原発が攻撃される危険性 9
                             2014年8月3日 寺岡克哉


 今回は、

 中東の反米国家や、イスラム過激派組織によって、

 日本の「原発が攻撃される危険性」について、考えてみたいと思い
ます。


            * * * * *


 ・・・かつて日本人は、

 第2次世界大戦でアメリカに立ち向かった民族として、アラブ社会
で尊敬されていました。

 だから日本は、もともと中東諸国とは友好な関係を築いていたの
です。



 しかしながら!

 2003年の3月に「イラク戦争」が起こり、

 同年の7月には「イラク特措法」が国会で成立して、イラクに自衛隊
を派遣する方針が決定しました。



 そうすると、

 イスラム過激派組織の「アルカイダ」が、日本を名指しして敵対する
ようになり、

 2003年の10月には、中東のテレビ局アルジャジーラが、「日本へ
報復する」というオサマ・ビンラディンの声明を流しました。

 そして同年の11月。日本人の外交官2人が、イラクの北部で武装
勢力に銃撃されて殺害されています。



 このように、かつては日本と友好関係にあった中東諸国でしたが、

 今では、中東の反米国家や、イスラム過激派組織とは、敵対関係に
なってしまいました。

 この先、集団的自衛権が行使され、

 日本の自衛隊が中東で、アメリカ軍との共同作戦を行うようになれば、

 中東の反米国家や、イスラム過激派組織とは、ますます敵対関係が
強烈になっていくでしょう。


              * * * * *


 ところで、もしも、

 中東の反米国家や、イスラム過激派組織が、日本の原発に攻撃を
仕掛けるとしても、

 地理的にとても離れているため、「軍事攻撃の危険性」は、ほとんど
無いのではないかと思います。



 たしかに、たとえばイランは、

 国産のロケットで人工衛星を打ち上げる能力を持っており、「ミサイル
開発の問題」が気になります。

 しかし、日本に到達するような長距離弾道ミサイルが、イランに実戦
配備されているという情報はまだありません。

 なので現在のところ、

 中東の反米国家が、日本の原発に「軍事攻撃」を仕掛けてくるという
可能性は、ほとんど無いと考えるのが妥当でしょう。



 つまり、

 中東の反米国家や、イスラム過激派組織が、日本の原発に攻撃を
仕掛けるとすれば、

 それは恐らく、「テロによる攻撃」しかないと思います。


              * * * * *


 しかしながら、

 日本の社会に深く食いこんでいる、在日朝鮮人や在日中国人と違って、

 中東の反米国家や、イスラム過激派組織が、日本の原発にテロ攻撃を
仕掛けるというのは、なかなか難しいでしょう。



 しかし、そうではありますが、

 たとえば2001年の9月11日にアメリカで起こった、航空機を使った
同時多発テロのような攻撃は、日本の原発にたいしても可能かも知れ
ません。

 というのは、

 イスラム過激派組織の「アルカイダ」が、日本国内のアメリカ関連施設
に対して、旅客機をハイジャックして激突させるテロを検討していたことが、
アメリカ議会の独立調査委員会が公表した報告書で発覚したからです。

 そして、前回の「エッセイ649」で触れましたように、

 川内原発の審査書案でも、「故意による大型航空機の衝突による大規
模な航空燃料火災」というテロが想定されているのです。



 また、今から23年前の話になりますが、

 1991年に、「悪魔の歌」という小説を翻訳した筑波大学の助教授が、
暗殺されるという事件が起こっています。

 「悪魔の歌」は、イスラム教の開祖であるムハンマドの生涯を題材に
して、イギリスの作家が1988年に書いた小説ですが、

 その内容には、イスラム教への揶揄(やゆ)が多く含まれていたため、
イスラム社会から「冒涜(ぼうとく)的」であると、激しい反感を買ってしま
いました。

 そして1989年になると、イランの最高指導者ホメイニ師によって、悪魔
の歌の作者、および発行に関わった者などに、「死刑宣告」が出されたの
です。

 そのため、筑波大学助教授の殺害にも、イラン革命政府との関係が取り
沙汰(ざた)されていました。

 その15年後の2006年には、真相が明らかにならないまま、殺人罪の
公訴時効が成立して「未解決事件」となっています。



 これらのことを考えると、

 イスラム勢力による「テロの実行能力」を、けっして侮(あなど)ることは
できません。


               * * * * *


 そしてまた、

 日本では、あまり広く知られていないと思いますので、とくに注意しな
ければなりませんが、

 じつはインドネシアが、世界最大のイスラム教国なのです。



 ちなみに、インドネシアの各地では、

 2011年から2012年にかけて、警察官やキリスト教徒を狙ったテロ
攻撃が続発しました。

 そして、

 これらの事件の容疑者には、イスラム過激派組織での活動歴がある
者や、テロ実行グループの爆弾専門家などと関係した者などが、含ま
れていたのです。



 だから今後、

 インドネシアからの「外国人労働者」の受け入れが、日本で広がれば、

 その中に紛れ込んで、イスラム過激派組織に関係する者が、日本国内
に潜伏してしまう危険性は、

 けっして否定できないでしょう。



 以上、ここまで見てきましたが、

 集団的自衛権が行使され、中東において日本の自衛隊が、アメリカ軍
との共同作戦を行うようになれば

 中東の反米国家や、イスラム過激派によって、日本の原発がテロ攻撃
を受ける危険性は、

 やはり、増加していくのではないかと思われてなりません。



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