国会の会期を95日間も延長
2015年6月28日 寺岡克哉
6月22日。衆議院の本会議で、
このたびの通常国会の会期を95日間延長し、9月27日までとする
ことを、
自民党や公明党、そして次世代の党など、賛成多数によって議決
されました。
この議決が無ければ、
国会の会期は、6月24日で終了していたところです。
ちなみに、
通常国会の会期が95日も延長されたというのは、今まで過去に
例がなく、
ものすごく異例のことです!
(これまでの記録は、1981年の第96回通常国会における94日の
延長)
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しかしなぜ、国会の会期を、95日も延長したのでしょう?
その理由は、
「集団的自衛権の行使」を可能にする「安全保障関連法案」を、
「廃案」に持ち込まれることなく、確実に成立させたいからです。
というのは、
国会には「会期不継続の原則」と呼ばれるものがあって、
「法案の議決」は、「会期ごとに独立したもの」とされており、
このたびの国会で議決されなかった法案が、次の国会に引き
継がれることはなく、
会期中に議決されなかった法案は、基本的には審議未了で
「廃案」になってしまう(注1)からです。
つまり、
このたび国会の会期を延長しなければ、
「集団的自衛権の行使」を可能にする「安全保障関連法案」は、
6月24日をもって、審議未了で「廃案」となっていたわけです。
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注1:
ただし国会法では、「会期不継続の原則」の例外も認めており、
衆参の各議院で議決されれば、その法案は「継続審議」となって、
つぎの国会に引き継がれます。
しかしながら、継続審議となった法案を、つぎの国会で成立させ
るためには、その会期中に改めて衆参両方の議院の議決が必要
となります。
つまり前の国会で、衆参どちらかの議院で可決されていたとして
も、その議決が、その次の国会へ引き継がれることはありません。
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95日間の会期の延長が決まり、安倍首相は、
「この国会は ”平和安全法制” など戦後以来の大改革を断行
する ”改革断行国会” だ」
「十分な審議時間を取って徹底的に議論し、成立を目指したい」
と述べて、安全保障関連法案を、審議を尽くしたうえで成立させ
る決意を示しました。
ちなみに自民・公明の与党側は、7月の始めには衆議院を通過
させたい考えです。
一方、これに対して民主党などは、
「95日間の延長はあまりにも非常識で長すぎる」と反発しており、
民主党の岡田代表は、「国会をいったん閉じて、法案を再整理
して出し直すのが本来のあり方だ」
と述べて、政府や与党の対応を批判しました。
憲法学者たちや、元内閣法制局長官たちからも、
「集団的自衛権の行使」を可能にする「安全保障関連法案」は、
「憲法違反」だとする指摘が相次いでおり、
このことを踏まえて民主党などは、法案の問題をさらに追及して
いく方針です。
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以上、ここまで見てきましたが、
安倍首相のやり方は、あまりにもムチャクチャで、強引すぎ
ます!
なぜなら、
大多数の憲法学者が、安全保障関連法案の「廃案」に賛同して
おり(6月11日の時点で220人)、
また、
共同通信社が6月20日と21日に実施した世論調査では、
安全保障関連法案が「憲法に違反していると思う」という回答が
56.7%に上っており、
安全保障関連法案に「反対」は58.7%
安全保障関連法案の今国会成立に「反対」は、63.1%にもなっ
ているからです。
安倍首相は、こんな状況であるにもかかわらず、
「集団的自衛権の行使」を可能にする「安全保障関連法案」を、
いまの国会で、強引に成立させようとしているのです。
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