世界的な大災害の年
                            2010年12月26日 寺岡克哉


 今年の1年間を、いま一度ふり返ってみると・・・

 2010年は、「世界的な大災害に襲われた年」だという
ことが、

 改めて思い知らされました!



            * * * * *


 まず、

 今年になって1月の早々に、ハイチで「大規模な地震」が、

 発生しました。



 死者は、およそ22万人。

 被災者は300万人に上り、これはハイチの総人口の、

 およそ3分の1にも相当します。



 今にして思えば・・・

 このハイチ地震が、今年は「世界的な大災害に襲われる」ことを、

 すでに暗示していたのかも知れません。


            * * * * *


 そして今年は、「世界的な異常気象」に見舞われた年でした。


 ロシアでは、

 1000年に1度とも言われる記録的な猛暑になり、「熱波」の襲来に
よって、少なくても1万5000人が死亡しました。

 大規模な「干ばつ」が発生し、ロシア全土の作付面積の、4分の1が
壊滅する事態となりました。

 そのため ロシアは、小麦などの穀物を、国外に輸出できなくなった
ほどです。

 また、

 推定で700件もの「山火事」が発生し、森林、草原、泥炭地を合わ
せると、100万ヘクタールが焼失したと言われています。



 パキスタンでは、

 記録的な大雨によって、「過去80年間で最悪の洪水」が発生しま
した。

 この洪水により、2000人以上が死亡し、2000万人が被災したと
言われています。

 また、

 パキスタンも「記録的な猛暑」に襲われ、今年の5月には、アジアで
過去最高の53.5℃を記録しました。



 中国では、

 大規模な「土石流」が起こって、1435人が死亡し、330人が
行方不明になりました、

 また今年は、中国の各地において、「洪水」や「土石流」などが
相次ぎ、

 中国全土における被災者は、のべ2億3000万人に上ったと
言われています。



 そして日本でも、

 今年の夏(6月〜8月)における平均気温が、統計を開始した
1898年以降で、最高の記録となりました。

 この猛暑により、

 熱中症による死者が500人以上、救急搬送が5万2000人以上
に上りました。



 さらには、

 インド、東ヨーロッパ、北朝鮮などでも、異常気象(豪雨)による
被害が発生しました。



 このように今年は、

 世界の各地が、「異常気象による大災害」に見舞われた年と、
なったのです。


 その背景として、「地球温暖化による気候変動」が大きく影響
していることは、もはや絶対に否定できません!



             * * * * *


 ところで・・・

 今年に起こった「大災害」は、地震や異常気象によるものだけでは、
ありません。

 アメリカ南部のメキシコ湾で、ものすごく大規模な「原油流出事故」
が発生しました。



 4月20日。メキシコ湾の海上で、石油を掘っていた施設が爆発
事故を起こし、

 7月16日までの、およそ3ヶ月間にもわたって、海底油田から
原油が流出しつづけたのです。



 流出した「原油の総量」は、7億8000万リットルにも上りました。

 これは、

 1997年に日本海沖で座礁した、ロシアのタンカー「ナホトカ」から
流出した重油、620万リットルの、

 なんと126倍の量です。



 7月1日ころに、原油に汚染された海域が、いちばん拡大したと思われ
ますが、

 そのときは、東西およそ720キロ、南北およそ200キロの範囲にまで、
流出した原油が広がりました。

 それを、日本の地図に重ねてみると、

 東京から、静岡、名古屋、大阪、岡山、そして広島までの沿岸海域が、
原油に汚染されてしまったことに相当します。



 現在、原油の流出は完全に止まっていますが、

 これから長期にわたる、自然環境や生態系にたいする悪影響が、

 ものすごく心配されます。



 たとえば・・・

 21年前にアラスカで起こった、タンカーの座礁による原油流出事故
では、

 2800匹のラッコが犠牲になり、ニシンの漁場が壊滅的な打撃を
受けました。

 そして21年経った現在でも、ラッコの数が事故前の水準にもどらず、
ニシン漁も復活していないのです。



 最近のメキシコ湾に関する報道をみるかぎり、石油会社の責任問題
については取り上げられていますが、

 自然環境や生態系にたいする、長期的な影響に関連した記事は、
今のところあまり見当たりません。

 これから科学的な調査が進んで、徐々に、それが明らかになって行く
のだと思います。


             * * * * *


 地球温暖化も、そしてまた原油流出事故も・・・

 これらは、「人類の活動」によって、ひき起こされたことです。



 ほんとうに今年は、

 気候や自然環境にたいして、人類がとても大きな影響を与えて
いることが、

 ものすごく実感できた年となりました。



 2010年は、いろいろな意味で、

 人類が「大きな警告を受けた年」だったのかも知れません。



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