世界各地で洪水被害
2011年1月23日 寺岡克哉
オーストラリアの洪水は、クイーンズランド州だけでなく、
その南部にある、ニューサウス・ウェールズ州や、ビクトリア州
にまで
被害が拡大しています。
1月17日。オーストラリアのギラード首相は、
クイーンズランド、ニューサウス・ウェールズ、ビクトリアの3州を
襲った洪水について、
経済的な観点から見ると、「オーストラリア最大の自然災害」だっ
たという見解を示しました。
* * * * *
ところで・・・ さらには、オーストラリアだけでなく、
ブラジル、スリランカ、そして南アフリカなどにおいても、
「洪水の被害」が発生しました。
ブラジルでは、
南東部のリオデジャネイロ州で、豪雨が降りつづき、
1月11日の夜から、「洪水」や「地すべり」が各地で発生しました。
1月18日の時点で、2万1000人以上が避難を強いられている
状態になっており、
1月21日までに、死者は762人、行方不明が400人に達して
います。
スリランカでは、
1月8日から13日まで、東部のバティカロアなどを中心に豪雨が
降りつづき、「洪水」や「土砂崩れ」が発生しました。
1月19日までに、43人が亡くなり、4人が行方不明になってい
ます。
およそ1万9000棟の住宅が全半壊し、36万人を超える住民が
避難施設での生活を強いられています。
被災者の総数は100万人におよび、
スリランカ全土における水田の20%が、洪水の被害を受けたと
みられています。
南アフリカでは、
昨年の12月下旬から、今月にかけて豪雨が降りつづき、
1月6日〜12日までの1週間に、各地で「洪水」が発生しました。
1月18日までに、死者と行方不明者が、少なくても40人に上って
います。
南アフリカの9州のうち、7州が「災害激甚地」に指定され、
主要ダムのある地域から住民を避難させるために、軍隊が出動
準備態勢をとりました。
また、南アフリカの隣国のモザンビークでも、
豪雨や洪水で、少なくても10人が死亡し、およそ1万3000人が
避難しました。
以上のように、
世界の各地で、ほぼ時期を同じくして(つまり同時多発的に)、
「異常豪雨」による、洪水、地すべり、土砂崩れなどの災害が
発生していたのです!
* * * * *
これら「世界で同時多発的」に起こった、異常豪雨による災害に
たいして、
(たとえば地球温暖化など)それら全体に共通する原因が、ある
かどうかについては、
これからの科学的な研究が待たれます。
しかしながら、
オーストラリア東部に限った場合の、異常豪雨の原因に関して
ならば、
日本の気象庁による見解が、1月14日に報道発表されています。
それによると、
まず昨年の夏以降から、「ラニーニャ現象」というのが発生して
いました。
この「ラニーニャ現象」が起こると、
太平洋の熱帯海域において、中部〜東部(中南米の方)にかけ
ては、海水温が下がります。
が、しかしながら、
太平洋熱帯海域の西部(オーストラリアやインドネシアの方)では、
「海水温が上がる」のです。
そのため、
太平洋熱帯域の西部では(海水温が上がったために、水の蒸発
が活発になり)、
「積乱雲の活動」が活発になりました。
しかし、それだけでなく、
今回の積乱雲の活動は、過去のラニーニャ現象と比較して
「顕著」でした。
しかも積乱雲の分布が、やや西側にずれていたため、
ふつうなら、オーストラリアの東方海上に発生するはずの
積乱雲が、
もろに、オーストラリアの東部地方にかかってしまいました。
これらの要因により、
オーストラリア東部のほぼ全域で、大雨になったと考えられる
と言うことです。
* * * * *
私は思うのですが・・・
オーストラリアだけでなく、ブラジル、スリランカ、そして南アフリカ
やモザンビークなど、
世界中で同時多発的に、これら異常豪雨による災害が発生した
というのは、
「ものすごい異常事態」だと、判断せざるを得ません!
こうまで、同時多発的に「異常豪雨」が発生したのには、
やはり地球規模において、「なにか共通の原因」が存在するの
ではないかと、
思ってしまうのが普通でしょう。
私の考えを率直に言えば、
「地球温暖化」によって、世界的に海水温が上昇し、
海水の蒸発が活発化したために、世界各地で異常豪雨が発生
しやすくなった
と、思えてならないのです。
たしかに、これは「私の推測」にすぎません。
しかしながら、
地球温暖化が進めば、降雨の強度が増加する(つまり豪雨の
発生が増える)ことは、コンピューターシミュレーションによって予測
されていますし(※参考文献1)、
1990年以降、洪水や鉄砲水などによる災害が、世界的に増加
傾向にあるのも「確かな事実」なのです(※参考文献2)。
それらを考え合わせると、
ごく一般的で大まかな話としては、私の推測も「あながち的外れ
ではない」
と、言えるのではないでしょうか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
※参考文献1
地球温暖化予測の最前線 近藤洋輝 成山堂書店 p187
※参考文献2
地球温暖化時代の異常気象 吉野正敏 成山堂書店 p74
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
目次へ トップページへ