衆議院選挙に向けて
                             2014年12月7日 寺岡克哉


 もうすぐ、12月14日に衆議院選挙が行われますが、


 前回2012年の衆議院選挙のとき・・・ 

 民主党の野田政権は、「原発の再稼働」を強引に進めていました。

 さらには、「消費税の増税法案」を閣議決定し、国会で可決させたの
です。



 そのため私は、

 これでは自民党と何ら変わらないではないか!

 こんなことでは、政権運営や経済政策に慣れているぶん、まだ自民党
の方がましではないか。

 と、感じていました。



 そうしたら、私の思った通り、

 2012年12月16日に行われた前回の衆議院選挙では、自民党が
294議席を獲得して圧勝しました。

 このときの衆議院の定数は480議席でしたから、自民党は単独で
過半数を占めたことになります。

 また、連立を組んでいる公明党の31議席を合わせると、325議席
となり、

 定数の3分の2(320議席)を上回って、参議院で否決された法案で
あっても、衆議院で「再可決」できる議席数となったのでした。



 さらには、

 2013年7月21日に行われた参議院選挙で、自民党が65議席を
獲得し、非改選の50議席を合わせて115議席となりました。

 公明党の20議席(当選11、非改選9)も合わせると、自公連立の
与党は135議席で、参議院でも過半数(121議席以上)となり、

 衆議院と参議院で多数派が異なる、いわゆる「ねじれ状態」という
のが解消されたのでした。



 もう、こうなってしまうと、安倍政権の「本性」がむき出しになり、

 集団的自衛権容認の閣議決定。

 特定秘密保護法の制定。

 原発の推進。

 労働者派遣法の改正(事実上の改悪)。

 残業代ゼロ法案。

 お札を刷ることによる、円の価値の下落(異常な円安)。

 円安による、物価の上昇(インフレ)。

 物価上昇による、実質賃金の減少(16ヶ月連続でマイナス)。

 消費税の増税における、景気条項の撤廃。

 税金の配偶者控除の廃止。

 などなど、まったくムチャクチャなことを、やり始めたのでした。



 つまり前回の衆議院選挙のときに、民主党が、自民党並みになっ
てしまったと思ったら、

 じつは自民党は、さらにもっと酷(ひど)かったというのが、現在の
状況だと思うわけです。



 なので今度の衆議院選挙では、

 自民党と民主党の違いを、良く見ておかなければならないと感じ
た次第です。


             * * * * *


 さて、上のような理由で、

 自民党と民主党の、政権公約を比べてみたら、

 以下のような点が、大きく異なっているように思いました。



●憲法改正

 自民党: 憲法改正原案を国会に提出し、改憲を目指す。

 民主党: 憲法改正の中身を問うこともなく、改正手続きの要件緩和を
       先行させることには反対する。



●集団的自衛権

 自民党: 集団的自衛権行使を容認した7月の閣議決定に基づき、
       安全保障法制を速やかに整備する。

 民主党: 集団的自衛権行使容認の閣議決定は立憲主義に反する
       ため撤回を求める。



●原発

 自民党: 原発を重要なベースロード電源と位置付けて活用。原子力
       規制委員会が新基準に適合すると認めた場合、原発再稼働
       を進める。

 民主党: 2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策
       資源を投入。責任ある避難計画がなければ、原発を再稼働
       するべきでない。



●消費税

 自民党: 2017年4月に消費税率を10%へ引き上げる。

 民主党: 安倍政権の経済政策「アベノミクス」による国民生活の悪化・
       経済低迷・約束した社会保障の充実・安定化と議員定数削減
       が果たされていない状況を踏まえ、消費税率の引き上げは
       延期する。



●雇用

 自民党: (労働者派遣法を改悪しておきながら)派遣労働者らの正規
       雇用への転換を果断に進める。

 民主党: 労働者派遣法の改悪、労働時間規制の適用を除外する「ホワ
       イトカラー・エグゼンプション」導入など労働規制緩和を認めな
       い。「同一労働同一賃金推進法」を制定。



 以上を見くらべると、

 やはり自民党と民主党とでは、ずいぶん違うことが分かります。

 こんどの選挙の、参考になれば幸いです。


             * * * * *


 ところで・・・ 

 私はつねづね、疑問に感じていることがあります。

 それは、「どうして共産党が伸びないのか?」ということです。



 なぜなら、

 いまの日本社会は、非正規雇用、サービス残業、ブラック企業などが
横行しており、

 低い賃金で、過酷な労働を強いられている人々。

 さらには、身も心もズタズタに破壊され、企業から「使い捨て」にされ
た人々。

 このような人々が、ものすごく多いのではないかと思うからです。



 そして一方、

 このことに関連した共産党の公約は、次のようになっています。

○労働者派遣法の改悪、ホワイトカラー・エグゼンプションや裁量労働
 規制の拡大に反対する。

○「サービス残業根絶法」を制定。

○「ブラック企業規制法」の制定で、ブラック企業、ブラックバイトをなくす。

○最低保障年金制度を目指す。(保険料納付にかかわらず月5万円の
 最低保障額を設定し、その上に、支払った保険料に応じた給付を上乗せ
 する。)



 どうでしょう?

 非正規雇用や、ブラック企業で苦しんでいる人々。

 身も心もズタズタに破壊されて、働けなくなってしまった人々。

 このような人々には、けっこう賛同できる内容ではないでしょうか。



 また、

 民主党の脱原発政策が「手ぬるい」と感じている人々に紹介しますと、
共産党の公約は次のようになっています。

○原発再稼働ストップ。

○原発輸出を直ちに中止する。

○即時原発ゼロを決断し、全ての原発を直ちに廃炉プロセスに入れる。

○再生可能エネルギーの大規模な普及と低エネルギー社会への移行を
 進める。



 たしかに、

 共産党政権が誕生するほどの、大量の議席を獲得することは、あり得ない
と思います。

 しかしながら、

 もしも共産党が大躍進すれば(たとえば50議席ぐらい獲得すれば)、自民
党にたいする大きなプレッシャーとなり、

 さらに次の選挙を考えれば、もうそれ以上、共産党の議席を伸ばさせる訳
にはいかず、

 自民党は好き放題にムチャクチャなことが、出来なくなるのではないでしょ
うか。

 昨今における、安倍政権の暴走を見ていると、

 それぐらいの方が、バランスが取れているような気がしてなりません。



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