では、どうすれば良いのか? 3
                                2009年1月25日 寺岡克哉


 地球温暖化による、「最悪の事態」を避けるためには、

 2050年までに、すべての人類が出している温室効果ガスを、

 1990年にくらべて、少なくても「半分」に減らさなければなりま
せん。



 それを実現するための、

 いちばん有望な方法は、太陽光発電

 つまり、太陽電池を広げることだと、私は考えています。



 なぜなら、

 太陽エネルギーは莫大(ばくだい)であり、

 地球全体の、0.1%の面積に太陽電池を広げれば、

 すべての人類が使っているエネルギーを、供給することが出来る
ほどだからです。



 日本の場合について言えば、

 43900平方キロメートルの面積に、太陽電池を広げれば、

 日本が使用している、「化石燃料のすべて」に相当するエネルギー
が、供給できます。

 ちなみに、この面積は、

 日本の国土全体(378000平方キロメートル)の、11.6%に
あたります。


                * * * * *


 ところで・・・ 

 そんな広い面積を、人間の手で管理することが出来るでしょうか?



 そして、そもそも、

 そんな広い面積に、太陽電池を設置することなど、はたして可能
でしょうか?



 私は、この問題に対して、

 「やる気になれば可能だ!」と、考えています。


 ここでは、その根拠について、お話したいと思います。


                * * * * *


 まず最初は、

 43900平方キロメートルくらいの面積ならば、「人間の手で
管理できる!」


 という根拠についてです。



 それに関しては、

 「日本の農地面積が、46700平方キロメートル(467万ヘクタール)
も存在している」

 という事実が、挙げられます。



 これは、上で示した太陽電池のよりも、広い面積になっています。

 だから、それくらいの面積ならば、「人間の手で管理できること」は、

 まちがいなく可能です。



 しかも太陽電池の管理は、農業よりも手がかかりません。

 たとえば「農業」ならば、田畑を耕し、種をまき、肥料をやり、雑草をとり、
そして収穫作業も、行わなければならないでしょう。

 それにくらべて「太陽電池」は、ほとんど「置きっ放し」にするだけで
良いのです。

 この、「メンテナンスの必要がない!」というのが、太陽電池の
すごく有利なところです。



 たとえば、

 風力発電、地熱発電、水力発電、原子力発電なども、二酸化炭素
を出しませんが、

 しかし、これらはどうしても、「発電機」を回さなければなりません。

 つまり、「機械的に動き続けなければならない部分」が、どうしても
存在します。

 そのため、機械の磨耗(まもう)や故障による、修理や交換・・・

 つまり「メンテナンス」が、どうしても必要になるのです。



 しかし太陽電池は、

 「機械的に動くところ」が、まったくありません!

 なので磨耗することがなく、ほとんど故障もしません。

 だからメンテナンスが、ほとんど必要ないのです。



 ここで誤解を避けるために、お断りしたいのですが、

 私は、「農地をつぶして、太陽電池を設置するべきだ」などと、

 言っているのではありません。

 農業と比べることで、

 これくらいの面積ならば、「人間の手で管理するのは可能である!」

 ということを、証明したかったのです。



 しかしながら、太陽光発電所を運営することは、

 広大な土地をつかって、「太陽の恵み」を収穫するという意味で、

 工場というよりは、むしろ農場に近い感覚(ノリ)になるかも

 知れませんね。


                * * * * *


 つぎに、

 43900平方キロメートルくらいの面積ならば、「太陽電池を広げる
(設置する)ことができる!」


 という根拠についてです。



 これに関しては、

 日本において、「都市的」に使われている土地。

 つまり、道路、宅地、工業用地として使われている面積の合計が、

 49000平方キロメートル(490万ヘクタール)も存在している

 という事実が、挙げられます。



 これも、上で示した太陽電池のより、広い面積になっています。

 つまり「現代の技術力」でも、これくらいの面積ならば、

 「人工物を展開すること」が出来るのです。



 このことから、日本全国における、

 道路整備や、工業地帯の建設や、都市計画に匹敵する規模で
事業を行えば、

 「化石燃料に代わるだけの、太陽電池を設置することは可能だ!」

 と、言うことができます。



 まずは、市街地や工業地帯などの、太陽電池が設置しやすい場所。

 つまり、家や工場の屋根、そしてビルの屋上などから、それを広げて

 行くのが良いでしょう。


 また、広い場所を通っている道路ならば、

 その両脇にズラーッと、まるでガードレールのように

 太陽電池を並べるのも、良いかもしれません。


 あるいは歩道の上に、雨よけや日よけの屋根をつくり、

 そこに太陽電池をつけるのも良いかもしれません。


 また、川の堤防などにも、太陽電池を置くことが出来るでしょう。



 さらには、

 何にも使われていない土地(未利用地)や、

 農業や植林に適さない荒地。

 そして、農業が放棄されてしまった土地などにも、

 太陽電池を広げて行けばよいでしょう。



 ところで・・・ 

 国土のせまい日本に、太陽電池を大々的に広げるのは、

 やはりちょっと・・・

 と、すこし抵抗を感じてしまう人も、いるかも知れませんね。



 それに対しては、

 「海上に太陽電池を広げること」も、考えられます。

 これについては、また後日に、お話したいと思います。


                 * * * * *


 とにかく、上でお話したように、

 化石燃料の代わりとして、太陽電池を普及させることは、

 日本全国における、農地、道路、工場、都市などの整備計画に

 匹敵するような、とても大きな事業になります。



 過去の例を挙げれば、もしかすると、

 太平洋戦争の敗戦から、日本を復興させたときくらいの、

 大規模な事業になるかも知れません。

 それほどの、すごく大きな「国内需要」が見込まれます。



 これほどの大事業になると、最初のうちは、「公共事業」で行わなけれ
ばならないでしょう。

 しかし、この公共事業は、決してムダになりません!

 なぜなら太陽電池は、電気を生み出してくれるからです。

 それだけ、石油を生み出しているのと同じだからです。

 そしていずれ、太陽電池の費用は回収され

 その後は寿命がくるまで、タダで電気を生み出すようになる
でしょう。



 だから、この公共事業は、

 雇用は増えるし、内需は拡大するし、元手は絶対にとれるし、

 ムダな道路や施設をつくるよりは、ずっとましでしょう。


                  * * * * *


 ここまで話してきますと、

 太陽電池の値段はどうなのか?

 それほどの大事業が、公共事業費のていどで、実現可能なのか?

 というような疑問も、起こって来るのではないでしょうか。


 次回では、そのことについて、考えてみたいと思います。



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