神の御業 8
2025年9月28日 寺岡克哉
8章 太陽の存在
太陽ほど、私たちに恩恵(おんけい)をもたらしてくれるものはありません。
なぜなら太陽が存在しなければ、地球の生命は生きることができないからです。それは
私たち人類も例外ではありません。
太陽の存在こそ、まさに「神の御業」であるとしか言いようがないのです。
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太陽は、核融合反応によって1秒間あたり、およそ430万トンの質量を、およそ3.8×
1026 J(ジュール)のエネルギーへ変換しています。
そのうち、地球に降りそそぐ太陽エネルギーは1秒間あたり、およそ1.75×1017Jで、こ
のエネルギーによって、地球が適度な気温(平均14℃)に保たれており、生物が棲める
環境となっているのです。
もしも太陽エネルギーが無かったら、地球の気温はマイナス270℃に下がってしまい、
とてもじゃないけれど、生物が棲める環境ではなくなってしまいます。
また、太陽の光によって植物が育ち、その植物を草食動物が食べ、その草食動物を肉食
動物が食べます。その一方で、動物の糞(ふん)や死骸は、細菌によって分解され、植物
の肥料になります。このようにして、地球の生態系が保たれています。
つまり地球のすべての生命は、太陽によって維持されているのであり、従って太陽は、
地球のすべての生命を養っているのです。
これこそ神の御業であり、人類が古来より、太陽を神として崇(あが)めてきたのも納
得してしまいます。
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さらにまた、太陽の寿命がおよそ100億年であるのも、すごく有難(ありがた)いこ
とです。
なぜなら、生命の進化に必要だった40億年という長い時間を、確保することができた
からです。もしも太陽の寿命が短かったら、私たち人類は存在しなかったでしょう。
太陽の寿命が100億年という長さをもつのは、太陽の質量が2×1030kgであり、わり
と質量の小さな恒星であったことに起因しています。
なぜなら恒星の寿命は、恒星の質量が大きくなるほど、短くなるからです。たしかに、
質量の大きな恒星は、核融合反応の燃料となる水素がたくさんあります。が、しかし、質
量の大きな恒星は、核融合反応がすごく激しいため、燃料が多いにもかかわらず、それを
早く使い切ってしまうのです。
さまざまな恒星を観測して研究した結果、恒星の寿命は、だいたい質量の3乗に反比例
することが分かっています。
だから例えば、超新星爆発を起こすような太陽の質量の10倍ぐらいの恒星の寿命は、
10×10×10=1000なので、太陽の寿命(100億年)の1000分の1となり、1000
万年ていどに短くなってしまいます。
また例えば、もしも太陽の質量がいまの2倍ほどあったとしたら、2×2×2=8なので、
太陽の寿命は8分の1の12.5億年ていどになってしまい、生命の進化に必要であった40
億年という時間を確保できなかったわけです。
もしも太陽の質量が、今より少しでも大きかったら、太陽の寿命が短かくなり、人類の
ような高等生物は誕生しなかったでしょう。
だからこれも、「神の御業」であるとしか言えません。
* * * * *
ところで太陽は、第2世代の恒星か、あるいは第3世代の恒星だと言われています。
つまり、ビッグバンによって作られた水素やヘリウムが集まって出来たのが第1世代の
恒星であり、その第1世代の恒星が超新星爆発をして吹き飛ばした元素が、再(ふたた)
び集まって出来たのが第2世代の恒星です。そして第2世代の恒星が超新星爆発をして吹
き飛ばした元素が、また再び集まって出来たのが第3世代の恒星なのです。
太陽が第2世代以降の恒星であったのは、地球の生命が誕生するのに必要不可欠なこと
でした。なぜなら、第1世代の恒星による核融合反応で、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン
などの生命に必須な元素が作られなければ、地球にも、それら生命に必須な元素が存在す
るはずがなかったからです。
もしも太陽が、第2世代以降の恒星でなかったら、生命に必須な元素が存在せず、生命
は誕生できなかったでしょう。だからこれも、「神の御業」であるとしか言えません。
* * * * *
以上から、
太陽の熱によって、地球が適度な温度に保たれていること。
太陽の光によって、地球の生命全体が養われていること。
太陽の寿命が100億年もあり、地球の生命進化が可能であったこと。
太陽は第2世代以降の恒星であり、地球にも生命に必須な元素が存在したこと。
これらの「神の御業」がなかったら、私たち人類は絶対に存在できなかったのです。
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