世界各地で異常気象!
                          2010年8月29日 寺岡克哉


 前回のエッセイでは、

 2009年における、世界の二酸化炭素排出量が、

 2008年にくらべて減少したという、

 とても希望のある話をしました。



 しかしながら、二酸化炭素の排出量が減ったと言っても、

 「大気中の二酸化炭素濃度」は、依然として増えつづけており、

 地球温暖化問題は、けっして予断を許さない状況であることも
事実です。



 その証拠に、

 今年も日本では、「はげしい豪雨」や「猛暑」などの異常気象が、

 頻発しています。



 しかも、さらにそれは、日本だけではありません。

 ロシア、パキスタン、中国などの国々でも、「猛暑」や「豪雨」と
言った、

 深刻な異常気象が起こっています。



 そして、それら異常気象が起こった原因について、

 やはり、「地球温暖化による影響」を否定することは、

 絶対にできません!



 今回は、そのことについてレポートしたいと思います。


              * * * * *


 まず、ロシアの状況ですが、

 ロシアは6月の末から、記録的な猛暑に襲われており、

 8月9日までに、熱波による死者が、少なくても1万5000人
に達していると見られています。

(※ しかし、さらには、1万5000人をはるかに上回る可能性が
  あるとも、言われています。)



 この猛暑により、

 ロシアでは、大規模な「干ばつ」「山火事」が起こっています。



 「干ばつ」では、8月12日の段階で、

 ロシア全土における作付面積の、4分の1が壊滅したとされて
おり、

 ロシアは、8月15日から12月31日まで、小麦など穀物の輸出を、

 禁止する措置をとっています。



 一方、「山火事」は、

 推定で700件も発生したとみられ、

 森林、草原、泥炭地をあわせた、これまでの消失面積は、

 100万ヘクタールに上るとされています。



 このように大きな被害を出した「猛暑」にたいして、

 ロシアの気象学者のなかには、「1000年に1度の異常気象だ!」

 と言う者も、いるほどです。


              * * * * *


 つぎに、パキスタンの状況ですが、

 記録的な大雨によって、「過去80年間で最悪の洪水」が発生
しました。

 この洪水によって、8月26日までに、

 1600人が死亡し、被災者は1700万人に上っています。



 ところで、1700万人という数は、

 なんとパキスタンの全国民の、およそ10分の1にも当たります。

 このような大災害のため、パキスタンでは、食料や物資が不足
しており、

 被災した人々は、厳しい避難生活を強いられています。



 さらには、

 パキスタンも、「記録的な猛暑」に襲われており、

 5月26日には、アジアで過去最高の53.5℃を記録しています。


              * * * * *


 そして中国の状況ですが、

 この国でも、記録的な大雨による被害が、各所で起こっています。



 たとえば、

 中国の北西部にある甘粛省では、「大規模な土石流」が発生し、

 8月23日までに、死者が1435人、行方不明が330人となって
います。



 その他にも中国では、

 今年の春から、南部や東北地方で「洪水」が相次いでおり

 被災者は、のべ2億人に上っているのです!


              * * * * *


 さらには、上で挙げたロシア、パキスタン、中国のほかに、

 インド、東ヨーロッパ、北朝鮮などでも、異常気象(豪雨)による

 被害が発生しています。



 このような、世界的な異常気象の原因として、気象の専門家
たちは、

 「ブロッキング現象(偏西風の蛇行)」や、

 「インド洋における海水温の上昇」を挙げています。



 たとえば、

 世界気候研究計画(World Climete Research Programme)の、
ガッセム・アスラー事務局長は、

 「ブロッキング現象は、大雨や熱波を増長し、同じ地域にとどめ、
異常気象を引き起こす可能性がある。」

 「地球温暖化のもとでは、(このブロッキング現象が)より頻繁
に起こると考えられる。」


 と、述べています。



 また、

 アメリカ国立大気研究センターの、ケビン・トレンバース氏は、

 「インド洋北部における海面水温が、1970年代以降で1.1℃
上昇した。」

 「海水温が上昇したのは、地球温暖化による影響と、それに
加えて、たとえばエルニーニョ現象なども一因として考えられる。」

 「海水温が高くなると、大気中に放出される水蒸気が多くなり、
モンスーン(季節風)による降雨量も増加する。」

 と、述べています。



 以上から、

 ブロッキング現象の発生、インド洋の海水温上昇ともに、

 「地球温暖化」が関係していると見て、まず間違いないで
しょう。



 少なくとも、このたび、

 「世界的な異常気象」が起こった原因について、

 「地球温暖化による影響」を、完全に否定することは、

 絶対にできません!




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