ギリシャが事実上のデフォルト
2015年7月5日 寺岡克哉
今に始まったことではありませんが、
最近また、ギリシャが「デフォルト(債務不履行)」に陥る危険が
大きくなってきたため、
マスコミや、世界の金融市場が騒がしくなっています。
たとえば、6月29日の東京株式市場では、
日経平均株価が596円も値下がりして、今年最大の下げ幅を記録
しました。
さらには、
ロンドン、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、アメリカ、中国、インド、
シンガポールなどでも、
株価が大きく値下がりし、「世界同時株安」の様相を示しています。
そして、さらには、
ギリシャ国内の銀行が、6月29日に「営業を停止」しました。
ATM(現金自動支払機)も、稼働を停止しましたが、
一部の銀行では、1銀行あたり1日の引き出し限度額を60ユーロ
(およそ8200円)にして、利用可能になりました。
ATMが稼働し始めると、アテネの市民は長い行列をつくり、
1日の限度額である60ユーロを引き出して、
「わずかでもないよりまし。毎日これを続けるしかない」と、疲れた
表情で語っていました。
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ところで、
「デフォルト(債務不履行)」とは、いったい何でしょうか?
「デフォルト」というのは、
国や企業など、「債券(国債や社債)」を発行した者が、
利払いや、元本の支払いを、停止することです。
つまり「デフォルト」の意味を、ごく簡単に説明すれば、
国や企業レベルにおける、「借金の踏み倒し」のことだと、
いえるでしょう。
* * * * *
ところで、
ギリシャがデフォルトに陥ると、一体どうなるのでしょう?
一般的には、「デフォルト」が起こると、
利息が支払われなっかり、元本が回収できなかったりするため、
債券を保有する金融機関などが、多額の損失を被(こうむ)り
ます。
また例えば、ある国がデフォルトに陥ると、
その国のお金(通貨)への信用が失われて、急激なインフレが
起こるとされています。
ただしギリシャの場合は、
EU(ヨーロッパ連合)に加盟している28ヶ国のうち、ギリシャを
含む19ヶ国が、
独自の通貨を廃止し、共通の通貨として「ユーロ」を使用して
います。
そのため、デフォルトの影響はギリシャだけに留まらず、
経済が弱体化しているスペインやイタリアなどの、南欧諸国に
たいしても、
「信用不安の連鎖」が広がる可能性が考えられます。
さらに、「最悪のシナリオ」としては、
ギリシャが共通通貨としての「ユーロ」から、離脱する可能性も
考えられます。
この場合は、EU(ヨーロッパ連合)にたいする加盟国の支持
が揺らいで、
世界の株式市場が、大きく混乱する可能性があります。
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現地時間で7月1日の午前0時(日本時間で7月1日の午前
7時)・・・
ついにギリシャは、
IMF(国際通貨基金)から負った、16億ユーロ(およそ2200
億円)の債務を、
支払期限である、上記の刻限までに返済できませんでした。
そのためIMFは、
ギリシャを返済が遅れた「遅滞国」と認定しましたが、
これは、「事実上のデフォルト状態」だと言われています。
ギリシャ国内では、銀行預金の流出(つまり預金の引き出し)が
加速しており、
もしも今後、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が、ギリシャの銀行へ
の資金供給を停止するならば、
ギリシャ政府は、自国のみで使えるようにした「ユーロとは別の
通貨」を使わざるを得なくなり、
「事実上のユーロ圏離脱」となってしまいます。
しかし現在のところ、幸いながら、
ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、ギリシャの銀行への資金供給
を続けています。
ところがギリシャでは、7月5日に、
EU(ヨーロッパ連合)がギリシャ支援の条件としている「緊縮
財政」を、
受け入れるかどうかを問う「国民投票」が、行われることになって
います。
そして、もしも、
その国民投票で、「緊縮財政」の受け入れが拒否された場合は、
ECB(ヨーロッパ中央銀行)が、その後もギリシャへ資金供給を
続けるのかどうか、
まったく不透明な状況となっているのです。
* * * * *
以上、ここまで見てきましたように、
7月5日に行われるギリシャの国民投票が、一体どんな結果に
なるのか・・・
そして、その国民投票の結果しだいで、
EU(ヨーロッパ連合)やECB(ヨーロッパ中央銀行)と、ギリシャ
との関係が、一体どのようになって行くのか・・・
それらが、いま現在における「最大の関心事」となっています。
なので、この「ギリシャ問題」については、
この先も、まだまだ目が離せない状況が、続いて行くことになる
でしょう。
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