原発が攻撃される危険性 2
                             2014年6月15日 寺岡克哉


 日本が「集団的自衛権」を行使した場合、

 日本の原発に攻撃を仕掛けてくる危険性がある国や勢力は、

 北朝鮮、中国、中東の反米国家、イスラム過激派などが、おもに挙げら
れるでしょう。


 今回は、「北朝鮮」によって原発が攻撃される危険性について、考えて
みたいと思います


               * * * * *


●攻撃される危険性


 まず、

 日本が集団的自衛権を行使したとき、北朝鮮から攻撃される危険性
が発生するのは、

 北朝鮮がアメリカに向けて発射した弾道ミサイルを、日本の自衛隊が
迎撃するときが考えられます。



 あるいは、

 韓国と北朝鮮が戦争状態になる、いわゆる「朝鮮半島有事」が起こった
とき、

 とうぜんアメリカは、韓国と協力して北朝鮮と戦うわけですが、

 そのときアメリカの艦艇を援護するために、日本の自衛隊が、北朝鮮軍
(朝鮮人民軍)と交戦する場合なども、考えられるでしょう。



 ところで、

 アメリカの本土にまで到達できる、北朝鮮の弾道ミサイルとしては、すで
「テポドン2」というのが存在します。

 なので北朝鮮が、アメリカに向けてミサイルを発射した場合には、

 アメリカから日本にたいして、「迎撃要請」が来るのは、まず間違いない
でしょう。



 一方、「朝鮮半島有事」のさいには、

 アメリカの艦艇に対して、北朝鮮の艦艇、潜水艦、飛行機などが攻撃を
加えるでしょう。

 そのような場合に、「集団的自衛権」が行使されれば、

 アメリカの艦艇を援護するために、日本の自衛隊が、北朝鮮の艦艇や
潜水艦や飛行機と戦わなければ、ならなくなるでしょう。



 ちなみに日本は、1950年に「朝鮮戦争」が起こったとき、

 高みの見物をしながら、「朝鮮特需」による好景気を満喫(まんきつ)
していました。

 しかし今後、「集団的自衛権」が行使されるようになれば、その頃の
ようには、絶対に行かないでしょう。



 さて・・・ 

 上に挙げたような理由で、もしも北朝鮮が、日本への攻撃を決意し、
しかも「原発」を襲うとしたら、

 「テロ攻撃」「軍事攻撃」の、2つの場合が考えられるでしょう。


 次に、それぞれの場合について考えて行きたいと思います。


              * * * * *


テロ攻撃の危険性


 法務省によると、外国人登録者のうちで、「韓国・朝鮮」の登録者数、

 つまり在日朝鮮人の数は、2013年末現在で55.0万名となって
います。



 これら55万人のうち、

 (韓国ではなく)北朝鮮との関係が深い人々が、どれぐらい居るのか、
じつは良く分かっていません。

 そのことに関してインターネットでは、いろいろな数字が飛び交って
いますが、

 少なくても数万人〜10万人ていどの人数ではないかと思われます。



 もちろん、

 それら、北朝鮮と関係が深い人々のすべてが、「北朝鮮のテロリスト」
である訳がありません。

 しかしながら、日本の原発について、いろいろと詳しく調べることはでき
るでしょうし、

 もしかしたら、たとえば下請けの原発作業員の中にも、そのような人々
が混(ま)じっているかも知れません。

 なので、

 北朝鮮がその気になれば、テロ活動を行うための「原発の情報」を入手
することは、おそらく可能だと思います。



 また、

 「いざ鎌倉」ならぬ、「いざ北朝鮮」という事態が発生したときに、

 「日本にいる北朝鮮と関係の深い人々」が、行動を起こすかも知れま
せん。

 あるいは、

 北朝鮮本国から秘密裏(ひみつり)に送られてくる「工作員」を、

 「日本にいる北朝鮮と関係の深い人々」が、手引きをしたり、一時的に
匿(かくま)ったりするかも知れません。



 (考えるだけでも嫌ですが)これらのことを考え合わせると、

 もしも北朝鮮が、日本の原発に「テロ攻撃」を仕掛けてきたら、

 現在のところ、「防ぐ手段が無い」のではないかと思えてなりません。



               * * * * *


軍事攻撃の危険性

 もしも北朝鮮が、日本の原発にたいして「軍事攻撃」を仕掛けるとしたら、

 その方法は、(1)弾道ミサイルによる攻撃と、(2)航空機による攻撃が、
考えられるかと思います。



(1)弾道ミサイルによる攻撃の危険性

 北朝鮮は、日本のほぼ全域を射程圏内に収めた、「ノドン」と呼ばれる
「弾道ミサイル」を持っています。

 「ノドン」の射程は1300キロで、保有数は2009年の時点で320発
いわれています。

 北朝鮮のミサイルが、中国やロシアの領土を攻撃することは、ほとんど
考えられないので、

 これら320発のノドンが、「日本を攻撃目標」にしているのは間違い
ありません。




 ところで、

 ノドンの「命中精度」については、いろいろな説があって、

 CEP(半数命中半径)が190メートル〜2500メートルまで、とても大きな
幅があります。



 たとえば、もしもノドンの半数命中半径が、一般によく言われる2000
メートルていどなら、

 おなじ1つの目標に向けて、たとえば10発のミサイルを発射したとき、
目標から半径2000メートル以内に着弾するのが5発だということです。

 このような低い命中精度なら、たとえばミサイルに「核弾頭」を装着して、
東京などの大都市を攻撃するのには有効でしょうが、

 「通常弾頭」を装着して、原発施設に命中させることは、とても難しい
でしょう。



 しかしながら、ノドンの半数命中半径が190メートルならば、

 「原子炉そのもの」に、ミサイルを命中させるのは不可能だとしても、

 3機〜4機の原発施設が建ち並んでいれば、それらのうちの、どれかを
破壊することは可能でしょう。



 もしも原発施設が攻撃されたら、福島第1原発の事故で分かったように、

 「原子炉そのもの」が破壊されなくても、冷却用の電源や、冷却水の配管、
使用済み燃料プールなどが破壊されたら、

 核燃料が「メルトダウン」して、大量の放射性物質が放出され、日本の
国土が「壊滅的な被害」を受けてしまうのです。



 たしかに、日本には、

 イージス艦の迎撃ミサイル(SM3)と、地上からのパトリオット迎撃ミサイ
ル(PAC3)の、

 2段構えによる「弾道ミサイル防衛システム」があります。

 しかし現在のところ、原発施設には「パトリオット」が配備されていません。



 そして一方、北朝鮮には、

 ノドンの発射機が、最大で50基も存在するという情報があります。

 つまり北朝鮮は、最大で、1度に50発のノドンを発射できる可能性が
あるわけです。



 ところが!

 弾道ミサイル(ノドン)を迎撃できるイージス艦は、いま現在のところ
日本に4隻しかなく、

 しかも1隻あたり、同時に発射されたノドンを撃墜できるのは、条件が
良くても2〜3発ていどだと言われています。



 なので、

 もしも北朝鮮から、同時に50発ものノドンが発射されたら、

 イージス艦だけでは、8〜12発ていどのノドンしか撃墜できません。



 以上を考え合わせると、

 もしも北朝鮮が、「全力」でミサイル攻撃を仕掛けてきたら、

 日本の原発施設に、「パトリオット」が配備されていない現状では、

 最大で40発ていどの、「ノドン」が着弾する恐れがあります。




 もしも、そうなったら、

 ノドンの命中精度が、一般によく言われるようにCEP(半数命中半径)
が2000メートル程度だとしても、

 「原発施設が破壊される危険性」は、けっして無視できないでしょう。



 しかし、さらには、

 もしも、もしも、ノドンの半数命中半径が190メートルという、諸説の
なかで最も高い精度だったら、

 日本のどこかの、いくつかの原発施設が、ほぼ間違いなく破壊されて
しまいます。


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(2)航空機による攻撃の危険性

 申し訳ありませんが、これは次回でレポートしたいと思います。



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