原発が攻撃される危険性 3
                             2014年6月22日 寺岡克哉


 前回では、

 もしも北朝鮮が、日本の原発にたいして「軍事攻撃」を仕掛けるとしたら、

 (1)弾道ミサイルによる攻撃と、(2)航空機による攻撃が考えられま
したが、

 このうち、(1)の弾道ミサイルによる攻撃の危険性について、レポートし
ました。

 今回は、その続きです。


               * * * * *


(2)航空機による攻撃の危険性

 防衛省のサイトによると、北朝鮮が保有する戦闘機で、日本の脅威と
なりうるもの。

 いわゆる第3世代戦闘機とか、第4世代戦闘機と呼ばれるものには、

 ミグ23(56機)、ミグ29(18機)、スホイ25(34機)があります。



 一方、それらに対抗する日本の戦闘機は、

 F15(201機)、F2(80機)、F4(56機)があります。



 これらの戦力を比べると、

 日本側が圧倒的であり、北朝鮮の戦闘機は、あまり脅威ではないよう
に思えます。

 しかも、前回でレポートした弾道ミサイルの「ノドン」は、そのすべてが
日本を攻撃目標にしているのに対し

 北朝鮮の戦闘機は、韓国やアメリカの戦闘機とも、戦わなければなり
ません。

 そのことも考えると、北朝鮮の戦闘機による、日本の原発への空爆に
ついては、ほとんど心配しなくて良いように感じます。



 しかしながら・・・ じつは過去の私の体験から、

 「それでもやはり、心配がぬぐい切れない!」という思いがあるの
です。



 その「体験」とは、

 1975年にソ連の「ミグ25」戦闘機が、北海道の函館空港に強行着陸
した事件です。

 その当時、私は函館の中学校で、国語の授業を受けていました。

 そうしたら、それまでの人生で聞いたことがない、耳を劈(つんざ)くよう
な、ジェット機の「ものすごい爆音」が鳴り響いたのです。

 同じクラスで授業を受けていた生徒の中には、教室の窓から空を見て
いる者もいます。

 国語の教師は、「いいから授業に集中しろ!」と、怒鳴っていました。



 その後まったく普通に、その日の学校が終わり、自宅に帰ってから、

 ソ連の戦闘機が、函館市の上空まで侵入し、空港に強行着陸したことを
知ったのでした。

 もしもソ連の戦闘機が、「空爆」を目的にして、函館市の上空に侵入した
のなら、

 学校の教師に「いいから授業に集中しろ!」と、怒鳴られている間に、

 外国から攻撃されているのを知らず、まったく逃げる間もなく、爆撃を
受けていたことでしょう。

 そのことを悟(さと)ったとき、私は愕然(がくぜん)としました。

 あのときの印象が、あまりにも強烈だったので、授業の科目まで覚えて
いるほどです。



 とにかく私は、上のような体験から

 たとえ、たった1機でも、北朝鮮の戦闘機の侵入を許してしまったら、

 「空対地ミサイル」や「爆弾」によって、ピンポイントで正確に、

 「原発が攻撃される危険性」があるのではないかと、心配せざるを
得ないのです。



               * * * * *


 さて次に、ここから、

 「中国」によって、日本が攻撃される危険性について、

 考えて行きたいと思います。



 まず第1に中国は、

 じつに多くの国々や地域で、領土問題や国境問題、そして独立運動など
が起こっています。



 ざっと挙げてみると、

 日本、台湾、韓国、ロシア、インド、パキスタン、モンゴル、タジキスタン、
アフガニスタン、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、新疆ウイグル
自治区、チベット自治区

 などの国や地域と、さまざまな衝突を「中国」は起こしているのです。



 これらの国々や地域での「衝突」にたいして、

 もしも、アメリカが「軍事介入」をすることになったら・・・ 

 そしてさらには、日本の「集団的自衛権」が行使されたら・・・ 

 もしもそんな状況になったら、日本は、アメリカの軍事介入に協力
せざるを得なくなるでしょう。


 そうなれば日本も、「中国の敵国」として認識されてしまいます。



 とくに、南シナ海の「西沙諸島」「南沙諸島」で起こっている、

 中国と周辺国(ベトナム、台湾、フィリピン、マレーシア、ブルネイ)との
小競り合い。

 あるいは「台湾海峡」を挟(はさ)んでの、中国と台湾との睨(にら)み
合い。

 これらの問題がエスカレートしたとき、

 アメリカが「軍事介入」する可能性は、かなり高くなるのではないかと
思われます。


               * * * * *


 しかしながら、日本と中国の関係に事(こと)を限れば、

 尖閣諸島周辺における「小競り合い」が、この先さらにエスカレート
していき、

 「軍事衝突」に発展してしまう危険性が、けっこう大きいのではない
かと思います。




 というのは、

 2012年の9月に民主党の野田政権が、尖閣諸島を国有化して以来、

 中国の船が、尖閣諸島の周辺海域で、「領海侵犯」を頻繁(ひんぱん)に
行なっているからです。

 さらに中国は2013年11月。東シナ海において、尖閣諸島の上空をも
含む「新たな防空識別圏」を設定しており、

 今年の5月と6月には東シナ海の上空で、日本の自衛隊機と、中国軍機
「異常接近」が相次いで起こっています。



 一方、安倍政権は現在、

 「武装集団による離島の不法占拠」のような事態、いわゆる「グレーゾーン
事態(注1)」が発生したとき、

 自衛隊に武力行使が認められる「防衛出動」の要件を緩和したり、武器の
使用基準を緩和しようとしています。

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 注1 グレーゾーン事態:

 グレーゾーン事態とは、外国からの軍事攻撃つまり「有事」とまでは行かない
けれど、海上保安庁(警察権)だけでは対応が困難な事態を指します。

 具体的には、漁民を装った中国の武装集団による尖閣諸島の占拠や、公海
上における民間船への襲撃などを想定しており、

 機関銃などで重武装している場合、海上保安庁では対応できない可能性が
あります。
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 これら、

 2012年に尖閣諸島を国有化してから、いま現在までの動きを見ると、

 日本と中国が「軍事衝突」する危険性は、けっして低下することがなく、

 「どんどん高まる一方」というのが現状です。


               * * * * *


 もしも・・・ 

 もしも尖閣諸島で「軍事衝突」が起こり、それがエスカレートして行ったら、

 中国によって、日本の原発が攻撃される危険性はあるでしょうか?



 申し訳ありませんが、それについては次回でレポートしたいと思います。



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