新年早々から気象災害!
2011年1月9日 寺岡克哉
昨年にくらべて今年は、
もうすこし気象が安定してほしいと、願っているのですが、
しかし今年も、新年早々から「気象災害」が発生しています。
* * * * *
まず国内では、
大晦日(おおみそか)から元日にかけて、山陰地方で記録的
な大雪がふり、
日本海沿いの国道9号線において、
およそ1000台もの自動車が、42時間にわたって立ち往生し、
動けなくなりました。
また、中国電力によると、
この大雪のために、送電の鉄塔が破損するなどして、
鳥取県内でのべ12万6000戸が停電しました。
さらには、
降った雪の重みで、たくさんの小型漁船が転覆したり、沈没しま
した。
1月4日までの、県によるまとめでは、
鳥取と島根の2つの県で、合計422隻もの漁船が、転覆あるいは
沈没したとなっています。
私は、北海道に住んでいるのですが、
いくら大雪が降ったときでも、こんなにたくさんの漁船が転覆した
り沈没したなんて、
今まで見たことも、聞いたこともありません!
おそらく、北国の漁師さんたちは、
大雪が降ったときの対策を、(私が知らなかっただけで)つね日頃
から行っていたのでしょう。
このたびの山陰における、ものすごい数の漁船被害をみて、その
ように思いました。
* * * * *
ところで・・・
世界に目を向けると、さらにもっとすごい「気象災害」が、
いま現在において、起こっている最中です。
それは、
オーストラリア東部の、クイーンズランド州で発生した、
この50年間で最悪と言われている「大洪水」です。
その原因は、
昨年の暮れにクイーンズランド州を襲った「サイクロン」で、
なんと日本の国土の2.4倍もの面積が、洪水による被害を
うけました。
交通網が分断されて20以上の町が孤立し、被災者は20万人
に上っています。
1月5日の時点で、
水位がおよそ9.2メートルにも達した場所があり、
水が完全に引くまでには、あと1ヶ月は、かかるだろうと見られ
ています。
* * * * *
この、オーストラリアの大洪水で、
さらなる「世界的な食料価格の高騰」が、心配されて
います。
FAO(国連食料農業機関)が、1月5日に発表したところ
によれば、
昨年の12月における、世界の主要食料の価格は、
食糧危機が叫ばれた2008年の6月を上まわり、
統計を開始して以来、最高の値となってしまいました。
こんなに食料の値段が高くなった、そのきっかけは、
昨年の夏に起こった「ロシアの干ばつ」のために、
同国が行った「穀物の輸出禁止措置」だとされています。
その上さらに、今回のオーストラリアの大洪水が、
食料価格の高騰に、拍車をかけるのではないかと、
心配されている訳です。
ところで、クイーンズランド州で生産される小麦の、
オーストラリアの輸出に占める割合は5%以下なので、
(さまざまな洪水被害が発生しているものの)小麦生産に
関しては、
「最悪の事態を逃れた」と言われています。
しかしながら、
南部のニューサウスウェールズ州では、水害の影響で、多くの
穀物の質が悪化し、
人間の食料用のものが、家畜の飼料用に回されています。
(蛇足ですが、南半球にあるオーストラリアは現在夏で、農作物
の収穫期に当たっています。)
なので、
オーストラリアで起こっている大洪水の影響が、
さらなる「世界的な食料価格の高騰」を招く懸念を、
完全に払拭(ふっしょく)することは出来ません。
* * * * *
ここで私は、「たいへん強く主張したい」と思いますが、
昨年に、ロシアで大規模な「干ばつ」が起こった背景として、
「地球温暖化」が関与していることは、もはや否定できません。
そしてまた、
このたびオーストラリアで起こった「大洪水」も、
地球温暖化とまったく無関係であるとは、とても考えにくいで
しょう。
ところが、最近になってもまだ、
「地球が温暖化すれば、かえって食糧の生産が増える」などと
いう、
まるで能天気としか思えないほどの、楽観論を吹聴する者が
後を絶ちません。
しかし実際は、
すでに上で話したような事例もふくめ、近年では世界各地に
おいて、
干ばつ、洪水、高温障害などによる農業被害が頻発しています。
だから、
地球温暖化が、食糧生産にたいして「悪影響」を及ぼして
いることは、
もはや、「絶対に否定できない事実」となっているのです!
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