優しさと安らぎ        2005年10月30日 寺岡克哉


 現代社会では、学校や会社、家庭や人間関係のトラブルなど、殺伐とした緊張や
ストレスにいつも囲まれています。
 そのために「心」が疲れ果てて、生きることが苦しくなったり、生きることが辛く感じ
ている人が多いのではないでしょうか?

 その中でもとくに重症の人は、
 「生きることに疲れた!」
 「もう生きていたくない!」
 「早く死んで楽になりたい!」
 というところまで、追い詰められているのではないでしょうか?

 私は、このような事態まで追い込まれてしまうのは、心が「疲れすぎている」から
だと思うのです。
 だから、そこまで追い詰められる前に、1日に30分でも1時間でも良いから、
「心を休める時間」というのを持てば良いのではないかと、つねづね思っています。
 つまり、静かに一人だけになれる場所を確保し、心を完全に休めることのできる
「優しさと安らぎの時間」というのを、毎日もつようにするのです。

 たとえば、
 絶対に自分を責めないようにし、自分を赦し、自分に優しく、自分を労わる
時間・・・
 仕事も、家庭も、人間関係も、まったく気にしなくて良い時間・・・
 自分の心を、完全に解放できる時間・・・
 静かに、「自己の存在」(本当の自分)を確認する時間・・・

 そのような時間を、毎日もつように心がけるのです。

                * * * * *

 しかしながら・・・
 自分を責めないようにし、自分を赦すのは、とても難しいのではないでしょうか。
 また、仕事や人間関係をまったく気にしないようにするというのも、とても難しい
でしょう。

 しかしそれは、普通の人間には当然のことです。それらを「自分一人だけの力」
で行うのは至難の業なのです。禅や瞑想などの特別な修業でも積まないかぎり、
なかなか出来るものではないでしょう。
 しかしだからと言って、「他人(人間)の力」にそれを委ねるわけにも行きません。
そのような、「全てを頼りきれる人間」などこの世にいないからこそ、生きることが
辛く感じるのです。

 それで、「大いなるもの」の存在が必要になってくるのです。

 「大いなるもの」とは、私たちを存在させ、私たちを生かしている「根源的なもの」
です。
 素粒子から宇宙、そして生命や人間を含めた「この世のすべて」を存在させ、
それらの作用や働きを司っている、「この世の根本原理」です。
 (この「大いなるもの」については、エッセイ192も参照してください。)

 私たちは、「大いなるもの」によって存在させられ、生かされています。だから
「生きて存在すること」ができるのです。
 もしも「大いなるもの」によって存在させられ、生かされていなければ、私たちは
「生きて存在すること」が絶対にできません。
 なぜなら「大いなるもの」の働きがなかったら、この宇宙も、素粒子や原子も、
太陽や地球も、生命や人類も存在し得ないからです。そうなってしまっては、私たち
が「生きて存在すること」など、絶対にあり得ないことが分かるでしょう。

 このように私たちは、「大いなるもの」によって存在を認められ、生きることが赦さ
れています。だから「生きて存在すること」ができるのです。
 また逆に、私たちが「生きて存在すること」がまさに、私たちの存在が認められ、
生きることが赦されている、絶対的な証拠なのです。

 「大いなるもの」は、私たちを存在させ、生かしています。
 だから「大いなるもの」は、私たちが生きて存在することを「望んで」います。
 つまり「大いなるもの」は、私たちの存在を肯定しているのです。

 このように私たち(の存在)は、大いなるものに抱かれ、守られています。
 それはまるで、とても大きな手のひらに包まれているように、あるいは母親の子宮
のなかで優しく守られている胎児のようにです。
 だからこそ、私たちは「生きて存在すること」ができるのです。

                * * * * *

 根源的で絶対的な、優しさと安らぎを得ること。
 心と体の力をすべて抜ききり、まったく安心した状態でいること。
 身も心もすべてをまかせ、完全にリラックスすること。

 そのようなことは、自分一人だけの力では、なかなか出来ません。
 しかし「大いなるもの」の力を借り、それに頼り、身も心もすべてを「大いなるもの」
委ねれば、まったく安心して自己を解放し、心を休ませることが出来るのです。

 なにも心配する必要はありません。
 心と体の力をぬき、まったく安心して、すべてを任せきれば良いのです。
 1日に30分や1時間ぐらいは、そのような時間を持っても、なにも実生活に支障は
ありません。むしろ心が毎日リフレッシュされて、人生に対して有益に作用すること
でしょう。



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