原発事故による死者 2
2013年3月17日 寺岡克哉
最新の情報をもとに、私が推定してみたところ、
「原発事故による死者」が、福島県内で推定1275人に上って
いることが分かりました!
今回は、そのことについてレポートしたいと思います。
* * * * *
まず東日本大震災の場合は、
地震や津波の直接の犠牲者だけでなく、震災や原発事故による
避難中などに亡くなった人にたいして、
市町村は「震災関連死」と認定し、最高で500万円の災害弔慰金を
給付しています。
2013年3月10日現在において、
福島県内の22の市町村は、計1337人の「震災関連死」を認定して
いますが、
このうち20の市町村は、震災関連死のなかで「原発事故の避難者」
だった人の数を把握しています。
それを、東京新聞が独自に「原発関連死」と定義して、
福島県内の市町村に該当者数を取材したところ、少なくても789人
に上っていることが分かりました。
以下の表は、
3月11日付の東京新聞に載っていた集計結果を、震災関連死が
多かった市町村の順に、私がまとめ直したものです。
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震災関連死 原発関連死
南相馬市 396 大半
浪江町 254 254
富岡町 146 146
いわき市 111 不明
双葉町 90 90
大熊町 80 80
楢葉町 79 79
川内村 49 49
飯館村 39 39
広野町 31 31
相馬市 21 2
葛尾町 17 16
福島市 7 0
新地町 6 1
会津若松市 3 0
鏡石町 2 1
田村市 1 1
伊達市 1 0
大玉村 1 0
三春町 1 0
須賀川市 1 0
石川町 1 0
計 1337人 789人(注1)
注1 原発関連死の計789人は、南相馬市と、いわき市を除いた
合計です。
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この表を見れば分かりますが、
福島県内における「原発関連死」は、それを把握していない南相馬市
と、いわき市を除いた、
少なくても789人に上ると、3月11日付の東京新聞では結論してい
ます。
* * * * *
さて、ここから私の推定になります。
まず、
東京新聞の取材にたいして、南相馬市の担当者は、
「震災関連死と認定した396人の大半は原発避難者とみられる」
と話しているのですが、
この「大半」とは、一体どれぐらいの割合なのでしょう?
この疑問に関しては、本サイトの、
「エッセイ547 原発事故による死者(2012年8月12日付)」に、
答えのヒントがありました。
以下は、そのエッセイ547からの抜粋です。
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(2012年)7月12日に、復興庁の「第2回震災関連死に関する検討
会」が、東京都の同庁で開かれましたが、
その検討会に、震災関連死の死者数が282人で全国最多だった、
南相馬市の村田副市長が出席し、
東京電力福島第1原発による住民避難が、南相馬市の震災関連死
の主要因だと主張しました。
村田副市長は、南相馬市の震災関連死282人のうち、その96
パーセントにもあたる272人が、原発事故で避難していた実情を
指摘しています。
とくに市内の病院や介護施設に、入院や入所していた寝たきりや
要介護度の高い高齢者が、
長時間かつ長距離の移動を余儀なくされ、死期を早める原因となった
ケースが多いとしています。
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上の抜粋によると、2012年7月12日の時点で、南相馬市の震災
関連死282人のうち、その「96パーセント」が原発関連死であったと
指摘されています。
この96パーセントという比率が、その後も変わらなかったと仮定して、
2013年3月10日現在における震災関連死の396人に適用すると、
396×0.96=380.16 となり、
南相馬市では、およそ380人が原発関連死であったと推定できます。
つぎに、
原発関連死を「不明」としている、いわき市についての推定ですが、
これは、まず「いわき市」を除外した福島県内で平均の、震災関連死
にたいする原発関連死の割合を求めます。
そして、その求めた平均の割合を、「いわき市」に適用することにし
ます。
つまり、いわき市における原発関連死の割合は、福島県全体の平均
と同じであると、仮定するわけです。
まず上の表から、いわき市を除いた震災関連死は、1337−111=
1226人。
そして、いわき市を除いた原発関連死は、すでに把握している原発
関連死の789人に、上で推定した南相馬市の原発関連死380人を
加えて、789+380=1169人。
なので、いわき市を除いた福島県内で平均の、震災関連死にたいする
原発関連死の割合は、1169/1226=0.954で、およそ95パーセント
になります。
この割合を、いわき市に適用すると、111×0.954=105.9となり、
いわき市の原発関連死は、およそ106人と推定できます。
そしてこれら、
すでに把握している原発関連死789人と、南相馬市の推定380人、
いわき市の推定106人を合計すると、
789+380+106=1275人が、福島県内の22市町村における
原発関連死者数であると推定できます。
* * * * *
ところで、
東京新聞が独自に定義した「原発関連死」というのは、
原発事故さえ起こらなければ避けることができた死であり、
本サイトの「エッセイ547」で提示した「原発事故による死」と、
まったく同じ意味です。
1275人!
つまり、推定で1275人もの人々が、原発事故によって死んでいる
のです。
確実なところでは、少なくても789人が、原発事故によって死んで
います。
このように、ものすごく多くの人々が、原発事故によって死んでいる
のです!
私は、声を大にして、そのことを主張して行きたいと思います。
なぜなら、原発の維持派や推進派の人々は、
「福島第1原発の事故が、直接の原因で死んだ人は、まだ一人も
いない」 とか、
「福島第1原発の放射能が、直接の原因で死んだ人は、まだ一人
もいない」
というような言論を、事あるごとに、しつこく続けているからです。
おそらく、彼ら(原発の維持派や推進派)は、
「原発事故によって死んだ人は、まだ一人もいない」という方向に、
広くたくさんの人々を印象操作して、
原発事故の記憶を薄れさせ、できるだけ早く忘れ去られるように
仕向けているのでしょう。
そんなことを、決して許してはならないのです!
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