神の御業 26
                                 2026年2月1日 寺岡克哉


26章 科学の進歩 3
 前章では、6世紀から18世紀までの科学の進歩について見てきました。この章は、そ
の続きになります。

 さて、その後19世紀になると、現代の科学を特徴づける多くの要素が形作られました。
 つまり「生物学者」や「物理学者」や「科学者」などの用語が登場し、自然を研究する
人の専門化が進んだのです。
 また、科学者における文化的な権威が増して、さまざまな国の産業化も進み、科学雑誌
なども登場しました。

              * * * * *

 まず第一に19世紀は、「電磁気学」が大いに進歩した時代でした。

 ハンス・エルステッド(1777年~1851年)、アンドレ・マリー・アンペール(1776年
~1856)、マイケル・ファラデー(1791年~1867年)、ジェームズ・マクスウェル(18
31年~1879年)、オリブァー・ヘヴィサイド(1850年~1925年)、ハインリヒ・ヘルツ
(1857年〜1894年)たちの貢献(こうけん)によって、電磁気学が確立されたのがこの
時代だったのです。

 その中でも、1831年にファラデーが発見した「発電の原理(電磁誘導の法則)」は、
現在の私たちの生活にものすごく大きな影響を与えました。なぜなら電気をつくる「発電
機」が存在しなかったら、現代社会がまったく成り立たないからです。

 また、1888年にヘルツが発見した「電波」は、無線通信、ラジオ放送、テレビ放送、
インターネットのワイファイなど、その後の人類文明に大きな影響を与えて行くことにな
ります。

 ところで、電磁気学の分野で有名な「マクスウェル方程式」は、4本の方程式にまとめ
られています。が、じつはマクスウエルが発表したのは20本もの方程式で、それを4本
にまとめ上げたのがヘヴィサイドだったのです。

 この4本の方程式の成立によって、電磁気学が確立されたと言ってよいでしょう。

              * * * * *

 また19世紀には、原子論や放射線の分野でも大きな進歩がありました。

 まず19世紀初頭の1803年、ジョン・ドルトン(1766年~1844年)はデモクリト
スの原子論に基づいて現代的な原子論を提唱しました。

 1895年になると、ヴィルヘルム・レントゲン(1845年~1923年)が「X線」とい
う、それまで未知だった放射線を発見し、その後の医療に大きな貢献をしました。

 その翌年の1896年には、アンリ・ベクレル(1852年~1908年)が、ウラン化合物
が自然に放射線を出す能力(つまり放射能)を持っていることを発見しました。

 さらに翌年の1897年には、ジョセフ・ジョン・トムソンが「電子」という「素粒子」
を発見しました。これにより、それまで「原子」は、それ以上に分割できない最小の粒子
だと考えられていたのですが、トムソンは原子が最小の粒子ではなく、原子は電子とその
他の部分で構成される複合粒子であると結論づけました。

 さらに翌年の1898年には、マリー・キュリー(1867年~1934年)と、夫のピエー
ル・キュリー(1859年~1906年)が、ラジウムとポロニウム(両者とも放射能をもつ元
素)を発見しました。

 このように、19世紀末の1895年から1898年のたった4年の間に、原子モデル
や放射線の分野でものすごく大きな進歩があったのです。

              * * * * *

 一方、1858年には、チャールズ・ダーウィン(1809年~1882年)とアルフレッド
・ラッセル・ウォレス(1823年~1913年)の各々が自然選択による進化論を提唱し、さ
まざまな植物や動物の起源と進化を説明しました。この理論は、翌年の1859年に出版
されたダーウィンの「種の起源」で詳しく説明されました。

 また1865年には、グレゴール・ヨハン・メンデル(1822年~1884年)が「植物雑
種に関する実験」という論文を発表して生物学的遺伝の原理を説明し、それが現代遺伝学
の基礎となりました。

 このように19世紀は、進化や遺伝といった生物学の分野でも進歩があったのです。

              * * * * *

 ところで19世紀は、蒸気機関による交通手段の飛躍的な進歩と、電話による通信手段
の飛躍的な進歩が起こった時代でもありました。

 1807年には、ロバート・フルトン(1765年~1815年)が蒸気船を発明して、帆船
(はんせん)から蒸気船への転換をもたらしました。
 さらに1825年には、ジョージ・スティーヴンソン(1781年~1848 年)が蒸気機関
車(汽車)を実用化し、1830年代に鉄道が普及して交通革命が起こったのです。

 一方1854年には、アントニオ・メウッチ(1808年~1889年)が、電話と呼べる装
置を発明しました。
 また1876年に、グラハム・ベル(1847年~1922年)が実用になる電話機の特許を
取得したことから、「電話の父」と呼ばれるようになりました。

 このように19世紀は、それ以前の時代にくらべると、交通手段と通信手段が劇的に進
歩した時期だったのです。

              * * * * *

 申し訳ありませんが、この続きは次の章でやりたいと思います。



      目次へ        トップページへ