働いたら犯罪? 2
                             2015年7月26日 寺岡克哉


 私は、

 2014年1月19日付のエッセイ622「働いたら犯罪?」で、

 以下のような文章を書きました。



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 食品偽装・・・ 

 耐震偽装や違法建築・・・ 

 原発、薬品、列車のレールなどの、データの捏造や改ざん・・・ 

 事故やトラブル隠し・・・ 



 つまり、

 これら「会社ぐるみの犯罪」に加担してしまったら、

 ただの平社員であっても、「犯罪者集団の一員」になってしまう
のです!




 近年における企業社会の「堕落ぶり」を見ると、

 そのような「犯罪者集団の一員」になってしまった人々が、

 何千人か、もしかしたら何万人という数で、存在しているかも知れ
ません。
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 この「エッセイ622」では、

 会社の上司の命令に逆らうことなく、ひたすら従順に、一生懸命
に働くこと。

 まさに、そのことによって、

 「犯罪者」にされてしまう危険性が、存在することについて言及し
ました。



 そして最近も・・・ 

 ものすごく大規模な「企業ぐるみの犯罪」が発覚しました。

 いわゆる、東芝による「不適切な会計処理」の問題です。


 それで今回のエッセイの題名を、「働いたら犯罪? 2」と、しま
した。


            * * * * *


 さて、東芝は7月21日。

 組織的な利益水増し(不適切な会計処理)の問題により、

 田中久雄社長、佐々木則夫副会長、西田厚聡相談役の、

 社長経験者3人が辞任すると発表しました。



 また、東芝は同日。

 社外を除く12人の取締役のうち、田中、佐々木両氏を含めて、

 8人の辞任も発表しています。



 この、「不適切な会計処理」の問題とは、

 2009年の3月期から、2014年の4~12月期までに、

 合計で1518億円の利益を、「水増し」したというものです。



 西田、佐々木、田中の歴代3社長が、

 「チャレンジ」と称して、「無理な収益目標の達成」を強く迫った
ため、

 多くの事業部門が、その「無理な目標」を達成させるために、

 不適切な会計(利益の水増し)を、同時並行的かつ組織的に
実行してしまったのです。


            * * * * *


 この、「不適切な会計処理」の問題について、


 証券取引監視委員会は、

 有価証券報告書などの「虚偽記載」にあたる可能性があると
みて、

 課徴金を課すように、金融庁に勧告する「行政処分」を検討して
います。


 また、東京証券取引所は、

 東芝の株式について、上場を維持しながら内部管理体制の
改善を求める、

 「特定注意市場銘柄」に指定する見通しです。



 ちなみに、

 この問題について、経済アナリストの森永卓郎さんは、

 「同じような不適切な会計処理自体は多くの企業であることだが、
これだけ大規模で意図的、組織的となると ”粉飾決算” だと
言わざるを得ない


 「現状では、東芝が(東京証券取引所の)上場廃止となる可能性
は低いだろう」

 「最終的に廃止を免れれば、東京電力が福島第1原発事故を起こ
してもつぶれないのと同様、国策にとって重要な企業は何をやって
もいい
という誤解を与えかねない」

 「これでは日本経済への信用が低下するのは明らかで、金融庁や
証券取引所は厳しく対応すべきだ」

 と、話しています。


            * * * * *


 以上、ここまで見てきて私は思うのですが、

 巷(ちまた)では、「不適切な会計処理」などと、ピンボケした表現
が使われていますが、

 しかし、これは明らかに「虚偽記載」や「粉飾決算」であり、「犯罪
行為」であることは間違いありません!




 東芝には、20万人もの従業員がいると言われますが、

 いったい何人の人々が、この「犯罪」に、直接的あるいは間接
的に加担してしまったのでしょう?


 おそらく、末端の関係者まで含めると、相当な数に上るのではない
かと思います。



 私は、ここで強く言っておきますが、

 企業のトップや上司が、その地位を悪用して「部下に犯罪を強要」
するなんて、

 まったくもって言語道断(ごんごどうだん)であり、絶対に許される
ものではありません!




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