異常高温・熱波       2007年6月17日 寺岡克哉


 まだ6月だというのに、ずいぶん暑くなってきました。

 今年の夏も、暑くなりそうですね。

 当然のことですが、地球温暖化が進むと、気温が上昇します!

 とくに夏場では、「異常高温」や「熱波の襲来」が、とても深刻な問題となり
ます。
 そして、たくさんの人々に、「熱中症」などの健康被害をもたらす恐れがあり
ます。

 ここでは、そのような異常高温の現状と、その影響について見て行きたい
と思います。


                 * * * * *


 ところで・・・ 「世界の平均気温」は、ここ100年のあいだに、0.74度
上昇しました!


 そしてすでに、世界のあちらこちらで、「異常高温」による影響が出はじめ
ています。
 (ここで言う「異常高温」とは、普通なら30年に1回ていどしか現れないほど
の、異常な高温のことです。)

 とくに2003年のヨーロッパでは、熱波の襲来により、52000人以上
の死者が出た
とも言われています。

 しかし実は、ヨーロッパにおける「異常高温」の出現する頻度が、1980年
以降から急激に上がり始めていたのでした。

 そして、すでに西暦2000年の時点において、1980年に現れた異常高温
の出現数の、およそ4倍近くにまで跳ね上がっていたのです。

 だから、2003年のヨーロッパでの悲劇は、「起こるべくして起こった!」
と言っても過言ではないでしょう。


                 * * * * *


 日本では、ここ100年のあいだに、平均気温が1度上昇しました!

 これは、世界の平均気温の上昇よりも、大きな値になっています。つまり
日本は、世界の平均よりも激しく温暖化しているのです。

 とくに都市部では、「ヒートアイランド」の効果も加わり、東京ではおよそ
2.9度も上昇しています!
 (ヒートアイランドとは、都市化によって緑が少なくなり、さらに建物などが
密集することにより、熱がこもって気温の上がる現象をいいます。)

 また、日本では2004年の猛暑により、12ヶ所の観測地点で、真夏日の
日数が記録更新されました。
 その中で、東京、大阪、名古屋などの大都市では、たしかに「ヒートアイラ
ンド」の効果もあります。
 しかし、つくば市のように緑の豊かな場所(つまりヒートアイランドの起こり
にくい場所)でも、真夏日が60日も出現していたのです。
 このことから、それはヒートアイランドだけでなく、「地球温暖化の影響」も
間違いなく存在すると考えられています。

 ところで、日本における「異常高温」の出現数は、1970年代から急激に
上がり始めました。そして西暦2000年までに、やはり4倍ていど増加して
います。
 この分析に使ったデータは、都市化などによる環境変化の少ない場所を
選んで観測したものです。
 だから「ヒートアイランド」の影響は小さいと考えられ、それは地球温暖化の
影響によると考えて差し支えないでしょう。


                 * * * * *


 異常高温になったり、熱波が来たりすると、いわゆる「熱中症」にかかる
人が多くなります。

 熱中症とは、体が高温にさらされたために、脱水、疲労、痙攣、めまい、
嘔吐、失神などの症状がおこり、最悪の場合には死んでしまうこともある、
たいへん恐ろしい病気です。

 このような「熱中症」の患者は、平均気温で25度、最高気温で30度ぐらい
になると出はじめます。
 そして平均気温が30度、最高気温が35度をこえると、「熱中症」に
かかる人が急激に増加します!


 また、ある研究によると、1日の最高気温が30度をこえる「真夏日」には、
短時間であるけれども、最高では50度をこえる温度にさらされることもある
としています。
 なので、そのことは心に留めておいて、とくに「幼児」や「お年寄り」の方に
対しては、十分に用心した方が良いと思います。

 これから将来、比較的涼しかった東北や北海道でも、熱中症の患者がたく
さん出るようになるかも知れません。
 今まで涼しいところに住んでいた人々には、まったく未経験のことが起こる
わけです。だからそれに備えて、「熱中症」にたいする情報を前もって入手し
ておくべきでしょう。
 熱中症は「自覚」がとぼしく、自分では大丈夫だと思っても、「ちょっと体が
おかしいかな?」と感じたときには、すでに熱中症にかかっていることもある
そうです。

 2003年の熱波により、ヨーロッパで52000人以上もの死者が出たのは、
熱中症にたいする知識と経験の不足していたことが、その原因の一つでは
ないかという気がします。


                  * * * * *


 ところで・・・

 東京、大阪、名古屋などの大都市では、「ヒートアイランド」の効果も加わり、
「熱波」が襲来すると大変な暑さになることでしょう。

 現に、東京の平均気温は、すでに2.9度も上昇しているのです!

 その上さらに、「熱波」が襲来したら、一体どうなることでしょう?

 それについて私は、とても心配していることがあります。

 というのは、もしも大都市に熱波が襲来するときに限って、エアコンなどの
電力需要が劇的に増え、発電所が麻痺し、大停電になったとしたらどうなる
でしょう?

 たぶん40度近くか、それ以上の温度の中でエアコンが使えなくなり、数日
にして何千人もの死者がでるのではないでしょうか?

 私は、それが心配でなりません!

 もしも、「いくら地球が温暖化したって、冷房があるから大丈夫!」などと
高をくくっているとすれば、いつか酷い目に遭うような気がしてならないの
です。



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