事故は必ず起こるもの
                          2011年6月19日 寺岡克哉


 福島第1原発の原子炉が、冷却機能を失ったら、

 3時間20分後には、大半の燃料がメルトダウンするという
シミュレーション結果を、

 3月の下旬にアメリカの専門家が、IAEA(国際原子力機関)
に提出していました。



 ところで一方、

 日本の原発研究者は、メルトダウンのシミュレーションを、

 今まで1度も、だれ1人として、やっていなかったのでしょうか?



 もしも冷却機能を失えば、

 たったの数時間でメルトダウンが起こることが、前もって分かっ
ていたら、

 事故発生の初期のうちに、正しい対策が取れたはずです。



 なぜ、

 原発における大事故(シビアアクシデント)のシミュレーション
が、

 前もって行われていなかったのでしょう?



 もしかしたら、

 「日本の原発は絶対に安全だから、大事故など絶対に起こる
はずが無い!」

 「だから、そんな研究など、まったくやる必要なし!」

 とでも言うような、「研究を制止する圧力」が働いていたので
しょうか?


           * * * * *


 原発事故が発生した当初。

 高レベルの放射線量のために、人間が行けないような場所で、

 遠隔操作によって、写真撮影をしたり、放射線量を測定したり、
瓦礫(がれき)の撤去ができるような、

 いわゆる「原発災害用のロボット」が、日本にはありません
でした。



 しかし、なぜ、

 ロボット先進国であるはずの日本なのに、

 そのような原発災害用のロボットが、事故発生の当初には、

 現場で稼動できるものが1台も無かったのでしょう?



 もしかしたら、

 「日本の原発は絶対に安全だから、大事故など絶対に起こる
はずが無い!」

 「だから、そんな研究など、まったくやる必要なし!」

 とでも言うような、「研究を制止する圧力」が働いていたので
しょうか?


           * * * * *


 いま現在、

 原子炉から漏れ出した、大量の「高レベル汚染水」が、

 海にあふれ出しそうになっており、ものすごく深刻な問題に
なっています。



 そのような「高レベル汚染水」の浄化処理を、

 フランスのアレバ社製や、アメリカのキュリオン社製の
装置を使って、

 行おうとしています。



 しかし、なぜ日本には、

 高レベル汚染水を「浄化処理する技術」が、

 まったく無かったのでしょう?



 そのような技術を、前もって日本で持っていたならば、

 もっともっと早くから、高レベル汚染水の浄化処理に、

 取り組めたはずです。



 もしかしたら、

 「日本の原発は絶対に安全だから、大事故など絶対に起こる
はずが無い!」

 「だから、そんな研究など、まったくやる必要なし!」

 とでも言うような、「研究を制止する圧力」が働いていたので
しょうか?


           * * * * *


 そして、事故が起こったら・・・



 すべてが「想定外」ということで、

 早期の海水注入などによって、メルトダウンを防ぐことも、

 無人のロボットによって、事故の状況をすぐに調べることも、

 高レベル汚染水を浄化処理することも、

 まったくの「お手上げ状態」だったわけです!



 さらには、

 地震発生から5時間後の、1号機がメルトダウンをした、
まさにその時、

 原発の近くに住む人々は、

 メルトダウンが起こっていた事実を、まったく知ることが
できず、

 避難をすることも、まったく出来ませんでした。



 こんなことでは、

 「原発の運用は、ものすごく危険だ!」と、言われても、

 ほんとうに仕方がないでしょう。




 もし、これからも原発を維持して行くというのなら・・・



 つねに、事故が発生した場合のことを想定し、

 「事故が起こったときの対策」を強化することが、絶対に必要
です。

 また、

 原発に異常が発生したら、すぐに近隣の住民に知らせること
も必要でしょう。


            * * * * *


 想定を超える、大地震や津波・・・

 作業員のミスや、過失による事故・・・

 テロの標的や、軍事標的にされる可能性・・・

 どんなに可能性が小さかったとしても、

 事故というのは、いつか何処かで、必ず起こるものです!



 「日本の原発は絶対安全なので、絶対に事故は起こりま
せん。」

 「だから、事故が起こった時のことなど、心配する必要は
ありません。」

 こんな「戯言(たわごと)」を信じる者は、もはや皆無といえる
でしょう。



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