川内原発が再稼働
                           2015年8月16日 寺岡克哉


 今年は、広島・長崎の原爆投下から、ちょうど70年目ということで、

 テレビや新聞などのマスコミでは、精力的な取材や報道がされて
いるように思います。



 「原爆の投下」は、本当に、ものすごく悲惨な出来事です。

 私が初めて、そのことを知ったのは、子供のころに「はだしのゲン」
というマンガを読んだときでした。

 その話の内容は、すっかり忘れてしまいましたが、

 全身が焼けただれた人々などの、「とても恐ろしい描写」があった
ことだけは、今でも覚えています。



 日本は「被爆国」であり、70年前の記憶を、けっして忘れてしまう
訳にはいきません。

 また、被爆された方々にたいしては、「補償」を続けていかなけれ
ばなりませんし、

 さらには「核兵器の廃絶」も、世界にたいして訴え続けていかなけ
ればならないでしょう。


             * * * * *


 ところで!

 こと「放射能汚染」に関して言えば、

 いま現在において、広島や長崎の原爆投下よりも、さらにもっと
酷(ひど)い規模で起こっています。

 言うまでもありませんが、「福島第1原発事故」のことです。



 福島の原発事故による放射能汚染は、

 おそらく最低でも、広島型原爆の800倍以上の規模になって
います(注1、注2、注3)。

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注1:

 山田、渡辺の分析(注2)によると、福島第1原発事故で漏れ出した
放射性物質の量は、
 ①大気中への放出、②汚染水中への漏出、③海水への直接の流出、
の3つを合計すれば、
 チェルノブイリ原発事故の、2倍超~20数倍の規模になると結論づけ
ています。

 また一般的に、チェルノブイリ原発事故で放出した放射性物質の量
は、広島型原爆のおよそ400倍とされていますから(注3)、

 両者を単純に比較すると、福島第1原発事故で漏れ出した放射性
物質の量は、広島型原爆の800倍~8000倍の規模となります。


注2 参考文献:
 福島事故による放射能放出量はチェルノブイリの2倍以上 ―福島
事故による放射性物質の放出量に関する最近の研究動向が示すもの
山田耕作 渡辺悦司 2014年5月16日

注3 参考文献:
 チェルノブイリ事故との比較 (ウィキペディア)
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 そして、原発事故から4年以上が経った、いま現在においても、

 福島県では、およそ11万人の人々が避難しており、

 第1原発では、「放射能に汚染された水」が発生し続けています。



 このように、

 福島第1原発事故は、けっして「収束」などしていないのです!


            * * * * *


 そんな状況であるにもかかわらず、九州電力が、

 鹿児島県にある川内(せんだい)原発を、再稼働させてしまい
ました!




 8月11日の午前10時30分に、

 川内原発1号機の「制御棒」を引き抜いて、原子炉を起動させた
のです。

 そして、同日の午後11時には、

 原子炉内で核分裂が連続して起こる、「臨界」という状態に達して
います。



 ちなみに、

 原発が稼働するのは、福井県にある「大飯原発」が停止して以来、
1年11ヶ月ぶりです。

 つまり、

 日本のすべての原発が停止する「原発ゼロ」状態が、1年と
11ヶ月で終了してしまったのです!




 この1年と11ヶ月の間、

 「原発ゼロ」でも、日本は何の問題も発生しなかったのに、

 なぜ、わざわざ原発を「再稼働」させなければならないのか、

 まったく訳が分かりません。



         * * * * *


 以上、ここまでの話をまとめると、


 広島・長崎の原爆投下を経験した日本が、

 いま現在、「原発事故」によって、広島型原爆の800倍以上もの
放射能汚染が起こっているにも拘(かかわ)らず、

 「原発の再稼働」を強行している訳です。


 今の日本は、

 そのような訳の分からない、「すごく変な国」になってしまったの
です。



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