日中関係も悪化 4
                          2012年9月23日 寺岡克哉


 今回も引きつづき、

 緊張が高まっている日中関係の動向について、見ていきたいと思い
ます。


               * * * * *


 9月10日。

 日本政府は、この日の午後、尖閣諸島の取得・保有に関する関係閣僚
会議を首相官邸で開き、尖閣諸島を国有化する方針を決定しました。
 購入対象は、魚釣島、北小島、南小島の3島で、維持・管理には海上
保安庁が当たります。

 関係閣僚では、尖閣諸島について、「わが国の固有の領土であることは
歴史的にも国際法上も疑いがなく、現に有効に支配しており、解決すべき
領有権の問題はそもそも存在しない」ことを申し合わせました。

 その上で、「航行安全業務を適切に実施しつつ、長期にわたる平穏かつ
安定的な維持・管理を図るため、可及的速やかに尖閣諸島の所有権を
国が取得する」としました。

 明日11日の午前の閣僚会議で、2012年度予算の予備費から購入費
の拠出を決定し、地権者との売買契約を同日中にも締結する予定です。


 藤村官房長官は記者会見で、尖閣諸島を国有化したあと、灯台や漁船
が避難する施設などの整備を図るかどうかについて、
 「今、全くそういうことに触れるつもりはない」と述べて、直ちに施設を
整備することには、否定的な考えを示しました。

 また藤村官房長官は、「わが国の土地の所有権を、個人から国に移転
するということであり、ほかの国や地域と何か問題をじゃっ起するものでは
ない。ただ、尖閣諸島をめぐる事態が、日中関係の大局に影響を及ぼす
ことは全く望んでおらず、誤解や不測の事態を避けるため、外交当局間
で緊密な意思疎通を必要に応じて行っていく」と述べました。



 同日。

 中国外務省の洪磊・副報道局長は、この日の定例会見で、「日本の
いかなる一方的な措置も不法かつ無効であり、中国は断固として反対
する」と述べました。
 その上で、「われわれは事態の推移を注意深く見ており、必要な措置
を講じ、国家の主権を守る」と述べて、日本政府による尖閣諸島の国有
化の動きが進めば、中国政府として対抗措置を検討していることを改め
て明らかにしました。


 同日の、日本時間で午後5時すぎ。中国の楊潔チ外相は、中国外務省
に丹羽駐中国大使を呼んで、およそ30分間にわたって強烈な抗議をしま
した。

 国営の新華社通信によると、楊外相は尖閣諸島が中国固有の領土
だと改めて強調したうえで、「日本側が一方的に購入するという行為は、
不法で無効だ。日本側がとった誤った決定をすぐに取り消し、中国の主権
を侵害する行為をやめるよう求める」と述べて、強く抗議したとしています。
 また楊外相は、「これによって発生するすべての結果については、日本
側に責任がある」と述べて、対抗措置をとることを示唆しました。

 一方、北京の日本大使館によると、丹羽大使はこれに対し、「尖閣諸島
をめぐり領有権の問題はそもそも存在していない。中国側の独自の主張
は、一切受け入れることができない」と拒否したうえで、
 「尖閣諸島をめぐる情勢が日中関係の大局に影響を及ぼすことを望ん
でいない。在留邦人と企業の安全確保について、中国側の万全の対応を
要請する」と、述べたということです。


 この日。温家宝首相は、北京の外交学院で講演し、尖閣諸島問題に
ついて言及しました。
 温首相は、「主権・領土問題で、中国政府・国民は、絶対に半歩も譲歩
しない」と述べて、断固たる決意を表明しています。


 この日。中国外務省は、日本政府による尖閣諸島国有化の方針決定
を受けて、声明を出しました。それによると、
 「日本政府が中国の抗議を顧みず、釣魚島の”国有化”を宣言したこと
は、中国の領土主権を侵し、13億の国民感情を傷つけるもので、中国
政府と国民は断固反対し、強く抗議する。」
 「”島購入”は完全に違法かつ無効で、日本が中国領土を占領した歴史
的事実を変えることはできないし、中国の領土主権を変えることもできな
い。日本は中国の領土主権を損なう行為を直ちに停止し、交渉によって
争いを解決する軌道にもどるよう強く要求する。日本があくまで我意を通す
なら、それによって生じる一切の結果は日本側が負うほかない」と、してい
ます。


 この日。中国政府は、中国領海の範囲を測量する基点として、尖閣諸島
など計17ヶ所を指定しました。
 中国が、領海の基点として具体的な緯度や経度とともに尖閣諸島を
挙げたのは、初めてのことです。
 これは、日本政府が尖閣諸島国有化の方針を決定したことへの、対抗
措置の一つだといえます。


 この日の夕方。中国の程永華駐日大使が、外務省の佐々江事務次官
を訪ねて、
 「尖閣諸島は中国固有の領土であり、日本側のいかなる一方的な措置
も不法かつ無効だ。断固として反対する。もし、日本が開発や調査をした
場合には、必要な措置を取る」と申し入れました。

 これに対して佐々江事務次官は、「尖閣諸島は日本の領土であり、中国
側の申し入れは受け入れられない」と反論しています。



 同日。

 北京の日本大使館は、中国での対日批判が強まっているとして、在留
邦人に対して言動に注意するように、メールなどで呼びかけました。
 同大使館は、集会やデモ行進には近寄らないように、注意を喚起して
います。



 同日。

 台湾の外交部(外務省)は、日本政府による尖閣諸島国有化の方針
決定を受けて、声明を出しました。それによると、
 「日本政府には、われわれの主権を侵害するような一方的な行動を
やめ、台湾と日本の協力関係を損ねたり、東アジアの緊張を激化させ
たりしないよう求める」としています。
 その上で、「日本政府が島の主権は日本にあると宣言し、国有化する
のは、歴史的にも法的にも全く根拠がない」として、「日本政府やいかな
る政治家による不法な主張も、一切認められない」としています。

 この日。台湾の外交部報道官は、日本側が地権者との売買契約など
次の行動に出た場合、台北駐日経済文化代表処代表(駐日大使に相等)
を、事実上召還する可能性も排除しないとする考えを示しました。


               * * * * *


 9月11日。

 政府は午前の閣議で、尖閣諸島を国有化するため、購入費用として
2012年度予算の予備費から、20億5000万円を拠出することを決定
しました。

 このあと政府は、地権者と島の売買契約を締結して、尖閣諸島を国有
化しました。

 藤村官房長官は記者会見で、中国や台湾が尖閣諸島の領有権を主張
していることに関して、「他の国や地域との間で何ら問題を惹起(じやっき)
するものではない」と強調しました。
 また、反発を強める中国については、「誤解や不測の事態を回避する
ことが重要だ」と述べ、これ以上の関係悪化を招かないように努める考え
を重ねて示しました。


 この日の午前。閣議決定を受けて、外務省の杉山アジア大洋州局長
は、羽田発の民間機で北京へ出発しました。
 中国外務省の羅照輝アジア局長と会談する方向で調整しており、中国
側に国有化の経緯や狙いを説明したい考えです。


 この日の午後。石原東京都知事は都庁で記者会見し、政府が尖閣
諸島を国有化したことについて、「最終的に国にバトンタッチするつもり
だった」と容認姿勢を示しました。

 しかし、その一方で「不本意なところもある」として、漁船の避難施設
の整備などに応じようとしない政府を、あらためて批判しました。

 都が尖閣諸島を購入するために募った、およそ14億7000万円(9月
10日現在)の寄付金は、都の基金にしていったん保管することを表明
しました。
 さらに次期衆院選で自民党中心の新政権が誕生することに期待感を
示し、「(新しい)政府が動き出し、インフラを作ることを決断してくれたら
政府に渡す」と述べました。

 また石原都知事は、9月7日に地権者の男性と面会した際、男性が
「許して下さい。申し訳ありません」と謝罪したことを明らかにした上で、
 「いきなりテーブルに頭をつけて謝られても釈然としない。相手の誠意
やことばを信じてやってきたから土壇場でうっちゃりを食った感じだ」と
述べて、悔しさをにじませました。



 同日。

 海上保安庁の新しい長官に、前の国土交通審議官の北村隆志氏が
就任し、記者会見をしました。

 北村長官は、「当面の重要課題はいうまでもなく尖閣諸島だ。政府全体
で連携を取りながら警備に万全を期していく」と述べました。

 また、先月に香港の活動家らが尖閣諸島に上陸したことについて、
「段階的に上陸を防ぐ措置を取ったが、結果として上陸されたのは遺憾
だ。当時の警備態勢を検証し、今後、最善の努力を尽くしたい」と述べて
います。



 同9月11日。

 この日の午前、新華社通信は、中国国家海洋局の海洋監視船、「中国
海監46」と「中国海監49」の2隻が、尖閣諸島の周辺海域に到着したと
報じました。日本の尖閣諸島国有化に対抗した措置とみられます。

 新華社通信は、「海洋当局はすでに行動計画をつくっており、状況を
見て必要があれば権益を保全する行動をとり、主権を宣言する」と伝え
ています。


 この日の午前。北京の日本大使館前に、二十数人の中国人が集まり、
尖閣国有化に反対する抗議活動を行いました。
 「釣魚島は中国の領土だ」などと書いた横断幕を掲げており、中国公安
当局は、大規模な抗議活動に発展しないように監視しています。


 この日。中国国防相の耿雁生報道官は、日本政府による尖閣諸島の
国有化を受けて、談話を発表しました。
 耿報道官は、「中国政府と軍隊の、領土・主権を守る決意と意志は、
断固かつ揺るぎない」とした上で、「われわれは事態の推移を密接に注視
し、相応の措置を取る権利を留保する」と述べて、日本への報復措置を
示唆しました。
 さらに耿報道官は、国有化に関して、「中国軍隊は断固たる反対と強烈
な抗議を表明する」と強調しました。


 この日付けの軍機関紙・解放軍報は、「(日本による尖閣諸島の国有
化は)第2次大戦以降、中国の主権に対する最もあからさまな挑戦だ」と
批判し、
 「われわれは厳粛に日本政府に対して、”火遊びはやめなさい”と警告
する」と、強くけん制する論評を掲げました。


 尖閣諸島国有化の動きに合わせて、解放軍の軍事演習も本格化して
います。
 済南軍区(山東省)の部隊の兵士は、黄海で揚陸艇に乗り込み、無人
島に上陸して、相手と戦う訓練を行いました。これは、尖閣諸島上陸を
念頭に置いたものとの見られます。
 また、南京軍区(江蘇省)、成都軍区(四川省)、広州軍区でも最近、
軍事演習を実施しました。



 同9月11日。

 外務省の杉山アジア大洋州局長が、北京入りしました。

 中国外務省の洪磊・副報道局長は記者会見で、「中国側は釣魚島
問題における立場を(杉山局長にたいし)明確に説明する。日本側が
島の購入決定を即時撤回するよう求める」と強調しました。

 また洪副局長は、「中華民族が侮辱されるがままになっていた歴史
は過去のものだ。中国政府は国家の領土主権の侵害を座視しない」
と強く抗議し、話し合いを通した問題解決の道にもどるよう訴えました。



 同日。

 日本が尖閣諸島を国有化したのを受けて、中国の少なくとも6都市
で、デモや抗議活動が起こりました。
 インターネットに掲載された写真などによると、山東省の威海市では
数百人規模のデモ行進が行われたほか、湖南省の湘潭市では日本車
をひっくり返すなど一部で暴徒化しました。

 北京の日本大使館前では、断続的に計数十人が、抗議行動を展開
しています。

 上海や広州(広東省)の日本領事館前でも小規模な抗議活動があり、
「釣魚島は中国のものだ」とか、「日本製品ボイコット」などと叫びました。

 このほか山西省の太原市でも、数十人が参加する抗議活動が起こり
ました。

 これらの抗議活動について、中国外務相の洪磊・副報道局長は、
「日本の誤ったやり方に対する強烈な義憤は理解できる」と述べ、理性
的に愛国の情熱を伝えるように求めました。



 同日。

 中国気象局は、中央気象台がこの日から、尖閣諸島と周辺海域の
天気予報を始めると発表しました。

 このほか、中国国家海洋局も、国家海洋予報台が尖閣諸島周辺の
海洋環境予報を、この日から正式に開始したと発表しました。

 尖閣諸島の天気予報と海洋環境予報を伝えることで、日本政府による
尖閣諸島の国有化にたいして、領有権を誇示する狙いがあります。



 同日。

 台湾の楊進添・外交部長は、日本が尖閣諸島を国有化したことに対し、
日本政府の台湾にたいする窓口機関である「交流協会」の樽井澄夫代表
を、直ちに外交部に呼んで抗議しました。

 この後の記者会見で楊・外交部長は、「われわれの領土の主権を侵害
し、台湾と日本の古くからの協力関係を損ね、東アジア地域の緊張を
激化させた」と述べて、日本政府を強く非難しました。

 さらに楊・外交部長は、「日本のやり方は絶対に認めることはできず、
不法な決定を即時撤回するよう強く求める。今回の行為が招く悪い結果
については、すべて日本側が責任を負わなければならない」と述べました。

 楊・外交部長は、詳しい状況の報告を求めるためとして、日本に駐在
する沈斯淳代表を、早ければ9月12日に、台湾に一時帰らせる措置を
とることを明らかにしました。



 同日。

 ワシントンを訪れている民主党の前原政調会長は、アメリカのキャン
ベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)と会談をしました。

 この会談の中で、前原政調会長は、「尖閣諸島は、政府が地権者と
賃貸契約を行い、静かな環境だったので、それでもよかったのだが、
外交や安全保障に責任を持てない1自治体の東京都が購入すると言い
出した」と説明しました。
 その上で前原政調会長は、「今までどおり、しっかりとした実効支配
を、静かな環境できぜんと行うために、国有化という判断をして、地権
者との合意が整った」と述べ、尖閣諸島を国有化したことに理解を求め
ました。

 これに対して、キャンベル国務次官補は、「日本政府の対応は理解
した」と述べています。

 また前原政調会長は、先にクリントン国務長官が、尖閣諸島は日米
安全保障条約の適用範囲内だとする認識を示したことについて、「改め
て評価したい」と述べたのに対し、

 キャンベル次官補は、「アメリカのスタンスに全く変わりはない」と述べ
ました。


 この日、キャンベル国務次官補は、ワシントン市内で講演し、尖閣諸島
の問題をめぐって日中間の緊張が高まっていることについて、
 「問題解決のため(両国は)頭を冷やしてほしい。米国はすべての当事
国に対して、挑発行動の自制と対話の模索を求めている」と強調しました。

 キャンベル次官補は、「欧州経済が減速し、米国が経済問題を抱える
中で、アジア太平洋地域は世界経済の運転席だ」と指摘しました。
 その上で、「われわれの要望は、すべての指導者がこのことを真剣に
受け止めることだ」と述べています。

 一方、キャンベル次官補は、アメリカのアジア重視戦略の継続につい
て、「その努力の中心は中国との外交関係を実質的に深めていくことだ」
と説明し、米中関係の安定がアジア太平洋地域の安定に資するとの考え
も示しました。

 またキャンベル次官補は、中国メディアからの質問に対し、「アメリカ
は領土問題でどちらかの立場を取ることはない」と答えました。


               * * * * *


 9月12日。

 この日付けの中国各紙は、日本政府が尖閣諸島を国有化したことに
ついて、反日デモの写真を1面に大きく掲載するなどして、日本を激しく
非難しました。

 このうち中国共産党の機関紙「人民日報」は論評で、「日本は中国の
主権を侵害しながら、一方で、この問題が日中関係の大局に影響を
与えることは望まないとずうずうしいことを言っているが、こうしたわざと
らしいやり方で誰もだますことはできない」として、尖閣諸島の国有化を
激しく非難しています。

 その上で、「日本は中国を侵略した歴史を忘れてはならない。日本が
独断専行し、火遊びを続けるのであれば、すべての深刻な結果に対して
責任を負わなければならない」と述べて、中国政府が何らかの対抗措置
を取る可能性をうかがわせています。

 他の新聞各紙は、そろって1面に、反日デモの写真や、日本を非難する
中国外務省の声明などを掲載しました。中国の新聞が、国内で行われた
反日デモの写真を掲載するのは異例のことです。
 中国当局は、「社会の混乱を招く」として中国メディアの反日デモ報道を
規制していましたが、それを解禁した格好となりました。



 同日。

 中国の幹部養成機関の「中央党校」が、日本官民の青年幹部ら55人
前後を受け入れる交流事業を「延期したい」と、
 中国共産党の中央組織部が、北京の日本大使館に通知してきたこと
が分かりました。
 中央党校交流は、中国共産党と日本の外務省が統括する、事実上の
政府間プロジェクトであり、尖閣諸島の国有化に対して中国側が一段と
抗議を強めた表れといえます。


 この日。日中国交正常化40周年記念行事を機に、野中自民党幹事長
や仙石民主党政調会長代行、古賀自民党元幹事長、大田前公明党代表、
穀田共産党国対委員長ら、総勢34人の超党派の国会議員が訪中を
予定していましたが、
 中国共産党中央対外連絡部が、この大規模訪中団の招待を「見合わせ
ること」を決め、野中氏側に通知しました。日本政府による尖閣国有化が
理由だとしています。
 日本政府には、野中氏を首相特使として関係改善を探る動きもありま
したが、それが頓挫した格好です。



 同日。

 中国を訪れていた外務省の杉山アジア大洋州局長は、この日の午後、
帰国の途につき、北京空港で記者会見をしました。

 杉山局長は、羅照輝アジア局長との会談の、具体的な内容の説明は
避けましたが、
 「意思疎通を続けていくことが重要だという認識では一致した」と述べて、
日中関係がこれ以上冷え込むことを避けるために、外交当局どうしの話し
合いが重要だという考えを示しました。



 同日。

 中国外務省の洪磊・副報道局長は定例会見で、「中国は事態の推移を
注視しており、状況に応じて主権を守るために必要な措置を取る」と述べ
て、その内容は明らかにしなかったものの、中国が対抗措置を取ることを
強調しました。

 また、北京を訪れていた外務省の杉山アジア大洋州局長と、中国外務省
の羅照輝アジア局長との会談で、中国側が尖閣諸島の購入を直ちに撤回
するよう日本側に求めたことを明らかにしました。

 さらに、中国国内で予定されていた日本に関連する行事が延期される
など、日中間の交流事業に影響が出ていることについては、
 「現在の厳しい局面は、すべて日本側の行為によって起きたものだ」と
述べて、責任はすべて日本側にあると強調しました。


 この日の夜。中国外務省は、外務省の杉山アジア大洋州局長と、中国
外務省の羅照輝アジア局長との会談の内容について、ホームページ上に
発表しました。

 この中で、中国外務省は改めて、尖閣諸島の国有化を撤回するように
求めたとした上で、「日本側が直ちに誤りを正し、双方の”共通の認識と
了解”に戻って、争いを話し合いで解決すべきだ」として、外交交渉による
事態の打開を主張しています。

 この「共通の認識と了解」について、北京の日本大使館の関係者は、
40年前の日中国交正常化交渉などで、両国が尖閣諸島の扱いを棚上げ
することで合意したとする、中国独自の主張だとしています。



 同日。

 日本に駐在している、台湾外交部の沈斯淳代表が、この日の午後、
一時帰国のため羽田空港から台北に向かいました。

 沈代表は羽田空港で記者団にたいし、「日本によるいわゆる国有化
は一切認められず、強く抗議する。台湾との友好関係を大事にして、
日本側は緊張を和らげるための具体的な措置を取ってほしい」と述べ、
日本政府に国有化の撤回を改めて求め、厳しい表情でロビーに向かい
ました。


               * * * * *


 9月13日。

 中国・上海の日本領事館によると、上海市で日本人が中国人から
暴行を受けるケースが相次ぎ、計6件の被害が報告され、少なくても
4人が負傷したことが分かりました。

 路上で暴行を受けて打撲傷を負ったり、ラーメンを顔にかけられて
目を負傷したり、
 邦人男性が中国人から「日本人か」と声をかけられ、突然、足を数回
蹴られて打撲傷を負ったほか、
 深夜食事をしていた邦人グループが、中国人から因縁をつけられて
暴行を受け、2人以上が怪我をした事件も発生しました。
 また、邦人がタクシーで移動中、バイクの運転手がタクシー運転手に
対して「金を払うので乗客を降ろせ」と要求したり、
 中国人から邦人がペットボトルを投げつけられ、「ばかやろう」と罵声
を浴びたりしたケースもあったと言います。

 北京の日本大使館には、9月13日夜現在、邦人被害の報告はあり
ませんが、タクシーの乗車拒否などが相次いでいると言うことです。



 同日。

 中国商務省の姜増偉次官は、この日の記者会見で、中国国内で日本
製品の不買運動が呼びかけられていることに関連し、
 「日本が中国の領土主権を侵す行為にたいし、中国の消費者が理性的
な方法で立場を示したとしても、中国政府としては理解を示す」と述べ、
 現地の日本企業の活動に影響が生じた場合、その責任はあくまで日本
側にあるという考えを示しました。
 その上で、「尖閣諸島の国有化は、日中の経済関係にマイナスの影響
を与えることが避けられない。日本政府に適切な対応を求める」と述べ、
尖閣諸島の国有化を撤回するように促しました。

 ちなみに中国では、日本への観光旅行のキャンセルが相次いでいま
す。また、中国旅行大手の康輝旅遊集団は、国内5500店舗すべてで、
訪日ツアーの実施や受け付けを停止しています。



 同日。

 山口外務副大臣は、この日午後の記者会見で、日中関係について
「かなり緊迫しているし、もっと緊迫しかねない。外交官で話をつけ、軍人
が出ることはないようにと考えている」と述べました。

 また、尖閣国有化に関して、「外相や首相のレベルでもっと説明をした
かった。所有権を(国に)移す処理が、(石原慎太郎)都知事が買おうと
することに対して、(より)良いと、よく説明した方がスムーズにいった」
とも語りました。


               * * * * *


 9月14日。

 この日の朝、尖閣諸島の周辺で、中国当局の船8隻が航行している
のが確認され、このうちの6隻が、日本の領海に入りました。

 午前6時20分ごろ、尖閣諸島の大正島の北で、中国・国家海洋局所属
の「海監51」と「海監66」の2隻が、日本の領海に入ったのを、第11管区
海上保安本部が確認しました。

 さらに午前7時すぎ、尖閣諸島の久米島の北で、「海監15」、「海監26」、
「海監27」、「海監50」の4隻が領海に入りました。

 午前7時50分ごろ、大正島の領海に侵入した「海監51」と「海監66」
が、領海を出ました。

 午前8時半ごろ「海監26」が領海を出て、午後1時20分ごろまでには、
残りの船もすべて領海を出ました。


 海上保安庁によると、中国当局の船が一度に6隻も進入したのは、
過去に例がなく、これまでで最も多いということです。

 領海に侵入した6隻は、いずれも警告に対し中国語で「島は古くから
中国の領土だ」などと返答し、
 このうち1隻は日本語で「本船は正当な業務を執行中だ。直ちにこの
海域から離れてください」と伝えてきたということです。



 同9月14日。

 日本政府は、この日の午前、中国の監視船が日本の領海に侵入した
ことを受けて、中国政府に厳しく抗議し、直ちに退去するように要求しま
した。

 野田首相は、閣議後の閣僚懇談会で、「今後も緊張感を持ち、関係省庁
が連携して警戒監視に万全を期すとともに、引きつづき情報収集に努め
てもらいたい」と指示しました。
 政府は、首相官邸の危機管理センターに設置していた情報連絡室を、
官邸対策室に格上げして、情報収集体制を強化しています。


 この日の午前。外務省の河相周夫事務次官は、程永華駐日中国大使
を同省に呼んで、中国監視船の領海侵入にたいして厳重に抗議しました。
 領海からの即時退去に加え、中国が尖閣諸島周辺に独自の領海基線
を設定し、同諸島の天気予報を始めた措置の撤回や、中国国内での
在留邦人の安全確保に万全の対応を求めました。
 程大使は、あらためて尖閣諸島の領有権を主張しましたが、「事態が
エスカレートせず日中関係の大局に影響が生じないことを望んでいる」
と応じています。


 この日。藤村官房長官は閣議後の記者会見で、「中国側の意図につい
ては、コメントを控えるが、一度に6隻もの船が領海に侵入したケースは
過去にない。尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法
上も明らかで、現に有効に支配している。今回の事案は誠に遺憾で、
中国側に対して、直ちに領海から退去するよう強く要求している」と述べ
ました。
 また藤村官房長官は、中国国内で日本人が暴行を受けたという報告
などが相次いでいることについて、「中国にたいし、在留邦人の安全確保
を要請するとともに、在留邦人に対しては、デモ関連の情報の提供や
中国滞在中の行動に対する注意喚起を行っている」と述べています。


 この日の午後。北京にある日本大使館の堀之内次席公使が、中国
外務省の羅照輝アジア局長にたいし、海洋監視船が日本の領海に侵入
したことについて抗議しました。
 また、中国における抗議デモや在留邦人に対する暴力的な行為などに
関しても、「安全確保に万全の対応を行う」ように改めて強く要請しました。



 同日。

 国営の中国中央テレビは、海洋監視船6隻が、日本の領海に侵入した
ことを、直後のニュースで異例の早さで伝えました。
 さらに現地時間の正午のニュースでは、船の乗組員が無線機を使って
尖閣諸島の領有権を主張するとともに、「日本側が行ういかなる一方的
な措置も不法で、無効だ」と述べ、直ちに現場から離れ、中国の利権を
侵す活動をやめるように求めている映像を放送しました。
 いずれも異例の早さで報じられ、中国政府の対応をアピールするねらい
があると見られます。


 この日。中国外務省の洪磊・副報道局長は定例会見で、日本外務省の
河相事務次官が、程永華駐日中国大使に対して、中国監視船の領海
侵入について厳重に抗議したことに関して、
 「中国として受け入れられない」と拒否しました。その上で、「周辺海域は
中国が管轄する海域であり、主権と正義を守る行動は完全に正当だ」と
反論しました。

 6隻の監視船を派遣する強行な対応をただす質問に対しては、「日中
関係の厳しい局面は完全に日本がつくり出したもので、日本は反省し、
誤った決定を変えなければならない」と要求し、
 「対話と協議を通じて係争を解決する軌道に戻る」ように改めて強調
しました。

 上海市で邦人が相次いで暴行を受け、4人以上が負傷したことについ
ては、「中国人は強烈な不満を持ち、日本政府による中国主権の侵犯
行動と右翼勢力の挑発に断固反対するが、日本人民に向けたものでは
ない」と指摘しました。
 そして、「中国は法治国家であり、われわれは法に基づき、理性的に
要求を表現するように求めている」と苦言を呈しました。


 この日の午前。中国外務省はホームページ上で、李保東国連大使が
9月13日にパン・ギムン事務総長を訪ね、尖閣諸島周辺の領海基線を
記した表と海図を提出したと発表しました。
 この基線は、9月10日に中国政府が独自に定めて公表したもので、
中国外務省は「国連海洋法条約で定められた義務を履行し、すべての
法的な手続きを終えた」としています。
 この一連の動きは、国連海洋法条約が沿岸国に領海基線を海図に
記すなどして公表し、国連事務総長に寄託するよう義務づけていること
を踏まえたものと見られます。

 パン・ギムン国連事務総長の広報官が明らかにしたところによると、
この領海基線を記した表と海図を、パン事務総長は受理したということ
です。
 広報官は、「事務総長は、国連海洋法の受託者としてすべての国から
表や海図を受けとる立場にある。その意味で事務総長の役割は完全に
中立的だ」と述べ、受理した海図などは条約に従って公表するとしてい
ます。



 同日。

 遠方離島では、陸上でも海上保安官に逮捕・捜査権を与えるという、
「改正海上保安庁法」の公布を受けて、
 海上保安庁と警察庁は、遠方離島の対象として、尖閣諸島、沖ノ鳥島、
男女群島、南鳥島、肥前鳥島、沖大東島などを含む、1都2県の19区域
を指定すると告示しました。
 日本が実効支配していない国後島などの北方領土や、竹島は含まれて
いません。

 これまで、保安官の海上警察権は、陸上での犯罪行為には適用されま
せんでした。しかし「改正海上保安庁法」によって、警察の交番や駐在所
がなく、警察官が向かうことが困難な遠方離島の陸上で、保安官の逮捕・
捜査権が認められるようになったのです。



 同日。

 最近の反日感情の高まりについて、上海に住む日本人の中には、
「今までにない雰囲気だ」と話す人もいるなど不安が広がっています。
 そこで日本総領事館は、この日、地元の警察に日本人の安全確保
を強化するように、あらためて申し入れました。

 今週末からは中国各地で大規模な反日デモが呼びかけられており、
日本大使館などは、滞在する日本人にたいし、昼間でも周囲の様子に
注意して大きな声で日本語を話さないようにすることや、できるだけ1人
でタクシーに乗らないことなど、安全に十分気をつけるように呼びかけ
ています。



 同日。

 最高裁判所が運営する、全国の裁判所の窓口となっているホーム
ページが、この日の午後、不正に書き換えられ、尖閣諸島の領有権を
主張する中国語の文章などが表示されていたことが分かりました。
 このページを開くと、尖閣諸島の島に中国の国旗が立てられている
画像とともに、「尖閣諸島は中国のものだ」という内容の日本語と中国
語の文章が、表示されるようになっていました。

 ホームページは午後10時現在、つながらない状態になっていて、
最高裁判所は復旧作業を進めるとともに、どのような手口でページが
書き換えられたのか調べています。
 中国のインターネット掲示板には、今月18日にかけて日本の省庁や
企業などのホームページを攻撃するように呼びかける投稿も書き込まれ
ており、これから被害が増加することが懸念されています。


               * * * * *


 9月15日。

 玄葉外相は、中国の海洋監視船6隻が、尖閣諸島沖の日本の領海に
侵入したことを受けて、この日の朝、訪問先のオーストラリアから急きょ
予定を早めて帰国し、
 杉山アジア大洋州局長ら外務省の幹部と、同省で協議をしました。

 政府は尖閣諸島の国有化後、中国国内で反日デモや日本人への暴力
事件が頻発していることに懸念を強めており、
 玄葉外相は、在留邦人の安全確保に万全を期すように指示しました。

 また同日の協議では、中国高官が日本製品の不買運動に容認姿勢
を示したことを踏まえ、経済分野への影響や対応も話し合いました。

 玄葉外相は、オーストラリアとの外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)
出席のため、シドニーに滞在していました。しかし事態を重くみて、午後
に予定していた帰国予定を、早朝に繰り上げたのです。



 同9月15日。

 日本政府が尖閣諸島を国有化してから、初めての週末となったこの日。
中国各地で大規模な反日デモが行われました。

 北京の日本大使館前では、朝から反日デモが始まり、最も多いときに
は数千人が集まって、「島は中国のものだ」という横断幕を掲げ、抗議
活動が行われました。
 参加者は、大使館の敷地に卵やペットボトルを投げ入れましたが、
警察官は制止しませんでした。
 デモの開始からおよそ1時間半後には、参加者の一部が大使館の敷地
に突入しようとし、警備に当たっていた武装警察官と衝突しました。

 山東省の青島では、この日の午前、日系スーパーの「ジャスコ黄島店」
の前でデモに参加していた若者らおよそ150人が、店内に侵入して5時間
にわたって居座り、鉄パイプでガラス窓を割ったり商品を略奪したりしま
した。
 また、同市の開発区にはパナソニックなど日系企業の工場が多く集まっ
ていますが、このうち10社が放火や破壊行為などの被害に遭いました。

 湖南省の長沙でも、この日の午前、暴徒化した大勢の若者が、日系の
百貨店「平和堂」の正面入口のガラスを鉄パイプで割って侵入したり、
看板を取り外して燃やしたりして破壊しました。

 広東省の東莞や、江蘇省の蘇州では、日本料理店に暴徒が侵入し、
窓ガラスを割ったり、机や椅子をひっくり返したりしました。

 陝西省の西安でも、路上に止めてあった日本車がひっくり返されたり、
窓ガラスが割られたりし、反日デモは各地で暴徒化しました。

 この日。分かっているだけで中国国内の50以上の都市で反日デモが
起きており、1日でこれだけの数の都市で反日デモが行われたのは、
極めて異例のことです。
 日本大使館は、これまでのところ、この日のデモで日本人が被害を
受けたという情報は、入っていないとしています。



 同日。

 北京の日本大使館の堀之内公使は、中国外務省の羅照輝アジア
局長にたいし、電話で申し入れをしました。

 堀之内公使は、「日本企業に対する放火や不法侵入、売り場や生産
ラインの破壊、略奪行為が発生した」と指摘し、
 「従来から繰り返し邦人や日系企業の安全を求めてきたにもかかわら
ず、こうした事態が全国各地で発生したことは大変遺憾だ」と批判しま
した。
 また、日本大使館への投石など過激な行為を踏まえ、「ウィーン条約
に基づく安全確保」を要求し、
 日本の国旗を燃やすなどの行動が相次いでいる点も「侮辱的行為」
と抗議して、再発の防止を求めました。

 羅局長は、「現在の状況を中国側も十分に認識している」と強調し、
「国民に理性的な行動を強く働きかけている。在留邦人と日系企業の
安全は、法律に基づき保護する」と述べています。



 同日。

 アメリカのパネッタ国防長官は、日本、中国、ニュージーランドの
3ヶ国歴訪に出発しました。

 最大の目的は、アジア太平洋地域で軍拡を続ける中国との対話を
継続し、軍備に関する透明性を高めるよう、求める点にあります。

 またパネッタ長官は、尖閣諸島の問題をめぐり日中間の緊張が高まっ
ていることを踏まえて、両国に冷静な対応を促す方針です。


               * * * * *


 9月16日。

 中国の大規模反日デモは、この日も続けられ、中小都市をふくむ少なく
ても108の都市・地域で行われました。

 昨日の50都市以上を大きく上回り、1972年の日中国交正常化以降、
1日の反日デモでは過去最高となりました。中国全土で、数十万人が参加
した可能性もあります。

 日本車や日本料理店への破壊行為が多く見られ、反日意識が地方の
隅々まで浸透している様子が明らかになりました。

 広東省の深センでは一部が暴徒化しました。市共産党委員会の建物に
入ろうとして武装警官と衝突したため、警察側が放水し、催涙ガスなどを
発射しました。負傷者や拘束者が出たもようです。

 四川省の成都で行われたデモは、2万5000人に達し、現地のイトー
ヨーカ堂や伊勢丹は休業しました。

 広東省の広州では、日本総領事館が入居する高級ホテルが1万人以上
のデモ隊に包囲され、1階の窓ガラスを破って数十人の暴徒が乱入しま
した。その際、ホテル内の日本料理店の窓ガラスが壊されました。

 広東省の東莞では、回転すし店が破壊されました。


 日本大使館によると、この日のデモで日本人が被害に遭ったという情報
は入っていないということです。しかし日本人社会の間に、反日デモの影響
が、さらに広がっているとしています。

 たとえば北京では、日本人だと分かると、タクシーの乗車を拒否される
ケースが相次いでいます。

 また、レストランなどで日本語で話していると、黙るように脅されたケース
もあるということです。

 北京や広州の日本人学校は、9月17日と18日の2日間、臨時休校と
する措置を決めました。

 広東省の深センに滞在する日本人の中には、「日本に帰れ」という
嫌がらせの電話を受けた人もいるということで、日系企業の中には、駐在
している社員の家族を一時帰国させることを検討しているところもあると
いうことです。



 同日。

 野田首相は、外務省の河相事務次官らに対して、情報収集と在留邦人
の安全確保に万全を期すように指示しました。

 日本政府は、満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日の9月
18日に向けて、反日デモが激しさを増す恐れがあるとしており、
 中国政府に対して、引き続き、在留邦人や日系企業の安全確保を
求めていくことにしています。

 また、北京の日本大使館や、中国各地の日本総領事館では、在留邦人
に注意を呼びかけるメールを送ったり、日系企業の担当者に電話をかけ
て状況の把握に努めることにしています。

 この日の午後。丹羽駐中国大使は、外交ルートを通じて中国政府の
幹部に、在留邦人と日系企業の安全に万全の対応を取るように要請
しました。



 同日。

 アメリカのパネッタ国防長官は、東シナ海や南シナ海における領土
紛争について、対応を誤れば戦争に発展する恐れがあるという、強い
警戒感を示しました。

 パネッタ長官は訪日の途上で、記者団にたいし、尖閣諸島をめぐる日中
の緊張が高まっていることに関して、
 「幾つかの島をめぐり挑発行為が続けば、当事者の一方あるいは他方
が判断を誤り暴力に訴え、武力紛争化する可能性がある」と述べました。

 さらに、「その紛争は拡大する恐れもある」として、尖閣問題に関して
日中に自制を促す姿勢を示しました。

 またパネッタ長官は、東シナ海や南シナ海での資源獲得に向けた動き
が強まることを警戒し、「こうした問題を平和裏に解決する手段が必要だ」
と語って、中国や紛争当事国が挑発行為を行わないように強く求めました。



 同日。

 中国外務省は、東シナ海で領海の基線から200カイリを越えて延びて
いる部分を大陸棚に設定する案を、国連海洋法条約に基づき、大陸棚
限界委員会に申請すると決めたことを、明らかにしました。

 中国側は、東シナ海のガス田開発などに絡み、これまでも一貫して、
尖閣諸島を含めた沖縄トラフまでを、自国の大陸棚だと主張しています。

 大陸棚限界委員会は、中国側から提出された情報を検討し、大陸棚
の拡張を認めるかどうかを勧告します。


              * * * * *


 以上、9月10日〜16日までの動きについて見てきました。


 9月11日に、尖閣諸島を国有化したことは、日本にとって歴史的な
出来事です。


 が、しかし、そのことによる中国の反発は、そうとう激しいものとなりま
した。

 9月16日には、中国各地の108の都市・地域で反日デモが行われ、

 1972年に日中の国交が正常化して以来、1日の反日デモでは過去
最高となってしまいました。


 しかしさらに、それだけでなく、

 その後も中国は日本にたいして、さまざまな「対抗措置」を取ってくる
ことになります。

 それについては、次回でレポートしたいと思います。



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