バイオマスについて 2 2006年6月18日 寺岡克哉
前回は、バイオマスの全体像について、ざっと見てきました。
そして日本では、毎日「大量のゴミ」が捨てられるので、「廃棄物系のバイオマス」
に、大きな意味と、高い価値があることをお話しました。
今回は、この「廃棄バイオマス」について、もう少し詳しく見ていきたいと思い
ます。
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廃棄バイオマスを、さらに詳しく調べてみると、
(1)農業廃棄物
(2)畜産廃棄物
(3)林業・林産廃棄物
(4)食品産業廃棄物
(5)都市ゴミ
(6)下水の汚泥
などに分かれていました。以下、それぞれについて説明して行きましょう。
(1)農業廃棄物
日本は「米」を多く作っていますから、農業廃棄物の84パーセントを占めるのが、
「稲わら」と「もみ殻」です。
日本全体で1年間に、「稲わら」は910万トン、「もみ殻」は230万トンぐらい出て
います。
このエネルギーを石油に換算すると、稲わらは280万トンの石油、もみ殻は60万
トンの石油に相当します。
しかしながら、ここで一つ注意があります。
たとえば、910万トンの「稲わら」のうち、360万トンは家畜の飼料や、堆肥の原料
などに使われています。だから全ての稲わらを、エネルギー源として使える訳では
ありません。
しかし、ここでは話を簡単にするために、すべての廃棄物のエネルギーを石油に
換算した量を、ひとつの目安として示すことにします。
そしてこれは、以下にお話していく各項目についても、まったく同じです。
(2)畜産廃棄物
これは、ウシ、ブタ、ニワトリなどの、糞や尿のことです。
家畜の糞尿は、日本全体で1年間に、9200万トンぐらい出ます。
このエネルギーを石油に換算すると、440万トンの石油に相当します。
(3)林業・林産廃棄物
これには、次のものがあります。
林地残材(切り倒した木を、現地で丸太にするのに払われる、枝や葉など。)
間伐材(木が生長するにつれて、「間引き」されて切られて行くもの。)
製材残材(木材工場からでる、切れ端や、おがくず。)
建築廃材(建築現場からでる廃材や、取り壊した建築物からでる廃材。)
古紙
黒液(製紙工場からでる廃液で、燃やすことができる。製紙工場では、これを燃料
として再利用しています。
これらのエネルギーを石油に換算すると、以下のようになります。
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廃材の種類 石油に換算した量
林地残材 80万トン
間伐材 130万トン
製材残材 290万トン
建築廃材 260万トン
古紙 760万トン
黒液 500万トン
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(4)食品産業廃棄物
これは、食品を加工するときに出る廃棄物で、主に次のようなものがあります。
ウシ、ブタ、ニワトリなどを屠殺解体するときに出る、食べられない部分。
魚介類の内臓。
精米工場からでる「米ぬか」。
豆腐をつくる工場からでる「おから」。
トウモロコシや大豆などの、植物油のしぼりかす。
果汁のしぼりかす。
ビールかす。
また上記のほかに、流通の過程で売れ残ったり、痛んだり、賞味期限が切れたり
して出る廃棄物もあります。
日本では、このような食品産業廃棄物が、毎年3400万トンにも達しています。
それらのエネルギーを石油に換算すると、610万トンの石油に相当します。
(5)都市ゴミ
申し訳ありませんが、これは次回にお話したいと思います。
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