神の御業 27
                                 2026年2月8日 寺岡克哉


27章 科学の進歩 4
 前章では、19世紀における科学の進歩について見てきました。
 この章は、その続きになります。

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 さて20世紀になると、この世紀最大の科学者といわれたアルバート・アインシュタイ
ン(1879年~1955年)が、まず1905年に特殊相対性理論、そして1915年に一般
相対性理論を発表しました。
 つまり特殊相対性理論では、あの有名な「エネルギー=質量×光速の2乗」という関係
を示し、また一般相対性理論では、重力というのが空間と時間の歪(ゆが)みによって引
き起こされると説明したのです。これら2つの相対性理論は、その後における素粒子や宇
宙の研究分野で大きく貢献して行くことになります。

 また20世紀は、量子力学がものすごく進歩した時代でもありました。
 この量子力学は、まず1900年にマックス・プランク(1858年~1947年)が量子仮
説を提唱したことに始まり、1925年にヴェルナー・ハイゼンベルク(1901年~1976
年)が理論の基礎を確立し、その後数年をかけてエルヴィン・シュレーディンガー(1887
年~1961年)やポール・ディラック(1902年~1984年)らが、物理理論としてほぼ完成
させたと言われています。
 その後、量子力学はさまざまなものに応用され、パソコン、スマホ、レーザー、半導体
などの製品から、量子コンピュータや量子暗号通信といった次世代技術まで、現代の多く
の科学技術の基礎となって行きました。

 さらに20世紀は、原子が原子核と電子からできており、原子核は陽子と中性子からで
きているという、現代の原子模型が確立した時代でもありました。
 まず1911年にアーネスト・ラザフォード(1871年~1937年)は、彼が行った実験
に結果に基づいて、原子の中心にはプラスの電気をもつ「原子核」が存在し、その周囲を
マイナスの電気をもつ「電子」が回っているとする原子模型を発表しました。
 そして1919年には、同じくラザフォードが「陽子」を発見し、1932年にはジェー
ムズ・チャドウィック(1891年~1974年)が「中性子」を発見しました。これらの業績
によって、現代の原子模型が確立されたのです。

 その後1964年になると、マレー・ゲルマン(1929年~2019年)らが、陽子や中性
子といった粒子さえも、さらに小さな「クォーク」と呼ばれる粒子で構成されているとい
う模型(クォーク模型)を提唱しました。
 そして1969年には、スタンフォード線形加速器センターで行われた実験により、陽
子の内部に点状の粒子(クォーク)が存在する実験的な証拠が初めて検出されたのです。


 ところで20世紀はまた、「宇宙論」が進歩した時代でもありました。
 つまり宇宙は、およそ138億年前に、超高温で超高密度な火の玉の大爆発(ビッグバ
ン)により誕生したとする理論(ビッグバン理論)が提唱され、支持されるようになった
のです。
 このビッグバン理論は、1948年にジョージ・ガモフ(1904年~1968年)らによっ
て提唱されました。その後、1964年に「宇宙マイクロ波背景放射」が発見されたこと
により、この理論が広く支持されるようになりました。
 この「宇宙マイクロ波背景放射」というのは、宇宙全体に分布している、波長が1ミリ
程度の電波(光の一種)のことです。そしてそれは、138億年前に宇宙が高温だった時
代の「名残(なご)りの光」であり、過去にビッグバンが起こった証拠だとされているの
です。

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 ところで一方、20世紀は「化学肥料」と「抗生物質」の発明により、世界的に人類の
生活水準が向上した時代でもありました。

 前者の「化学肥料」は、フリッツ・ハーバー(1868年~1934年)とカール・ボッシュ
(1874年〜1940年)の働きによって大量生産が可能になり(ハーバー・ボッシュ法)、
世界的に食料の生産が急増して、20世紀以降の人口増加に対する食糧供給を支えて行く
ことになりました。

 また後者の「抗生物質」は、1928年にアレクサンダー・フレミング(1881年〜19
55年)によって「ペニシリン」が発見され、その後1940年代に実用化と大量生産が
可能となったのです。

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 さらに20世紀は、航空・宇宙の分野でも飛躍的な進歩が起こりました。

 まず航空の分野では、1903年にライト兄弟(兄ウィルバー1867年~1912年、弟オー
ヴィル1871年~1948年)が、はじめてエンジン付きの飛行機で空を飛ぶことに成功しま
した。
 その後、飛行機は高性能・大型化し、1939年にはジェット機の初飛行が成功して、
現在ではジェット旅客機が世界中を飛び回っています。

 一方、宇宙の分野ではロケットの研究開発が進み、1957年には世界初の人工衛星が
打ち上げられました。
 その4年後の1961年には、ユーリ・ガガーリン(1934年~1968年)が人類で初め
て宇宙に到達し、その8年後の1969年には、ニール・アームストロング(1930年~
2012年)らが人類史上初の有人月面着陸に成功し、月面から多数のサンプル(月の石)を
地球に持ち帰りました。
 このように、1957年から1969年までの間の宇宙開発は、すさまじい勢いで進ん
だのでした。

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 ところで20世紀の後半になると、半導体の集積回路(IC)が進歩し、コンピューター
技術が発展するようになります。

 さらには、通信技術の進歩によって情報産業に革新(かくしん)をもたらし、グローバ
ルなインターネットを含む「モバイルコンピューティング」、つまりスマートフォンやタブ
レット、ノートパソコンなどの携帯端末を使って、いつでもどこでも情報処理や通信を行
うことが可能になりました。

 そしてまた、「スーパーコンピューター」の進歩によって、長く絡(から)み合った因
果関係の連鎖と大量のデータを体系化することが可能となり、「コンピューターシミュレー
ション」の分野が大いに発展しました。

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 以上、ここまで述べてきましたように、20世紀は科学が飛躍的に進歩した時代でした。
 しかしながら科学の進歩には、戦争の激化や環境破壊など負の側面もあったのです。
 それについては次の章で述べたいと思います。



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