熱中症で死者500人!
2010年9月12日 寺岡克哉
NHKのまとめによると、
梅雨が明けた7月17日から、9月5日までに、
熱中症と見られる症状で亡くなった人が、
全国で503人に上りました。
また、総務省消防庁のまとめによると、
5月31日から9月5日までに
熱中症のために救急車で病院に運ばれた人が、
全国で5万2017人に達しました。
そして一方、気象庁によると、
今年の夏(6月〜8月)における、日本の平均気温は、
平年よりも1.64℃高く、
統計を開始した1898年以降で、第1位の高い記録と
なりました。
* * * * *
同じく気象庁による、月別の平均気温をみると、
今年の6月は、平年よりも1.24℃高くて、統計を開始してから
第5位の記録。
7月は、平年よりも1.42℃高くて第11位でした。
しかし8月は、平年より2.25℃も高くなり、第1位だったのです。
つまり、
今年の8月は、ものすごく異常に暑かったわけです!
そして一方、消防庁によると、
今年の8月に、熱中症のため救急車で病院に運ばれた人は、
全国で2万8269人に上り、
昨年の8月にくらべて4.4倍になりました。
その内で、
病院に運ばれて直後に死亡した人は、64名であり、
昨年の8月にくらべて、8倍にも上っています。
(※ 昨年8月の平均気温は、平年よりも0.56℃低くなっていま
した。つまり今年の8月よりも、2.81℃低かったわけです。)
* * * * *
ところで「熱中症」は、国立環境研究所の分析によると、
1日の最高気温が25℃になるあたりから、患者が発生する
ようになり、
最高気温が31℃を超えると、急激に増加します!
なので、
1日の最高気温が35℃を超える「猛暑日」が、日本の各地で
数多く発生した、今年の8月のような暑さでは、
熱中症の患者が、急増したのも当たり前だったのです。
私は思うのですが、とくに体の弱い高齢者の方は、
「猛暑日というのは、命の危険にさらされる日」だという
認識を持った方が良いでしょう。
なぜなら、
最初でお話した、全国の熱中症による死者503人のうち、
年齢が分かっている人の、およそ4人に3人が、70歳以上
の高齢者だったからです。
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また、厚生労働省の統計情報部資料によると、
近年(1995年以降)において、熱中症による死者の数が、
増加傾向にあります。
その第一の要因は、いま話したような「高齢化」です。
たとえば2000年以降では、
死亡者全体のうち、男性の52%と、女性の85%が、
65歳以上の高齢者でした。
そして、もう一つの要因が「地球温暖化」です。
これから将来・・・
さらに進む「高齢化」と「温暖化」によって、
熱中症による死者が、ますます増加することが懸念されています。
* * * * *
たしかに、
熱中症による健康被害は、地震や台風などの災害と比べれば、
脅威としての認識が、そんなに強くないかも知れません。
しかしながら、今年の熱中症による死者は、
たとえば2004年に発生した、中越地震や台風23号による
死者の数を、
はるかに上回っているのです。
(※ 中越地震は死者68人で、台風23号は死者95人でした。)
このようにして見ると、熱中症による健康被害は、
「ものすごく大きな脅威」であることが、改めて分かります。
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