なぜ地球温暖化は悪いのか  
                                    2006年4月2日 寺岡克哉


 今、地球の温暖化が進んでいます。

 最新の研究では、このまま何も手を打たなければ、あと100年で地球の平均
気温が4度ぐらい上昇
しそうです。

 しかしこのように言っても、「たった4度の上昇ぐらい、大したことないじゃな
いか!」
と、思う人が多いかも知れません。
 なぜなら、冬の寒い日と、夏の暑い日をくらべると、気温が30度ぐらい上昇して
いるからです。あるいは同じ1日の間でも、早朝と真昼とでは、気温が10度ぐらい
上昇することがあるからです。
 だから多くの人の実感として、「4度ぐらいの気温上昇なんか大したことない!」と
思ってしまうのが、正直な所ではないでしょうか。

 それで今回は、地球の平均気温が4度上昇すると、どうなるのかについてお話
したいと思いました。

                 * * * * *

 そもそも地球の温暖化は、なにが悪いと言うのでしょう?
 地球が温暖化すれば、一体どうなってしまうのでしょう?

 たとえば専門家の間では、地球の平均気温が4度も上昇したら、
 「海水面が上昇して、多くの土地が海に沈んでしまう!」とか、
 「巨大な台風がたくさん発生して、大きな被害がでる!」
と、いうようなことが心配されています。
 また、
 「集中豪雨がおこって洪水に襲われる!」とか、
 「乾燥化が進んで砂漠が広がる!」
という心配もされています。

 ところで、「洪水」と「砂漠化」の両方が起こるというのは、話が矛盾しているよう
に感じるかも知れません。少なくとも私は、最初そのように感じていました。しかし
それは、次のようなことみたいです。
 まず気温が上昇すると、「海水の蒸発」が多くなるので、雨の量が多くなります。
だから島や沿岸部では、大雨が降るようになります。
 ところが一方、大陸の中央部では、気温の上昇によって「土地の水分」が蒸発
してしまいます。だから、どんどん乾燥化が進んで、砂漠が広がって行くのです。

 また、その他に心配されていることとして、気候が大きく変わると「農業」が
ダメージを受け、「世界的な食糧危機が起こる!」
というのがあります。

 たった4度でも、地球の「平均気温が上昇」すれば、こんなことが起こってしまう
のです。つまり、冬から夏への「一時的な気温上昇」とは、質的にまったく異なる
ということです。

 それは例えば、
 もしも一年中「真冬」だったら、農作物など一つもできないでしょう。そして、人類の
ほとんどが「餓死」してしまいます。これは、地球の平均気温が10度ぐらい低下する
のに相当します。
 そして、もしも一年中「真夏」だったら、日本といえども「灼熱の砂漠」になってしま
うでしょう。なぜなら、真夏の晴天がたった1ヶ月ぐらい続いただけで、ダムの水が
干上がって「渇水」になるほどだからです。それが一年中つづき、しかも何千年も
つづくならば、大変なことになるのは明らかです。これは、地球の平均気温が10度
ぐらい上昇するのに相当します。

 このように、もし平均気温が10度も変化したら、いまの地球はまちがいなく
「壊滅」します。だから、たった4度の気温上昇といえども、たいへんな被害の
出ることが十分に予想できるのです。


                  * * * * *

 このように見てくると、私はやはり、「地球の生態系」のことが、とても心配に
なってきます。


 平均気温が4度上昇すると、たとえば北海道の札幌が、ちょうど仙台ぐらいまで
南下したのと同じになります。そうなってしまうと、北海道が、北海道でなくなってし
まいます。私は札幌に住んでいるのですが、そのことが肌で実感できます。
 つまり、北海道に存在しているのに、仙台に存在しないような動物や植物は、
すべて居なくなってしまうのです。

 たとえば・・・
 エゾ松やトド松などの、北方系の森林は壊滅してしまうでしょう。
 タンチョウも来なくなるでしょう。
 大雪山のナキウサギは、絶滅してしまうでしょう。
 サケも、居なくなってしまうでしょう。

 また、世界遺産の「知床」も、知床でなくなってしまいます。
 オホーツク海の流氷は、なくなってしまうでしょう。
 オオワシやオジロワシは、来なくなるでしょう。
 シマフクロウは絶滅してしまうでしょう。
 本州には生息しない、ヒグマ、エゾシカ、エゾリスなども、どうなるのか全く分かり
ません。

 このように、北海道にしか存在しないような動物や植物は、すべて悪影響を受け
てしまうでしょう。
 そしてさらに、北海道だけでなく、このような「生態系の劇的な変化」は世界中
で起こるのです!


 地球温暖化の、生態系に対するさまざまな影響については、これから追々に
お話して行きたいと思います。



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