特定秘密保護法が施行
                           2014年12月14日 寺岡克哉


 本日(12月14日)に行われた衆議院選挙は、自民党が圧勝して
しまいました。

 こらから先、「安倍政権の暴走」が懸念されてなりません。


            * * * * *


 ところで!

 12月10日に、特定秘密保護法が施行(しこう)されました。

 これは、正式には「特定秘密の保護に関する法律」というもので、

 この法律の目的は、第一条に以下のように記(しる)されています。

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第一条
 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に
係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の
発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障
(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障
することをいう。以下同じ。)に関する情報のうち特に秘匿することが必要
であるものについて、
これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、
整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、
特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることに
より、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資す
ることを目的とする。
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 この記述を見ると、

 日本の安全保障に関する情報のうち、とくに秘密にすることが必要な
ものを、「特定秘密」に指定すると明記されています。



 そして、このような「特定秘密」を、

 外部に漏らしたり、不正な手段で取得したり、唆(そそのか)して知ろう
とした場合は、以下のような罰則が定められています。

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     特定秘密の保護に関する法律 第7章 罰則 (抜粋)

第二十三条(第一項)
 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定
秘密を漏らしたとき
は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下
の懲役及び千万円以下の罰金
に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事
しなくなった後においても、同様とする。

第二十四条(第一項)
 外国の利益若しくは自己の不正の利益を図り、又は我が国の安全若しくは
国民の生命若しくは身体を害すべき用途に供する目的で、人を欺き、人に
暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、
施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為
の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に
規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を
害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は
情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。


第二十五条
 第二十三条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆
し、又は煽動した者は、五年以下の懲役
に処する。


第二十七条
 第二十三条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。
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 この記述を見ると、

 これまで、公務員が職務上知り得た秘密を漏らした場合は、国家公務
員法の守秘義務違反により、最高刑が懲役一年でしたが、

 これからは、「特定秘密」を漏えいした場合、最高で懲役10年および
1000万円の罰金が科せられることになります。

 つまり従来にくらべて、ものすごく罪が重くなったのです。



 また、ネットユーザーに関係することでは、

 「不正アクセス行為」によって特定秘密を入手した場合、最高で懲役
10年および1000万円の罰金が科せられることになります。

 たとえば面白半分でハッキングなどをやり、特定秘密を入手すれば、
こんなに重い罰を受ける可能性があります。


             * * * * *


 ところで、「特定秘密」の指定件数は、

 防衛省や外務省、警察庁など19の行政機関において、

 防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の、「4分野55項目」にたいし、

 全体で46万件前後になるとみられています。



 46万件!

 「特定秘密」というのは、こんなに膨大な数に上るのです。



 たとえば防衛省では、自衛隊の作戦などに関する情報など、およそ4万
5000件が特定秘密の指定対象になっており、

 外務省では、外国からの提供情報など、およそ2万1000件が指定対象
になっています。

 また、特定秘密の指定対象全体(約46万件)では、その、およそ九割が
「衛星の情報」だといいます。



 行政機関別の正確な指定件数は、年内にも公表される見込みですが、

 「4分野55項目」の解釈によっては、さらに指定範囲が広がりかねない
という指摘もあります。



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 たしかに、

 防衛や外交などの分野では、国益を守るために秘密にしなければなら
ない情報も、多々あるでしょう。


 しかしながら、

 行政機関による秘密の拡大解釈などが横行すれば、「国民の知る権利」
が脅かされる
恐れもあります。


 たしかに、

 何でもかんでも特定秘密に指定されないよう監視するため、

 「内閣府」や「内閣官房」、そして「国会(衆参両院)」に、監視機関が
設けられます。


 しかしながら、

 内閣府や内閣官房というのは、そもそも安倍政権の身内であり、

 国会も、自民党が圧勝してしまっては、安倍首相の思いのままとなる
でしょう。



 安倍首相は、特定秘密保護法について、

 「二重三重の仕組みによって、恣意的で不正な運用はできない」と、
再三にわたり強調しています。

 が、しかし、

 どうも胡散(うさん)臭くて、そう簡単には信用できないというのが、
私の正直な気持ちなのです。



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