていることですが、
この法律は、最低でも、来年(2016年)の11月8日以降に
なるまで、絶対に成立させるべきではありませんでした。
というのは、
来年の11月8日に、アメリカの大統領選挙が行われることになっ
ており、
「民主党」のオバマ現大統領に代わって、「共和党」の候補が、
次期の大統領に選ばれる可能性が濃厚だからです。
この、「アメリカ共和党」というのは、
「伝統的な保守層」によって支持されている政党であり、
「軍事力による秩序」と、「強力な同盟関係」による安全保障
政策を基本としており、
アメリカ国内における内政面では、「銃規制に反対」しています。
つまり「アメリカ共和党」というのは、
戦争などの武力行使を辞さない考えをもつ、「タカ派」の政党
なわけです。
たとえば、共和党から選出された大統領に、
ロナルド・レーガン(在任期間1981~1989年)という人がいま
すが、
この大統領は、ベトナム戦争以来において、初めて本格的な外国
への武力侵攻を行いました。
また、
共和党のジョージ・H・W・ブッシュ大統領(在任期間1989~1993
年)は、「湾岸戦争」を行い、
さらには、その子供である、
共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領(在任期間2001~2009年)
は、「イラク戦争」を行っています。
このように、近年において、
共和党からアメリカ大統領が選出されたときは、まったくロクな
ことがないのです!
* * * * *
なので、
つぎのアメリカ大統領選挙で、「共和党」から大統領が選出され、
そしてさらには、アメリカの「武力行使」が頻繁に行われるようになっ
て行ったら・・・
もしも、そうなったら(恐らくその可能性は高いと思いますが)、
日本はすでに、「集団的自衛権の行使」を可能にしてしまったので、
アメリカのいいように、日本の自衛隊が「こき使われる」ようになるの
では、ないでしょうか。
つまり日本の自衛隊が、
「戦争」に巻き込まれてしまうリスクが高くなるのは、
火を見るより明らかではないでしょうか。
以上から、
もともと私は、集団的自衛権の行使を可能にすることには「反対」で
したが、
最低でも、次期のアメリカ大統領選挙が行われる2016年の11月
以降までは、
絶対に、集団的自衛権の行使を可能にしてはならないと、たいへん
強く思っていたわけです。
つまり、
次期の大統領が決まったあとの、アメリカの動向をしっかりと見極めて
から、
その後あらためて、日本での国民的な議論をひろく行い、
「憲法違反の問題」も含めて、集団的自衛権の行使にたいする判断を
すればよかったのです。
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