放射能汚染テロの危機
2014年5月4日 寺岡克哉
近ごろ、日本政府や原子力規制委員会は、
「放射能汚染テロ」への危機感を、つのらせているのでは、ないでしょうか。
そしてそれを、警戒するようになって来たのではないでしょうか。
最近の福島第1原発では、
「不可解な弁操作」(本サイトのエッセイ628、634参照)や、
「不可解な誤移送」(本サイトのエッセイ635参照)など、
「放射能汚染テロ」の疑いがある事件が続いているので、
それは当然といえば、当然かもしれません。
しかし、なぜかマスコミは、
「放射能汚染テロの危機」が高まっていることを示唆する、日本政府
や原子力規制委員会の「動き」
について、ほとんど報道しません。
なので今回は、そのような「動き」について、レポートしたいと思いました。
* * * * *
まず、原子力規制委員会は2月19日の定例会で、
原子力発電所などの施設に対する、「テロ行為」への対策の強化に向けて、
プルトニウムやウランなど放射性物質の、「不法な取得」や「密輸」を防ぐた
めの項目を加えた、
「放射線発散処罰法の改正案」を、国会に提出することに決めました。
その後、この改正法案は、
2月25日に閣議決定され、
4月4日の衆議院本会議で可決され、
4月16日の参議院本会議でも可決されて、「成立」しました。
このたび成立した「改正放射線発散処罰法」では、
日本が関連する核燃料を「密輸」した場合は、7年以下の懲役になります。
また、日本以外の国同士の密輸に関わった来日外国人を、逮捕すること
も可能になりました。
さらには、強要(脅迫)について、
これまでは、核燃料を盗むなどして(つまり放射性物質を所有して)脅した
場合のみが、処罰の対象になっていました。
しかし、このたびの改正法では、
(放射性物質を所有せずに)原子力施設への「テロを予告」して、政府
に要求を突きつけるような行為にも、5年以下の懲役が科せられます。
* * * * *
ところでまた、
原子力規制委員会は4月25日に、電力会社などの幹部を集めて、
原発や放射性物質を狙ったテロへの、対策の重要性を確認するための
「説明会」を開きました。
ちなみに、国内では昨年度において、
茨城県にある東海第二原発で、警備用のセンサーが停止したままになっ
ていたり、
福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」で、見学者の本人確認に使う証明書
の写しを取っていなかったりなど、
「法律に基づく規定」への違反が、3件も相次ぎました。
この日の「説明会」で、原子力規制委員会の大島賢三委員は、
「テロ対策は法令や規則を守るだけでは足りず、”規律”や”組織文化”を
しっかり保っていかなければいけない」
と述べて、テロにたいする対策の強化を求めました。
また規制委員会は、
テロ対策が適切に行なわれているかどうかを、海外の専門家に評価して
もらうため、
IAEA(国際原子力機関)の調査を今後受け入れるなど、国としての対策
も強化することにしています。
さらに規制委員会は、
原発などの内部の関係者が、テロリストや、その協力者にならない
ようにするため、
犯罪歴や病歴あるいは借金などの、「個人情報を確認する制度」の
導入を、具体的に検討することにしています。
しかしながら、プライバシーに踏み込んだ対策には慎重な意見もあり、
導入の時期は、まだ決まっていません。
* * * * *
以上、ここまで見てきて、私は思うのですが・・・
いま述べたように、原子力規制委員会は、
原発などの内部の関係者が、テロリストや、その協力者にならないよう
にするため、
「犯罪歴」や「病歴」あるいは「借金」などの、
「個人情報を確認する制度」の導入を、具体的に検討することさえも、
やろうとしています。
ここで、
「犯罪歴」とは、過激派のメンバーとして検挙された過去や、デモに参加
して検挙された過去、あるいは「麻薬の所持歴」なども、想定しているので
しょうか。
「病歴」とは、うつ病や統合失調症などの精神疾患、あるいはアルコール
中毒や薬物中毒などを、想定しているのでしょうか。
「借金」とは、お金に困っている人に金を渡して、テロの実行や協力を
強要するような「テロ組織の存在」を、想定しているのでしょうか。
このように、「暗に示されている意味」をも補足して読み取ると、
すでに日本は、そこまで「厳重な警戒」をしなければならないほどに、
「放射能汚染テロの危機」が高まっているのだと、判断せざるを得ま
せん!
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