安全保障関連法が成立!
2015年9月20日 寺岡克哉
ものすごく残念なことですが・・・
集団的自衛権の行使を可能にする「安全保障関連法」が、
参議院の本会議で、可決・成立してしまいました!
* * * * *
さっそくですが、
これまでの経緯を、ざっと見ていくと、だいたい次のようになり
ます。
まず、
安全保障関連法案を審議している「参議院の特別委員会」は、
9月15日に「中央公聴会」を開き、
9月16日の午後に、横浜で「地方公聴会」を開きました。
そして特別委員会は、地方公聴会の終了後に、
安倍首相も出席して「締めくくりの総括質疑」を行うことを、
鴻池(こうのいけ)委員長の職権で決めていました。
しかしながら、
民主党などが、特別委員会の前に開かれた理事会で、
「地方公聴会の直後に、締めくくりの総括質疑を開催するのは問題
だ」
「国民の理解が深まっていない中での開催は受け入れられない」
と主張し、総括質疑に強く反対したことから、9月16日に「参議院の
特別委員会」は開かれませんでした。
* * * * *
9月17日。
安全保障関連法案を審議している「参議院の特別委員会」は、
鴻池(こうのいけ)委員長が、職権で決めた午前8時50分からの
理事会を、
通常の理事会室ではなく、委員会室で行おうとしたため、野党が
強く反発しました。
そして、
鴻池・委員長が、委員会の開会を宣言すると、
野党は、鴻池・委員長にたいする「不信任動議」を提出したのです。
これを受けて、同日の午後。
参議院の特別委員会で、不信任動議の採決が行われましたが、
自民・公明両党などの賛成多数により、否決されてしまいました。
さらには、それに続いて直ちに、
「質疑の打ち切りを求める動議」が提出され、
自民・公明両党などの賛成多数で、質疑の打ち切りが決まって
しまいました。
そして民主党などが抗議するなか、同日の午後4時半ごろ。
これまでの審議を締めくくる「総括質疑」を行わないまま、
参議院の特別委員会において、安全保障関連法案が「強行
採決」され、
自民・公明両党と、次世代の党、日本を元気にする会、新党
改革の賛成多数で、可決されてしまったのです!
このことに関して、民主党の枝野・幹事長は、国会内で記者団に
たいし、
「十分な審議が尽くされておらず、採決がなされたと言える代物
ではない」
「これをもって、(特別)委員会で可決されたとするならば、とうてい
許されない暴挙だ」
「ほかの野党とも連絡を取りながら、最大限、抗議し、戦っていく
という方向だ」
「(安全保障関連)法案の成立阻止に向けて、さらに努力を重ねて
いく」
と、述べています。
また、共産党の志位・委員長は、党の衆参議員団会議で、
「”戦争法案”の強行採決にたいし、満身の怒りを込めて抗議の声
をぶつけたい」
「国民の6割以上が、いまの国会での成立に反対する中で、憲法
違反であることがこれだけ明瞭な(安全保障関連)法案を、地方公聴
会の翌日に、こういうやり方で採決したことは、まさに言語道断の
暴挙だ」
「戦いはこれからであり、この法案をあくまで阻止するために、あら
ゆる手段を行使して戦い抜きたい」
と、述べています。
* * * * *
・・・さて、
参議院の「特別委員会」で、安全保障関連法案が可決されてしまった
ので、
法案の成立阻止をめぐる攻防は、その後、参議院の「本会議」で行わ
れていきます。
その経緯について、時間を追って見ていくと、およそ以下のようになり
ます。
まず、9月17日の午後7時19分。
参議院運営委員会の中川・委員長が理事会で、安全保障関連法案
を「緊急上程」する参議院本会議の開催を、自らの職権で決めました。
これに反発した民主党は、参議院運営委員会の理事会で、中川・委員
長の解任決議案を提出しています。
9月17日 午後8時10分。
参議院の本会議が開かれ、中川・委員長の解任決議案の審議が
始まりました。
9月17日 午後9時25分。
民主党が、中谷・防衛相の問責決議案を提出しました。
9月17日 午後9時27分。
民主党が提出した、中川・委員長にたいする解任決議案が、反対
多数により「否決」されました。
9月17日 午後11時08分。
山崎・参議院議長が、日付をまたいで本会議を継続するための
「延会」を宣言しました。
日付が変わって、9月18日の午前2時00分。
民主党が、山崎・参議院議長の不信任決議案を提出しました。
9月18日 午前2時04分。
中谷・防衛相の問責決議案が、与党などの反対多数で「否決」され
ました。
参議院の本会議は、その後、休憩に入ります。
9月18日 午前10時03分。
参議院の本会議が再開され、山崎・参議院議長の不信任決議案
にたいする審議が始まりました。
9月18日 午前11時15分。
民主党が、安倍首相の問責決議案を、参議院に提出しました。
9月18日 午前11時26分。
山崎・参議院議長の不信任決議案が、与党などの反対多数で
「否決」されました。
9月18日 午後2時00分。
民主、維新、共産、社民、生活の野党5党が、内閣不信任決議案
を、「衆議院」に共同提出しました。
9月18日 午後2時23分。
民主党が、参議院特別委員会の鴻池・委員長にたいする問責
決議案を提出しました。
9月18日 午後2時44分。
安倍首相の問責決議案が、与党などの反対多数で「否決」され
ました。
9月18日 午後8時01分。
「衆議院」の本会議で、内閣不信任決議案が、与党などの反対
多数で「否決」されました。
9月18日 午後11時04分。
鴻池・委員長の問責決議案が、与党などの反対多数で「否決」
されました。
9月18日 午後11時05分。
参議院の本会議が、9月19日の午前0時10分に再開することを
決めて「延会」になりました。
日付が変わって、9月19日の午前0時12分。
参議院の本会議が再開し、「安全保障関連法案」の審議が始まり
ました。
そしてついに、9月19日の午前2時20分。
集団的自衛権の行使を可能にする「安全保障関連法」が、
自民・公明両党などの賛成多数により、可決・成立してしまった
のです!
投票結果は、賛成が148票、反対が90票でした。
* * * * *
以上、ここまで見てきましたように、
野党側は、
参議院運営委員会の中川・委員長にたいする解任決議案、
中谷・防衛相の問責決議案、
山崎・参議院議長の不信任決議案、
安倍首相の問責決議案、
衆議院への内閣不信任決議案、
参議院特別委員会の鴻池・委員長にたいする問責決議案、
これらの決議案を、次から次へと提出して、法案の採決に抵抗
をしました。
しかし残念ながら、
多数を占める与党によって、それらの決議案は、ことごとく否決
されてしまい、
「安全保障関連法の成立を阻止できなかった」というのが、
どうしても認めざるを得ない、「厳しい現実」となってしまったの
です。
これから先、
日本という国が、どのような方向に進んで行ってしまうのか
ものすごく危惧されてなりません。
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