宇宙の原理 2004年8月22日 寺岡克哉
前回は、お金を命より重んじてはならないことをお話しました。
しかしながら、お金が無いとたいへんな不安と恐怖に襲われるのも、否定できない
事実です。ほとんどの人が、お金がないと不安で不安でたまらないのではないでしょ
うか。正直を言えば私もそうです。
「金がなければ、食べ物も買えないではないか!」
「食うためには金が必要だ!」
「だから、金が無ければ生きて行ける訳がないのだ!」
と言われてしまうと、心情的にはそのように感じてしまいます。
そしてまた、失業などをして金がなくなって来ると、
「金の稼げないものは、人間の落ちこぼれだ!」とか、
「金の無い人間は、生きる資格なし!」
という目で、世間から見られてしまうのではないかと言うような、不安や恐怖もあり
ます。
しかし今の日本に住んでいれば、たとえ「ホームレス」になったとしても、飢餓で苦し
んでいる国の人々に比べたらとても裕福なのです。
そしてもしも、金の無い人間は生きる資格がないのならば、貧しい国々に住む大
部分の人々がそうなってしまいます。しかし、そんなことは絶対にありませんし、あっ
てはならないことです。
それらのことに思いが及ぶとき、金がないことへの耐え難い不安や恐怖は、やは
り「社会的な洗脳」によって植えつけられた不安や恐怖のように思えるのです。
* * * * *
この不安や恐怖にうち勝つためには、どうすれば良いのでしょうか?
どうすれば金の呪縛から解放され、「絶対的な安心」を得ることが出来るの
でしょうか?
私は、お金のあるなしに左右されない「絶対的な価値」というか、「絶対的なもの」
を信頼し、それに身を委ねるしか他に方法がないように思うのです。
「絶対的な安心」を得るためには、「絶対的なもの」がどうしても必要なのです。
この「絶対的なもの」とは、一体どんなものでしょうか?
それは、大昔から多くの人々によって追求されてきた、「神」とか「真理」とか言わ
れているものです。
それは例えば、
仏教の「空」。
老荘思想の「道」。
論語の「天」。
キリスト教の「神」。
などのようなものです。
ところで、これらの一つ一つを細かく議論すれば、いくら時間があっても足りませ
ん。そして私にも、そんな能力はありません。たぶん、これらのどれ一つを取っても、
世界中に何百種類もの著作があるのではないでしょうか。
しかし、浅学ながらも私なりに理解したところでは、これらが共通して言い表そうと
しているのは、「宇宙の全てを支配する根本法則」だと思います。
それを私は、「宇宙の原理」と呼びたいと思います。
「宇宙の原理」とは、
宇宙に存在する全てのものを、「いま在る状態」にしている根本法則です。
「存在する」ということへの根本法則です。
この宇宙に、空間を存在させ、時間を存在させ、エネルギーを存在させ、物質を
存在させ、生命を存在させ、意識や情報を存在させる根本法則です
「原因」と「結果」の因果関係を支配する根本法則です。
「必然」と「偶然」を支配する根本法則です。(この宇宙に必然と偶然が存在するの
も、「宇宙の原理」によるものです。)
この「宇宙の原理」によって、「私」というものが存在させられているから、今
ここに私は生きて存在できるのです。
私が今ここに生きて存在できるのは、決して「お金があるから」ではありませ
ん。
そのことを心の底から認めれば、お金が無いことによる不安や恐怖から解放
されるのです。
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