では、どうすれば良いのか? 9
                                2009年3月8日 寺岡克哉


 ところで・・・

 巷(ちまた)では、太陽電池による発電コストが、

 いちばん安い方の値でも、1キロワット時あたり46円(46円/kWh)
くらいだと言われています。

 これは、一般的な電気料金(23円/kWh)の2倍です。



 しかしながら・・・

 太陽電池における、発電コストの見積もりには、

 かかった全ての費用にたいして、4%の金利を20年間払い続ける
とか、

 太陽電池の寿命は、「30年でも問題ないだろう」と言われている
のに、寿命を20年で計算しているとか、

 いろいろと「水増し」されていたり、太陽電池にとって「不利な計算」
になっていることが、多々あります。



 そのような事実を知った私は、

 「本当のところ、現状において太陽電池の発電コストは、
具体的にどれくらいなのか?」


 という疑問が、頭から離れなくなりました。



 そこで今回は、いま手持ちの資料で、

 「太陽電池による発電コストを、できるかぎり具体的に
見積もってみたい!」
 
 と思いました。


                  * * * * *


 まず、

 太陽光発電をするためには、太陽電池パネルのほかに、

 パワーコンディショナー (太陽電池が発電するのは「直流」なの
で、それを家庭用の「100V交流」に変える装置)や、

 あと、「取りつけ工事費用」なども必要です。



 さらに、

 ここでは太陽電池の寿命を25年としますが、

 パワーコンディショナーの寿命が長くても15年くらいなので、

 少なくても1回は、それの交換が必要でしょう。



 これらの値段は、私の手持ちの資料によると、次のようになって
いました。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 シャープの4.28kWシステム (税抜き価格)

 太陽電池パネル(ND−153AU) 28枚      1932000円
 パワーコンディショナー(JH-L6A3)          386000円
 ケーブル(ZSUC20) 3組                13200円

 取りつけ工事費用(1kwあたり74000円として)  317000円

 パワーコンディショナー(交換用)           386000円

      合計                       3034200円


(資料)
 SHARP 住宅用太陽光発電システム 総合カタログ2008

(※注意1)
 ケーブルの値段は、4.13kWシステムの全体の値段から、
太陽電池パネルとパワーコンディショナーの値段を差し引いて
求めました。
 (太陽電池パネルや、パワーコンディショナーが同機種なので、
ケーブルの種類や組数は、同じはずです。)

(※注意2)
 取りつけ費用は、2005年に日本で行われた工事の、平均の値
です。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


               * * * * *


 さて、

 上記とまったく同じ、太陽光発電システムにおいて、

 1年間における発電量の予測値は、

 同シャープの資料によると、次のようになっています。


 札幌 4582kWh   仙台 4495kWh   東京 4386kWh
 名古屋 4812kWh  大阪 4587kWh   広島 4981kWh
 福岡 4418kWh   那覇 4773kWh



 これらの発電量は、じつに細かく分析されていて、以下のことが
考慮されています。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による、全国日射
関連データマップの、日射量データ(1961〜1990年の平均)を
使って算出。

 太陽電池の設置条件は、南側に向けて、傾斜角が30度。

 パワーコンディショナーによる損失         7%

 温度上昇による損失 12〜2月          10% 
                3〜5月、9〜11月   15%
                6〜8月          20%

 その他、配線、受光面の汚れなどによる損失   5%
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



 これによると、まずパワーコンディショナーが、

 太陽電池が発電する「直流」の電気を、

 家庭用の「100V交流」へと変えるときに、

 あるていど電力をロスします。



 また太陽電池は、

 温度(気温)が高くなると、発電効率が悪くなって、

 おなじ光の量が当たったとしても、発電する量が落ちます。



 上で挙げた、各都市における発電量の予測値では、

 日射の量だけでなく、それらのことが、しっかりと考慮されている
のです。



 ところで、ちょっと意外に感じたのは、

 北にある札幌の発電量が、そんなに低くないことです。

 これはたぶん、「梅雨がない」からでは、ないでしょうか。

 また、那覇よりも広島の方が、発電量が多いことも、すこし興味深い
と思いました。


             * * * * *


 これで、いよいよ準備が整ったので、

 太陽電池の寿命を25年として、発電コストを見積もってみます。



 そうすると、

 上で挙げた各都市の発電量で、いちばん低い東京では

 3034200/(4386×25)=28円/kWh



 一方、発電量がいちばん高い広島では

 3034200/(4981×25)=24円/kWh

と、なります。



 今回の見積もりにより、たとえ消費税を入れたとしても、

 ちまたで言われている46円/kWhにくらべて、

 「ずいぶん安い!」ことが分かりました。


                * * * * *


 ここで耳寄りな情報ですが、近ごろ政府は、太陽電池の
電力を、

 「1kWhあたり50円弱で、買い取る仕組みをつくる」
と発表しました。

 いまの国会で、そのような新しい法案が通れば、来年にも
実施するそうです。



 20年のローンなどを組まずに、

 太陽光発電システムを「即金で購入」し、

 さらには、(補助金などが、どうなっているか私には分かりません
が)いろいろと工夫をすれば、

 費用の回収のみならず、あるいは利益を得ることさえ、出来るかも
知れません。



      目次へ        トップページへ