各国のCO2排出 2006年4月30日 寺岡克哉
ここでは、いろいろな国についての、二酸化炭素の排出をみて行きたいと思い
ます。
そして、もしも発展途上国が、先進国なみに二酸化炭素を出すようになったら、
どうなるのかについて考えてみたいと思います。
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それではさっそく、それぞれの国の、二酸化炭素の排出を見てみましょう。
すると、以下の表のようになります。
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国 二酸化炭素排出の全体に対する割合
アメリカ 22パーセント
中国 14パーセント
ロシア 7パーセント
日本 5パーセント
インド 4パーセント
ドイツ 4パーセント
その他 44パーセント
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この表によると、二酸化炭素をいちばん出している国はアメリカで、二番目は
中国です。そして日本は、4番目ぐらいに位置しています。
しかし上の表は、人々の実生活というか、「人類の実情」を正しく表しているとは
言えません。
なぜなら、たとえばアメリカや日本にくらべて、中国やインドは、とても人口の
多い国だからです。
中国やインドは、アメリカや日本のような「豊かな生活」をしているために、二酸化
炭素を多く出しているのではありません。中国やインドの人々は「質素な生活」を
しているにもかかわらず、人口が多いために、国として見たときの二酸化炭素の
排出が多くなっているのです。
だから中国やインドの場合は、アメリカや日本と同じように考えてはいけません。
たとえばアメリカや日本は、エネルギーを大量に消費する「ぜいたくな生活」を改め
れば、二酸化炭素を少なくすることができます。
しかし中国やインドは、そういう訳には行かないのです。それを表しているのが、
つぎの表です。
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下の表は、1996年における、人間「1人当たり」の二酸化炭素の排出です。
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国 1人当たりの二酸化炭素排出
アメリカ 19.7トン
オーストラリア 17.0トン
カナダ 13.8トン
ロシア 10.7トン
ドイツ 10.5トン
イギリス 9.5トン
日本 9.3トン
イタリア 7.0トン
フランス 6.2トン
中国 2.8トン
インド 1.1トン
ネパール 0.1トン
西側先進国平均 12.5トン
発展途上国平均 2.0トン
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たしかに国として見れば、中国はアメリカについで、2番目に二酸化炭素を多く
出しています。
しかし、「1人当たり」の二酸化炭素の量でみると、中国はアメリカのたった7分
の1なのです。日本とくらべても3分の1です。
さらにインドの場合は、アメリカの18分の1、日本の8分の1です。
ところで上の表をみると、アメリカ人が、いかに二酸化炭素をたくさん出している
のか改めて分かります。
アメリカ人は、日本やヨーロッパ人の、2倍の二酸化炭素を出しています。さらに
は発展途上国の人々の、およそ10倍もの二酸化炭素を出しているのです。
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ところで・・・ 下の表をみてください。
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全人口に対する割合 1人当たりの二酸化炭素排出
西側先進国 13パーセント 12.5トン
発展途上国 87パーセント 2.0トン
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先進国に住んでいる人々は、人類全体の13パーセントにすぎません。あとの
大部分の87パーセントは、発展途上国に住む人々です。
そして発展途上国の人々は、先進国なみの豊かな暮らしを目ざして、一生懸命
になっています。
しかしながら、もしも発展途上国の人々が、先進国なみの生活をすると一体どう
なるでしょう?
その答えは、全人口の87パーセントの人間が、いままでの6倍の二酸化炭素を
出すようになります。そして人類全体では、いままでの3.7倍の排出量になるの
です。
そしてもしも、いまの3.7倍のスピードで二酸化炭素が増えて行ったとしたら、
前回のエッセイによる計算の、340年で2000ppmになるところが、たった92年
で2000ppmになってしまうのです。
しかし発展途上国の人々は、人間の当然の権利として、先進国なみの生活を
めざすでしょう。そしてそのために、一生懸命に働こうとするでしょう。それを、先進
国のエゴで押さえつける訳にもいきません。
この問題を解決するためには、二酸化炭素の出ない「新エネルギー」を開発する
しか、ほかに方法がないのではないかと私は考えています。
もちろん「省エネ」や「植林」も、とても大切です。しかし、いちばん根本的な解決
は、新エネルギーの開発しかないと思うのです。なぜなら、もしも新エネルギーが
開発できなかったら、悪いと知りつつも、人類は二酸化炭素を出しつづけると思う
からです。
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ところで、地球資源としての「石油の量」には限界があり、二酸化炭素が2000
ppmになる前に、石油が枯渇してしまうと考える人も、いるのではないでしょうか?
次回は、そのことについて考えてみたいと思います。
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