自我意識の「波及効果」は永遠に消滅しない
2002年12月29日 寺岡克哉
全ての人間は、いつか必ず死にます。
そして死ねば、「自我意識」は永遠に消滅してしまいます。
だから、「自分の自我意識が存在する状態」だけにしか生きる意味を見い出さな
ければ、どうしても生きる意義を失ってしまいます。
いくら一生懸命に生きても、結局、「死ねば全てが無に帰す」ので、生きることの
全てが「無意味」になってしまうからです。
快楽や欲望の追求も、この定めからは逃れられません。いくら快楽や欲望を満た
しても、死ねば全て無意味になってしまうからです。
しかし、「自我意識の存在」に生きる意義を求めるのではなく、自我意識の
「波及効果」に生きる意義を求めれば、生きる意義を喪失しません。「自我
意識の波及効果」は、死んでも消滅しないからです。
「自我意識の波及効果」のために生きることが出来れば、「死んでも消滅しない
もの」のために生きることになります。
だから、死んでも「全てが無に帰す」訳ではなくなり、生きる意義を喪失しないの
です。
このように、「死んでも自我意識の波及効果が永遠に存在し続ける」という
事実は、「生きる意義を防衛する根幹」になっています。
だから今回は、このことについて、少し詳しく考えてみたいと思います。
「自我意識の波及効果」は、まず第一に、「大生命」の中で永遠に存在し続けま
す。そして第二に、「人類の集合意識」の中で永遠に存在し続けます。以下、これ
らの二点について考えて行きたいと思います。
1.自我意識の波及効果は、「生命の仕事の波及効果」として、大生命の
中で永遠に存在し続けます。
全ての人間は、「自我意識」によって、生きるための色々な行動をします。つまり
「生命活動」を行っています。
そして、その生命活動の全てが「生命の仕事」です。
「生命の仕事」とは、「大生命の意志」に貢献する、全ての生命活動のことでした。
大生命は、地球の全生物で構成された生命維持システムです。だから大生命は、
地球の全ての生命が、より良く、生きられるだけ生きることを望んでいます。
これが「大生命の意志」でした。
だからまず、「生きられるだけ生きること」が、大生命の意志に適う、もっとも大切
な生命の仕事でした。
(上記の詳しい話は、エッセイ21を参照して下さい。)
ゆえに、「自我意識」によってなされる、生きるためのさまざまな生命活動は、全て
生命の仕事です。
そして、一般にどんな生物であっても、その生物が生命の仕事を行えば、「生命の
仕事の波及効果」が大生命の中で永遠に存在し続けます。(エッセイ22)
食べること、呼吸をすること・・・ これらの生命活動(生命の仕事)でさえも、その波
及効果は大生命の中で永遠に存在し続けます。
だから、ある人間が「自我意識」によって生命の仕事を行っても同様に、その波及
効果は大生命の中で永遠に存在し続けます。
ゆえに「自我意識の波及効果」は、「生命の仕事の波及効果」として、大生命の中
で永遠に存在し続けるのです。
2.自我意識の波及効果は、「人類の集合意識」の中で永遠に存在し続け
ます。
例えば、釈迦やキリスト、孔子、老子、荘子、ソクラテス、プラトン、アリストテレス・
・・等々の、過去の偉人たちの思想。
さらには、その他諸々の人たちの、生涯をかけた思いや意志。
これらのものは、その人の自我意識が消滅してしまっても、人から人へと語り伝え
られ、あるいは書物によって後世に伝えられ、永遠に消滅しないものです。
つまり、釈迦やキリスト、その他諸々の人たちの自我意識の波及効果は、「人類
の集合意識」の中で存在し続けるのです。
これも大きな意味では、上記1.の「自我意識の波及効果が、生命の仕事の波及
効果として永遠に存在し続ける」と、言っているのと同じです。
しかし上記1.と違うのは、生命活動一般の波及効果ではなく、「意識としての影
響力」が波及効果として存在し続けるところです。
ある人間の自我意識が、他の人間の自我意識に次々と作用を及ぼし、その波及
効果が、「人類の集合意識」の中で存在し続けて行くのです。
「意識が意識に作用する」という、純粋に「意識を媒体とする波及効果」が、人類
の集合意識の中で存在し続けるのです。
これは、地球の生物の中でも、人類にしか存在しない現象です。人類は唯一、「意
識を媒体とする作用や影響力」を、人類集団の中に存在させ続けることが出来る生
物なのです。
世界中のあらゆる人間の自我意識が、「人類の集合意識」に影響を与えます。そ
れによって、人類の集合意識は進歩し、発展して行きます。
逆に、「人類の集合意識」もまた、個々の人間の自我意識に影響を与えます。これ
によって、個々の人間の認識する世界は、より広く、深くなって行きます。
その自我意識が、さらにまた、人類の集合意識に影響を与えて行きます。
このように、「個々の自我意識」と「人類の集合意識」は、お互いに作用を及ぼし合
いながら進歩し、発展して行きます。
また、「人類の集合意識」は、新しく生まれた人間の自我意識にも、次々と影響を与
えて行きます。こうして「人類の集合意識」は、新しい世代に受け継がれて行くのです。
以上のように、「人類の集合意識」と「個々の自我意識」は、作用を及ぼし合うこと
によって進歩発展し、未来の世代へと受け継がれて行きます。
だから、「人類の集合意識」は、人類が存続する限り「不滅のもの」です。
ゆえに、その中で存在し続ける「自我意識の波及効果」もまた、「不滅のもの」
なのです。
ところで、人類の集合意識に与える「自我意識の影響力」は、大きな人も、小さな人
もいます。
過去の偉人たちのように、大きな影響力を発揮できる人は、ごくわずかです。
ほとんどの人は、非常に小さな影響しか与えることが出来ません。
しかし、全ての人の自我意識の波及効果は、人類の集合意識の中で永遠に作用し
続けます。
だから、始めはどんなに小さな影響でも、波及効果が波及効果を呼び起こし、その
影響力は無限に大きくなって行きます。これは、「生命の仕事の波及効果」の場合
(エッセイ22)と、全く同じです。
つまり、全ての人の自我意識は、無限の影響力を持つのです!
以上のように、あなたや私が死んでも、あなたや私の「自我意識の波及効果」
は、絶対に消滅しません。
「人類の集合意識」の中で、もっと広くは「大生命」の中で、自我意識の波及効
果は永遠に存在し、無限の影響力を発揮します。
だから決して、「死ねば全てが無意味なにる」訳ではありません!
このことにより我々は、「生きる意義の喪失」から救われるのです。
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