では、どうすれば良いのか? 4
2009年2月1日 寺岡克哉
地球温暖化による、「最悪の事態」を避けるためには、
2050年までに、世界が出している温室効果ガスを、
1990年にくらべて、少なくても「半分」に減らさなければ
なりません。
それを実現するための、いちばん有望な方法は、
太陽電池を広げることだと、私は考えています。
なぜなら、太陽エネルギーは莫大(ばくだい)であり、
地球全体の、0.1%の面積に太陽電池を広げれば、
すべての人類が使っているエネルギーを、供給することが出来る
からです。
日本の場合だと、
43900平方キロメートルの面積に、太陽電池を広げれば、
日本で使われている化石燃料のすべてを、太陽電池で賄(まかな)う
ことができます。
そして、これくらいの面積ならば、
太陽電池を設置することも、それを管理することも、
やる気になれば可能です!
では、それを実行するのに、
一体どれくらいの、お金がかかるのでしょう?
日本の経済力で、それが実現可能なのでしょうか?
今回は、そのことについて、考えてみたいと思います。
* * * * *
さて・・・
43900平方キロメートルの面積に、太陽電池を広げようとすれば、
その値段は、一体いくらになるのでしょう?
まず現在において、太陽電池の値段は、
1平方メートルあたり、およそ5万円くらいします。
しかしながら、
来年の2010年にも、「太陽電池の値段を半額にする!」と言っている
メーカーもあります。
そうすると、1平方メートルあたり2万5千円くらいになるでしょう。
また、太陽電池による発電コストの、「将来予測」から判断すれば、
2020年には、さらに半額の、1平方メートルあたり1万2500円くらい
になり、
2030年には、またさらに半額の、1平方メートルあたり6250円くらい
になると考えられます。
* * * * *
ところで、
これから大量に生産されていく「薄膜太陽電池」は、
シリコン半導体の部分、つまり「太陽電池の本体」を作るのに
必要なコストが、とても小さくなりました。
なぜなら薄膜太陽電池は、いままでの太陽電池にくらべて、
シリコン半導体の部分が、「100分の1の厚さ」で良くなった
からです!
つまり、ものすごく高い純度に精製された、「高価なシリコン」を
使う量が、100分の1で良くなったのです!
もはや、薄膜太陽電池では、
シリコン部分の製造コストについて、まったく問題がありません。
むしろ「ガラス基板」を作るのに、製造コストの大部分が、かかっている
ほどです。
なので、
薄膜太陽電池が、どんどん大量生産されるようになったら、
ふつうの窓ガラスよりも、すこし高いくらいの値段で、
製造が可能になるでしょう。(メーカーの方も、そう言っていました。)
そして一方、ふつうの「窓ガラス」の値段は、
厚さが2ミリのもので、1平方メートルあたり5000円くらいです。
このことから考えても、将来的に太陽電池の値段が、
1平方メートルあたり1万円を切るようになるのは、
まず間違いないでしょう。
* * * * *
今から2050年頃まで、
これからどんどん太陽電池を広げて行くにあたり、
その平均の値段が、1平方メートルあたり1万円だとしましょう。
(実際には、未来になるほど、太陽電池の導入量が大きくなるでしょ
う。だから平均の値段は、1平方メートルあたり1万円より、安くなる
可能性もあります。)
そうすると、
43900平方キロメートルの面積に、太陽電池を広げるためには、
439兆円のお金が、かかることになります。
これが、
日本で使われている化石燃料のすべてを、
太陽電池で賄(まかな)うために必要な、お金です。
* * * * *
ところで・・・
日本の経済力で、439兆円のお金を出すことは、可能でしょうか?
439兆円といえば、毎年10兆円ずつ出して、44年間です。
そんな大金を、出し続けることが、ほんとうに出来るでしょうか?
これも、「やる気になれば可能だ!」と、私は考えています。
なぜなら日本のGDPが、年間500兆円もあるからです。
このGDPとは、「国内総生産」と呼ばれるもので、
簡単にいうと、「日本全体が、1年間に稼ぐお金」のことです。
そのGDPの2%を、毎年つぎ込むようにすれば良いのです。
これは、たとえば日本の防衛予算の、およそ2倍ほどになり、
「すごい大金」であることは違いありません。
が、しかし、
日本にとって、決して不可能な金額ではありません!
そしてまた、
太陽電池は、「生み出した電気を売ること」によって、お金を稼ぎ
ます。
だから何(いづ)れ、太陽電池につぎ込まれた費用は、回収され
ます。
つまり太陽電池の値段は、最終的には「タダ」になるのです!
それどころか、
費用を回収した後は、太陽電池の寿命がくるまで、さらに発電を
続けることでしょう。
そして、そもそも、
太陽電池の発電コストが、火力発電よりも安くなれば、
「あえて化石燃料を使わなければならない理由」も、消滅してしまい
ます。
* * * * *
こうなって来ますと、
太陽電池の費用は、何年くらいで回収できるのか?
火力発電にくらべて、発電コストはどうなるのか?
というのが、気になるところです。
次回では、
そのことについて、考えてみたいと思います。
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