このままだと2050年にどうなるか? 1
                              2008年10月19日 寺岡克哉


 地球温暖化による、「すごく危険で大きな被害」を回避するためには、

 世界全体が出している、「二酸化炭素」などの温室効果ガスを、

 2050年までに、半分に減らさなければなりません!




 ところが、いざ、それを本当に実行しようとすれば・・・ 

 私たちの生活を、すごく変えなければなりません。

 つまり今までのような、とても便利な生活が、出来なくなるかも知れないの
です。

 だから、そのことに抵抗を感じる人が、決して少なくないでしょう。



 しかしながら、

 いまの状態を、なにも変えようとしなかったら・・・ 

 もしそうだったら、地球温暖化が、どんどん酷(ひど)くなって行くだけです。

 このまま二酸化炭素を出しつづければ、いくら泣こうが喚(わめ)こう
が、まったく情け容赦なく、どんどん地球温暖化が酷(ひど)くなるだけ
なのです!




 ところで・・・

 二酸化炭素を減らす努力をしなかったら、一体どうなるのでしょう?

 このまま、なにも有効な温暖化対策をとることが出来なければ、2050年
には、どうなってしまうのでしょう?

 2050年といえば、あと42年後です!

 40才よりも若い方ならば、その時になっても、生きている可能性が大きい
でしょう。

 また年配の方々であっても、お子さんや、お孫さんにとっては、もうすでに
直接関係してくる話です。

 なので2050年のことを考えてみれば、地球温暖化の深刻さが、かなり
よく実感できるのではないかと思いました。



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(※おことわり)

 今回のシリーズのエッセイは、2050年にも生きている可能性がいちばん
高く、しかもその頃には、社会的な責任のある立場になっているであろう、
いま現在においては「年少の方」に、とくに読んで頂きたいと思っています。

 なので小学校の高学年ならば、このエッセイから読み始めても、理解でき
ることを目指して、書いてみたいと考えています。

 ずっと私のエッセイを読んで頂いた方には、今までの話と重複するところ
や、冗長に感じる部分があるかも知れませんが、それについては御了承
ください。
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 さて・・・

 このまま人類が、石油や石炭などの「化石燃料」を使いつづけ、

 しかも発展途上国の人々が、先進国なみの生活をするようになれば、

 一体どうなってしまうでしょう?



 「IPCC」という、世界中からたくさんの科学者が集まった組織が、行った
予測によると、

 2100年には、1900年にくらべて、世界の平均気温が4.6℃上昇する
可能性がいちばん高いです。



 ここで、なぜ、1900年の気温と比べるのかと言うと、

 世界中に工場がたくさん作られる前、つまり「人類が二酸化炭素をたくさん
出すようになる前」と比べての、気温上昇の大きさが知りたいからです。

 今からおよそ110年前の1900年ごろ、まだ人類は、あまり二酸化炭素を
出していなかったのです。

 だから、そのとき(1900年)の気温と比べれば、二酸化炭素がおもな原因
で起こると考えられる、気温上昇の大きさが分かるわけです。

 なので今後、このシリーズのエッセイでは、「1900年の気温とくらべた値」
を、「気温上昇の大きさ」とします。




 とにかく、上で話したように、人類がこのまま化石燃料を使い続ければ、
2100年における気温上昇は、4.6℃になる可能性がすごく高いです。

 これを、大ざっぱですが、
 現在(2005年のときで、すでに0.76℃上昇)から
 2100年の4.6℃まで、
 「直線的」に気温が上がって行くと考えてみます。

 そうすると、2050年における気温上昇は、2.6℃になります。

 だから、2.6℃の気温上昇が起こると、一体どうなってしまうのかを調べて
みれば、2050年の世界を想像することが出来るでしょう。


               * * * * *


 ところで、「たった2.6℃の気温上昇なんて、そんな大したことない!」と
思う人も、いるかも知れませんね。

 しかし、サミットなどの世界的な会合で、
 「2050年までに、世界の温室効果ガスの排出量を、半分に減らさなけれ
ばならない!」と、よく言われるのは、気温上昇を2℃以下におさえるため
なのです。

 つまり、気温上昇が2℃よりも大きくなれば、「すごく危険で大きな被害」が
起こってしまうと、判断されているわけです。



 そして、もし気温上昇が2℃で抑えられたとしても、

 最終的には、海面が2〜3メートル上昇し、

 地球の海に棲む、ほとんどのサンゴが白化し、

 洪水や暴風雨による被害が増加し、

 25億人が水不足の危険にさらされ、

 アフリカの多くの国々が、食料不足になるでしょう。



 だから単純に考えても、2.6℃の気温上昇では、かなり大きな被害になる
ことが予想されるのです。

 これから、そのような2.6℃の気温上昇がおこった場合の、「地球温暖化
による影響」について、くわしく見て行きたいと思います。


                * * * * *


 まず最初に、

 「地球温暖化による影響」の、一体どんなことについて見て行くのか、その
大まかなことから、お話して行きましょう。


(1)異常気象
 これは、「激しい豪雨」による洪水が起こったり、「干ばつ」による水不足が
起こったりすることです。


(2)海面上昇
 地球が温暖化すると、海水が熱膨張したり、南極やグリーンランドの氷が
解けたりして、海面が上昇します。


(3)生態系への影響
 これは、陸や海の生き物たちが、どうなってしまうかと言うことです。


(4)農業や漁業への影響
 私たちの、毎日の食べ物が、どうなってしまうかと言う話です。


(5)健康被害
 地球温暖化によって気温が高くなると、熱中症や食中毒が増えたり、
あるいは熱帯地方の病気が北上してくる恐れがあります。


(6)その他
 北極海の「海氷」や、シベリアやアラスカの「永久凍土」への影響について
も、お話したいと思っています。



 次回から、それらの項目について、くわしく見て行きます。



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