中国という国 2
                          2012年10月28日 寺岡克哉


 エッセイ550〜556では、近ごろ悪化してきた日中関係について
見てきましたが、

 ここでは、それらも踏まえて、「中国という国」について考えてみたい
と思います。

 ちなみに今回の題名は、「中国という国 2」としていますが、どうして
「2」なのかと言うと、

 もう2年ちかく前になる、2010年12月12日付けの「エッセイ460」
の題名が、「中国という国 1」だったからです。



 その「中国という国 1」(エッセイ460)では、

 もはや中国は、アメリカを抜いて、世界第1位の二酸化炭素排出国と
なっており、

 そして現在も、どんどん二酸化炭素の排出量が増えつづけていて、
まったく止まる所を知らず、

 いまや、この「中国という国」が、人類全体の運命を握(にぎ)って
いるだけでなく、


 地球の生命全体の運命をも握っているような気がして、ならないこと
について書きました。



 つまり、

 「地球温暖化」や「海洋酸性化」によって破滅的な被害が出るほど、
大気中の二酸化炭素濃度を増やしてしまう(つまり引導を渡してしまう)
のか、

 かなりの被害は避けられないにしても、破滅的になる前に、大気中の
二酸化炭素濃度を抑えることが出来るのかは、

 ひとえに、「中国」によって決められてしまうのです。



 それで私は、

 「中国の思惑」というか、「中国の本心」を探るために、中国の動向に
ついて注視しているわけです。

 実は、エッセイ550〜556で中国の動向を見てきたのも、その一環
でした。



 つまり中国は、

 世界中を敵に回してでも、自国の我意をあくまで押し通して、世界を
破滅させてしまうような国なのか、

 あるいは、そうではなく、

 あるていど常識的なところで、国際社会と妥協することが可能な国
なのか、

 そこら辺のところを、見極めたいと思っているわけです。


             * * * * *


 ところで、

 いま私が入手している、世界の二酸化炭素排出量についての最新
結果は、

 今年の7月18日に、欧州委員会の共同研究センターとオランダ環境
評価機関が発表したものです。



 それによると、

 2011年における世界の二酸化炭素排出量は、前年の2010年に
くらべて3%増加し、史上最大の340億トンに達しました。

 2011年で排出量が最も多かったのは中国(29%)で、以下アメリカ
(16%)、EU(11%)、インド(6%)、ロシア(5%)、日本(4%)の順に
なっています。



 これら上の値を使って、各国の二酸化炭素排出量を計算すると、
以下のようになります。

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       各国の二酸化炭素排出量(2011年)

        中国        98億6000万トン

       アメリカ       54億4000万トン

        EU         37億4000万トン

       インド         20億4000万トン

       ロシア        17億トン

       日本         13億6000万トン


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 上の表をみると、

 中国の二酸化炭素排出量は、アメリカの排出量の1.8倍にも
なっています!
 (98.6/54.4=1.81)



 中国の二酸化炭素排出量が、アメリカを抜いて世界1位になったの
は2007年ですが、

 その後、アメリカの二酸化炭素排出量は、だいたい横ばいから、若干
減少したのに対して、

 中国の二酸化炭素排出量は、「破滅的」に増加しているのです!



 このままだと、

 ほんとうに中国は、世界を破滅させてしまうかも知れませんし、

 現時点では、「その可能性が非常に高い」と言わざるを得ません。


              * * * * *


 さて、

 エッセイ550〜556で書いてきたように、尖閣問題にたいする中国の
動向をみると、

 さらには、

 「ホルムズ海峡が封鎖? その1〜16」(エッセイ516〜521、523〜
526、528、530、532、534、536、537)で触れたように、

 欧米によるイランへの制裁に対して、中国が反対する態度を示している
ことも合わせて考えると、

 中国は、二酸化炭素の排出量に関しても、欧米や日本の言うことを
素直に聞き入れる国であるとは、とうてい思えません!




 ちなみに、

 およそ2年前に書いた「中国という国 1」(エッセイ460)では、中国に
たいして、私は以下のような印象を持っていました。

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      2010年12月12日付け「エッセイ460」より抜粋

 たとえば2008年に起こった、中国製の冷凍ギョウザに、メタミドホス
(有機リン系の殺虫剤)が混入された事件についての、中国当局の不適切
な対応や、
 今年(2010年)に起こった、尖閣諸島沖での漁船衝突事件をめぐって、
レアアースの日本向け輸出を止めたり、フジタの社員(中国にいる日本人)
を拘束したりと、
 これらの出来事によって、中国にたいする印象が、だいぶ悪くなって
来ました。

 なんと言いますか、たとえば、日本が積極的に二酸化炭素を削減した
からと言って、はたして中国は、意欲的な削減をするだろうか?
 中国は「わが道を行く」というか、日本(や世界)の意向など、まったく
気にしないのでは、ないだろうか? と、そのように感じるようになって来た
のです。

 つまり「中国という国」にたいして、「猜疑心」というか「危機感」を、かなり
持つようになって来たわけです。

 さらには、北朝鮮による、ウランの濃縮や、韓国への砲撃に対しての、
中国の対応。
 今年(2010年)のノーベル平和賞で、授賞式に出席しないように、中国
が世界各国にたいして圧力をかけたこと。

 これらの動きをみると、中国にたいする猜疑心や危機感が、どんどん
増していると言うのが、いま現在の私の正直な気持ちです。
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 それから2年たった現在・・・ 

 尖閣諸島の領有権にたいする中国側独自の主張(つまり日本側から
見たらムチャクチャな主張)を、世界中に喧伝(けんでん)したり、

 海洋監視船や漁業監視船などの「中国当局船」が、公然と領海侵犯を
行ったり、

 さらには、中国各地で起こった反日デモによる暴動で、日系企業の施設
が破壊されたり、日系スーパーの商品が略奪されたりしたのを見ると、

 上の抜粋で述べたような、「中国にたいする猜疑心や危機感」が、さらに
増してきたと言うのが正直なところです。



 とにかく中国は、

 二酸化炭素排出量の問題、つまり「地球温暖化」や「海洋酸性化」
の問題において、

 「全世界の運命を握っている」のは確かです!




 なので今後、私が生きている限りずっと、「中国という国」を注視して行かな
ければならないし、

 中国の動向を、私なりに書き続けて、そのつど人々の注意を喚起して行き
たいと考えています。



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