原発事故は継続中 11
2014年3月16日 寺岡克哉
3月11日で、
東京電力・福島第1原子力発電所の「大事故」が起こってから、
まる3年になりました。
しかしながら・・・
原発事故は、一向に収束しておらず、今なお継続中です!
今回は、
事故発生から3年経った現状について、
とても大ざっぱにですが、その全体像を確認しておきたいと思います。
* * * * *
まず、
原発事故に伴(ともな)う福島県からの避難者は、
2014年2月26日現在で、13万5906人に上っています。
とくに、
福島第1原発が立地している、双葉町や大熊町などの7町村では、
いま現在においても、全住民の避難がつづいています。
原発周辺の、極度に放射能汚染をしてしまった地域は、おそらく、今後
100年ぐらいは人が住めないでしょう。
このように、
「人の住めない”死の土地”が、原発事故により作られてしまった!」
という事実は、事故から3年経った現在においても、絶対に消し去ること
はできません。
* * * * *
ところで、
長い避難生活によって体調が悪化したり、自殺に追い込まれたりして
亡くなった人々・・・
つまり「震災関連死」は、福島県の場合、2014年2月19日現在で
1656人となっており、
地震や津波などによる「直接死」の、1607人を上回っています。
復興庁によると、
昨年の9月現在において、「震災関連死」と認定された人の、およそ
9割が66歳以上でした。
原発事故で避難生活が長期化し、地元への帰還など将来の見通しを
立てることができず、
ストレスが増加したことなどが背景にあると見られています。
これらの人々は、
「原発事故」さえ起こらなかったら、死ななくても済んだ人々です。
このように、
「原発事故が原因で亡くなる人々」が、いま現在でもなお、出つづけ
ているのです!
* * * * *
そしてまた・・・
毎日、毎日、400トンずつ増えている「高レベル放射能汚染水」は、
すでに43万トンも溜まっています!
しかも、
それら「高レベル汚染水」の大部分(37万8000トン)は、
鋼板をボルト締めにして作った、「フランジ型タンク」というものに、
貯蔵されているのです。
そのため、
フランジ部(ボルト締め付け部)に使われている「パッキン」の劣化や、
地盤沈下などによる、タンクの「傾き」や「歪み」によって、
フランジ部(つまりタンクの繋ぎ目)に、ほんの1ミリの隙間でも出来て
しまったら、
「高レベル汚染水」が漏れ出してしまいます。
たしかに、
「フランジ型タンク」の耐用年数は、「5年」であるとされています。
ところが、しかし・・・
事故発生から3年しか経っていないのに、すでに8基ものフランジ型
タンクから、汚染水が漏れ出したり、高い放射線量が確認されたりして
いるのです。
とくに昨年の8月20日には、フランジ型タンクから、およそ300トン
もの「高レベル汚染水」が漏れ出し、
INES(原子力事故の国際尺度)の、「レベル3(重大な異常事象)」に
認定されたほどです。
つまり、フランジ型タンクの耐用年数は、5年もありません!
いま現在、そのことが、
実際に水漏れが起こった「事実」として、明白に証明されています。
すでに東京電力は、フランジ型タンクの「補強」に着手していますが、
しかしながら、この先、タンクの劣化がさらに進んでいくのは確実ですし、
その上さらに、すこし大きな「地震」に襲われてしまったら、
フランジ型タンク群のうち、一体どれだけのタンクから「高レベル汚染水」
が漏れ出してしまうのか、
まったく分からないような状況だと言えます。
* * * * *
この先・・・
一体どこまで、「高レベル汚染水」は増え続けるのでしょう?
たとえば、
これ以上、汚染水が増えないようにするための対策として、
「ALPS(アルプス:多核種除去装置)」で処理した水を、海へ放出したり、
「地下水バイパス」つまり、原子炉建屋に流入する前の地下水を汲み
出して、海に放出したり、
「凍土壁」を作って、地下水が原子炉建屋に流入するのを防ぐ、
と、いうような計画を立てています。
しかしながら!
ALPS(多核種除去装置)は、「トリチウム」という放射性物質を除去でき
ませんし、
そもそもALPS自体がトラブル続きで、まだ本格的な稼動のメドが立って
いません。
また「地下水バイパス」は、地元の漁業者たちと交渉して、地下水を海に
放出して良いかどうかの、「了承」を得なければなりませんが、
その方向で漁業者たちの意見が集約できるかどうか、今のところ不透明
な状況になっています。
そして「凍土壁」は、一体どれほどの効果が期待できるのか、それすらも
明らかになっていない段階です。
そのため、
事故発生から3年経った現在でも、「高レベル放射能汚染水」の増加
を食い止めるメドが、まだ立っていません!
なので、この先どこまで汚染水が増えるのか、まったく分からないという
のが実情です。
* * * * *
以上、ここまで見てきましたように、
福島第1原発の事故が、「収束」というのには、ほど遠い状態である
のは明白です。
ところが、そんな状況であるにもかかわらず、
安倍政権は、原発を重要なベースロード電源と位置づけて、「原発の
再稼動」を推進させようとしています。
それが「正気の沙汰」であるとは、私にはとうてい思えません!
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