地球の温暖化         2006年3月19日  寺岡克哉


 現在、6回目の大絶滅が、今まさに進行しています。
 とてもたくさんの生き物が、ものすごいスピードで絶滅に向かっています。
 そしてそれは、「人間の活動」が主な原因になっています。

 この大量絶滅に、さらに拍車をかけているのが「地球の温暖化」です。そして
これも、「人間の活動」が主な原因になっているのです。

 これからしばらくは、この「地球温暖化」について、いろいろと考えて行きたいと
思っています。
 その最初として、今回は「温室効果」の基本的なことについて、お話したいと思い
ます。

                 * * * * *

 地球の温暖化は、大気中に含まれている「温室効果ガス」というのが、増える
ことによって起こります。
 この「温室効果ガス」には、じつに様々なものがあります。しかし、とくに悪名高い
のは「二酸化炭素」ではないでしょうか。そして、今いちばん問題になっているのも
これです。

 ところで・・・ 地球は、「太陽の光」を受けて温められています。しかしその一方
で、暖められた「地表の熱」を宇宙に放出し、地球は冷えています。
 この、「暖められる量」と「冷える量」がうまくつりあって、地球の気温は一定に保た
れているわけです。

 一方「温室効果ガス」は、「太陽の光」をよく通すけれど、その光で暖められた
「地表の熱」は、通しにくい性質があります。
 だから温室効果ガスが増えると、「冷える量」よりも「暖められる量」の方が大きく
なり、地表の温度が上がるわけです。

 しかし、つねに「冷える量」よりも「暖められる量」の方が大きかったら、地球の
温度はどんどん無限に高くなってしまいます。
 (正確には「無限」でなく、太陽とおなじ6000度まで高くなります。しかしそれ以上
の温度にならないのは、そもそも太陽自身が、自分の温度以上にほかの物質を
暖めることが出来ないからです。)

 ところが幸いにして、そのような悲惨なことにはなりません。というのは、「熱い
ものほど、熱をたくさん放出してよく冷える」
という性質があるからです。
 (正確には、絶対温度の4乗に比例して、熱の放出量が大きくなります。)

 だから、「地表の温度」がだんだん高くなると、「熱の放出量」もだんだん大きく
なります。そして、いくら「温室効果ガス」が熱の放出をじゃましても、さらにそれを
乗り越えて、熱をどんどん宇宙に放出するようになるのです。

 しかしやはり、「太陽によって温められる熱の量」以上に、地球から熱を放出
することは出来ません。だからそこで、「つりあう」ことになります。
 (もちろん、もしも太陽によって温められる熱がなかったら(太陽がなくなった
ら)、地球は熱をどんどん宇宙に放出して、絶対0度まで冷えてしまいます。)

 つまり宇宙から地球をながめると、太陽から受ける熱と、地球が宇宙に
放出する熱が、「常につりあっている」のです。
 温室効果ガスが増えると、その「つりあい」を保とうとして、地表の温度が
上がるわけです。


 以上が、「温室効果」の基本的な考え方です。

               * * * * *

 ところで、この「温室効果ガス」は、実はとても大切なものです。

 というのは、いまの地球の平均気温は15度ぐらいですが、もしも温室効果ガスが
なかったら、地球の温度が−18度ぐらいになってしまうからです。
 つまり、地表から放出する熱を「じゃまするもの」が何もなかったら、こんなに低い
温度で、「太陽から受ける熱」と「地球が放出する熱」がつりあってしまうのです。

 たとえば過去に起こった、いちばん厳しい「氷河期」のときでも、地球の平均気温
は5度ぐらいでした。そのていどで「大陸氷河」が発達し、多くの土地が「雪と氷の
世界」になってしまうのです。

 もしも地球の平均気温が−18度になったら、たとえ赤道直下といえども、一年中
氷点下の気温になってしまいます。そして地球全体が、雪と氷に覆われてしまうで
しょう。
 そのような地球環境では、ほとんどの生物が生きられません。せいぜい、火山や
温泉などの「地熱」のあるところで、ごく少数の生き物がひっそりと生きながらえる
だけでしょう。

 このように「温室効果」は、とても大切なものです。
 ところが、「温室効果ガス」が増えすぎても、大変な問題が起こるのです!

 次回は、この「温室効果ガス」について、すこしお話したいと思います。



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