安倍政権に思うこと 2
2013年7月28日 寺岡克哉
7月21日に行われた参議院選挙で、自民党が65議席を獲得して圧勝
しました。
非改選の50議席を合わせると、自民党は115議席となります。
公明党の20議席(当選11、非改選9)も合わせると、自公連立の与党
は135議席で、参議院でも過半数(121議席以上)となり、
衆議院と参議院で多数派が異なる、いわゆる「ねじれ状態」というのが
解消されました。
そのため、
いよいよ安倍政権が、「本性」を現すのではないかと心配です!
今回は、私が安倍政権にたいして心配していることについて、まとめて
みたいと思います。
(ちなみに、今回の題名に「2」という番号がついているのは、本サイトの
エッセイ566の題名が「安倍政権に思うこと」だったからです。)
* * * * *
(1)原発
安倍政権は、原発の再稼動を推し進め、核燃料サイクルも維持する
姿勢です。
しかしながら、本サイトでもレポートしていますように、福島第1原発の
事故は、いま現在も継続中なのです。
そんな中で、原発を推進させようとするのは、やはり問題があると言う
しかありません。
ところで自民党は、
このたびの参議院選挙の期間中において、世論を刺激してしまうよう
な、原子力政策への言及を避けてきました。つまり「争点隠し」です。
そして一方、東京電力は、
投票日の翌日の7月22日になって、福島第1原発で放射能に汚染さ
れた地下水が、いまも海に流れ出していることを、「初めて」認めた
のです。
また、
福島第1原発3号機の原子炉建屋5階付近で、7月18日から「湯気」
のようなものが確認されていましたが、
これも、参議院選挙が終わった後の7月23日になって、東京電力が
5階周辺の放射線量を測定したところ、
最大で2170ミリシーベルトの値が観測されたのです。
福島第1原発における、このような重大な事柄が、なぜ投票日の前
ではなく、投票日の後になって次々と判明するのでしょう?
もしも投票日の前に、これらの事柄が判明していたら、「脱原発」が
選挙戦における「大きな争点」になっていたはずです。
だから、これは、
(あまりにも露骨すぎると思いますが)おそらく「争点隠し」であること
に間違いありません。
国民は決して、原発推進に賛成して自民党に投票したわけではない
のです。
* * * * *
(2)TPP
安倍政権は、TPP(環太平洋連携協定)を成長戦略の柱に位置づけて
おり、一貫して参加に積極的な姿勢を示してきました。
政府はTPPへの参加で、GDP(実質国内総生産)が3兆2000億円増え
ると試算しており、これを経済成長につなげる考えです。
しかしながら・・・
主要農林水産物の生産額は7兆1000億円から、4兆1000億円へと
3兆円も減り、
とくに、日本の食糧生産の要(かなめ)である「北海道の農業」など
は、「壊滅的な打撃」を受けることが予想されています!
北海道の農業が壊滅すれば、現在カロリーベースで40%弱しかない
日本の食糧自給率が、さらに下がってしまうでしょう。
これから将来・・・
地球温暖化によって、世界各地で「干ばつ」や「洪水」が多発し、世界
の食糧生産が低下して行けば、
今までと同じように日本に食料を売ってくれる保障など、まったく無く
なってしまうでしょう。
なので、
これ以上、日本の食料自給率を低下させるのは、私には「自殺行為」
にしか思えてなりません。
* * * * *
ところで安倍政権は、「強い農林水産業」とか、「攻めの農林水産業」と
いうのを提唱しています。
その一環として、国別・品目別の戦略を定めていくことで、
日本の農産物や食品の輸出を倍増して、1兆円規模にすることを
目指すとしています。(現在は4500億円ていど)
ところが!
ここでも、福島第1原発の事故が、ものすごく大きな影響を及ぼすと
思えてなりません。
なぜなら、とても多くの国々が、日本の農水産物にたいして、輸入の
「規制措置」を取っているからです。
農林水産省のホームページを見ると、たとえば中国の輸入規制は、
7月1日現在で以下のようになっています。
宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野の
10都県については、全ての食品・飼料に対して輸入停止。
また、上の10都県以外については、
野菜及びその製品、乳及び乳製品、茶葉及びその製品、果物及びその
製品、薬用植物産品に対して、政府作成の放射性物質検査証明書及び
産地証明書を要求。
水産物に対して、上記に加え、中国輸入業者に産地・輸送経路を記した
検疫許可申請を要求。
その他の食品・飼料に対して、政府作成の産地証明書を要求。
と、なっています。
そしてまた、たとえば韓国の輸入規制は以下のようになっています。
福島県については、ほうれんそう、かきな等、かぶ、梅、ゆず、栗、キウイ
フルーツ、米、原乳、きのこ類、たけのこ、青わらび、たらのめ、くさそてつ、
こしあぶら、ぜんまい、わさび、わらび、大豆、小豆、イカナゴ、ヤマメ、ウグイ、
アユ、イワナ、コイ、フナ、アイナメ、アカガレイ、アカシタビラメ、イシガレイ、
ウスメバル、ウミタナゴ、ムシガレイ、キツネメバル、クロウシノシタ、クロソイ、
クロダイ、ケムシカジカ、コモンカスベ、サクラマス、シロメバル、スケソウダラ、
スズキ、ニベ、ヌマガレイ、ババガレイ、ヒガンフグ、ヒラメ、ホウボウ、ホシ
ガレイ、マアナゴ、マガレイ、マコガレイ、マゴチ、マダラ、ムラソイ、メイタ
ガレイ、ビノスガイ、キタムラサキウニ、サブロウ、エゾイソアイナメ、マツカワ、
ナガヅカ、ホシザメ、ウナギ、ショウサイフグ、サヨリ、飼料、に対して輸入
停止。
群馬県については、ほうれんそう、かきな、茶、きのこ類、ヤマメ、イワナ、
飼料、に対して輸入停止。
栃木県については、ほうれんそう、かきな、きのこ類、たけのこ、くさそてつ、
さんしょう、こしあぶら、茶、たらのめ、ぜんまい、わらび、栗、ウグイ、イワナ、
ヤマメ、飼料、に対して輸入停止。
茨城県については、ほうれんそう、かきな等、パセリ、きのこ類、たけのこ、
こしあぶら、茶、原乳、メバル、スズキ、ニベ、ヒラメ、アメリカナマズ、フナ、
ウナギ、コモンカスベ、イシガレイ、マダラ、飼料、に対して輸入停止。
宮城県については、きのこ類、たけのこ、くさそてつ、こしあぶら、ぜんまい、
そば、大豆、米、スズキ、ウグイ、ヤマメ、マダラ、ヒガンフグ、イワナ、ヒラメ、
クロダイ、に対して輸入停止。
千葉県については、ほうれんそう、かきな等、きのこ類、たけのこ、茶、
ギンフナ、に対して輸入停止。
神奈川県については、茶に対して輸入停止。
岩手県については、きのこ類、こしあぶら、ぜんまい、わらび、せり、たけ
のこ、そば、大豆、マダラ、イワナ、ウグイ、スズキ、クロダイ、に対して輸入
停止。
長野県については、きのこ類に対して輸入停止。
埼玉県については、きのこ類に対して輸入停止。
青森県については、きのこ類、マダラ、に対して輸入停止。
山梨県については、きのこ類に対して輸入停止。
静岡県については、このこ類に対して輸入停止。
北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、東京、神奈川、
愛知、三重、愛媛、熊本、鹿児島の16都道県については、上記県産品を除く
全ての水産品に対して、政府作成の放射性物質検査証明書を要求。
宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、
長野、静岡の13都県については、上記県産品及び水産品を除く全ての食品
に対して、政府作成の放射性物質検査証明書を要求。
13都県以外(水産品については16都道県以外)については、全ての食品
に対して、政府作成の産地証明書を要求。
と、なっています。
さらには、日本の農水産物に対して、輸入停止や、政府作成の放射性物質
検査証明書を要求などの「規制措置」を取っている国々は、
ブルネイ、ニューカレドニア、レバノン、インドネシア、タイ、アルゼンチン、
仏領ポリネシア、アラブ首長国連邦、イラク、オマーン、カタール、クウェート、
サウジアラビア、バーレーン、エジプト、コンゴ民主共和国、モロッコ、シンガ
ポール、香港、マカオ、台湾、フィリピン、アメリカ、ボリビア、ブラジル、EU、
EFTA(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)、ロシア、インド、
ネパール、パキスタン、ベトナム、オーストラリア、ウクライナ、イスラエル、
イラン、モーリシャス、
と、なっています。
このように、2013年7月1日現在で、
40もの国・地域が、日本の農水産物に対して輸入規制措置を
取っているのです!
これも、ひとえに、
福島第1原発の事故による「放射能汚染」が、そもそもの原因です。
こんなことで、安倍政権が言うように、
日本の農産物や食品の「輸出を倍増させること」が、ほんとうに出来る
のでしょうか?
私には、ものすごく疑問に感じてなりません。
* * * * *
申し訳ありませんが、この続きは次回でお話したいと思います。
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