最も暑い10年間 2010年1月31日 寺岡克哉
今年の1月21日に、
NASA(アメリカ航空宇宙局)が、発表したところによると、
2009年における世界の平均気温は、1880年以降で、
2番目の高さになりました。
さらには、
2000年〜2009年の、10年間における平均気温は、
ほかの、どの10年間の平均気温よりも高く、
1880年以降で、過去最高となりました!
また、
1880年〜2009年までの、全期間における気温上昇は0.8℃で、
いちばん最近の30年間では、10年あたり0.2℃の上昇だとして
います。
ちなみに、
1880年というのは、近代的な気象観測が始まった年であり、
それ以降から、「統計的な観測データが存在している」とのことです。
一方、今回のNASAによる最新結果は、
人工衛星の観測による、海面温度のデータや、
世界各地や南極にもある、1000ヶ所以上の気象観測所が収集した
データをもとに、
分析されたものです。
なので、
ヒートアイランド(都市高温化)による、観測データへの悪影響は、
ほとんどありません。
* * * * *
ところで、NASAの発表より先の、2009年12月8日。
WMO(国連 世界気象機関)も、
「この10年間の平均気温が、観測史上最高であったことが、
最新の地球温暖化データから判明した!」
という、研究結果を発表しています。
この分析に使われたデータは、
世界各地の、地上観測所をはじめとして、
船舶や海上ブイ、そして人工衛星を利用して収集された、最新版の
ものです。
なので、こちらのデータも、
ヒートアイランドによる悪影響は、ほとんどありません。
* * * * *
以上、ここまで話して来ましたように、
NASA(アメリカ航空宇宙局)と、WMO(国連 世界気象機関)と
いう、
複数の研究機関による分析結果の一致から、
いちばん最近の10年間が、「最も暑い10年」だったのは、
完全に明白です!
さらには、たった1つの研究機関ではなく、
2つ以上の独立した研究機関から、同様の分析結果が出されたと
いう事実により、
それぞれの研究結果が、「お互いにチェックされた」のと、同じ
ことになっています。
なので、
「いちばん最近の10年間が、最も暑い10年だった」という、結論に
たいして、
データの捏造や、不適切なデータ処理などの、「不正行為」が
行われた可能性は、
まず絶対に考えられません。
* * * * *
しかしながら・・・
昨年の暮れごろから、たびたび「寒波」が到来しており、インターネット
のブログや掲示板などをみると、
「地球温暖化なんかウソだ!」
「地球は寒冷化している!」
などと騒いでいる人間が、少なからず居るみたいです。
ところが!
昨年の夏(2009年8月20日)に、NOAA(アメリカ海洋大気局)は、
2009年7月の、世界における平均海面水温が、過去およそ
130年間で最も高い、16.99℃だったと発表しました。
この温度は、それまで最高だった1998年の記録を、0.01℃上回っ
ていたのです。
そんなに海水温が高かったため、2009年は「強力な台風」が発生
しました。
たとえば8月に台湾を襲った、猛烈な「台風8号」は、台湾史上最悪の
死者を出しています。
また10月には、非常に強い「台風18号」が上陸し、日本を縦断しま
した。
ところで、
海水は、空気にくらべて、「4860倍も温まりにくい」という性質が
あります。
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水の比熱は、空気の定積比熱の4860倍。たとえば1リットルの海水
の温度を、1℃上げるのに必要な熱エネルギーで、おなじ1リットルの
空気ならば、4860℃も温度を上げることができる。
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そんなに温まりにくい海水が、過去最高の温度になったのに、
「地球寒冷化」など、起こっている訳がありません!
その上に、
NASA(アメリカ航空宇宙局)と、WMO(国連 世界気象機関)の
研究によって、
「いちばん最近の10年間が、最も暑い10年だった」と、
結論されたのです。
さらには、
過去30年間とか、50年間とか、過去100年間という、
自然による変動を均(なら)した、長期的な気温変化の傾向をみると、
温暖化の傾向が、いぜんとして継続しているのは、完全に明白
です!
以上から、
「地球が寒冷化している」などという主張は、まったくナンセンス
であることが分かります。
日ごろから、私のエッセイを読んで下さる方々は、心配ないと思い
ますが、
「地球寒冷化」などという、正しい分析を無視した、無責任で非科学
的な言論には、
決して惑わされないように、したいものです。
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